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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」12 制御するべきは何

監房区ではスティレとカンナが新参訓練生に論述をさせていた。きっかけは暇つぶしだったが、すぐ真剣な講義に変貌したのはベテランヴィザーツのさがかもしれない。
カンナはトール・スピリッツの操縦席で使うコードに精通していた。
「制御コードを起動コードより先に使う理由をはっきりさせて、レブラント君」
カレナードは答えた。
「制御コードを他の全てのコードの上位に置くためで、特に15種以上のコード使用現場では必ず最初に制御をかけます」
教科書通りだった。カンナはさらに問いを投げた。
「では、制御コードを制御コード足らしめている配列はどれ。その組み合わせは。鍵になる発音は」
「制御コード『avollerttermpachp-allepschsrvirr』のmpachpが空間に対して、pspchsrが時間に対して、rrの直前のvが全てのコードに対して支配性を持ちます」
「では、トール・スピリッツ搭乗時のコードの優位順は覚えているわね」
「ここで発声していいのですか」
スティレが手を振った。
「収監ホールは防音効いてるさ。問題ない」
カレナードは頷いて操縦のためのコードを唱えた。
「管制回路、エンジン計器類チェック、高度計、航路表示モニター、レーダー起動、前面モニター、装備および動力チェック、動作開始異常チェック、フライトオンバランサー」
カンナは腕組みを解き、チッチッと人差し指を振った。
「抜けてるわよ、気象モードチェック!どこでチェックするの!」
カレナードがあわてて「レーダー起動のあと」と叫び、スティレは噴き出した。
「やれやれ、集中力はどこいったんだ」
新参訓練生は特B監房の中で両腕で胸を隠していた。
「素っ裸で操縦してる感じですよ」
カンナはしれっと返した。
「あなたね、そういう状況もありうるのよ。情報部にいてごらんなさい、笑えない話でいっぱいなんだから。あなたがここにいる理由もそうした話の一つじゃなくて。さあ、もう一度制御コードよ!」
カレナードは恥ずかしさを振り払い、制御コードを区切るようにして発声した。pchpとpspchsrの部分の破裂音が甘かった。周りに現れたグリッドがすぐに崩れた。彼はもう一度唱えた。
キレの悪い発声だったが、rrの前のvが特別強かった。制御コードのグリッドは崩れなかった。それはゆっくり透明になって消えた。コードが効いた証拠だった。
「vが一番大きな鍵を握っていたんだ」
カンナが「ビンゴ」と言った。それはトペンプーラを思わせた。
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