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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」11 マリラとヒロとトペンプーラと

会議のあと、トペンプーラは車椅子を転がしヒロに近づいた。
「ヒロ!新作の装甲スーツはいい出来です。一点だけ改良願いますが」
「ジルーにそう言われると、俺っち、また頑張っちゃうよ。クロちゃんコードの方もかなり手ごたえを感じるんだ」
マリラが不思議そうにヒロに訊いた。
「マギア殿のいうクロちゃんとは、玄街のことか」
「おお、マリラさま。そのとおりでございます。わたくしの風来坊的言動を大目に見て下さり、感謝します」
「礼を言うほどのことではないよ」
マリラは声を落とし、ヒロに内密の話だと前置きをした。
「玄街の遺伝子変換コードをそなたはどう見る」
ヒロは女王の問いに一瞬戸惑った。女王がそれを気にしているのが意外だった。が、すぐにプロフェッショナルの立場で応じた。
「例のアナザーアメリカンの少年と少女ですね。
あの二人が死なずに逆転現象したことも考慮に入れますと、複雑に連結している多数のコードを制御する元締めのようなコードがあり、人体には比較的安全と考えられます。制御コードが明らかになった上で、それをもう一度彼らにそれをかけてやれば、元に戻れます。理論上はね」
マリラはその時期を問うた。
「新参訓練生が二年生を終える頃には、めどが立っていることでしょう。すんなりいけるといいですが」
「マギア殿、問題があるのか」
ヒロは眼鏡のつるをかけ直した。
「コードは解析と精査に時間をかければ十分なに安全性を確かめられます。問題は実際の人体の方です。もう一度あのコードを受け入れられるか、否か」
「比較的安全と言ったではないか」
「一回ならば、です。二回目も安全という保障については、今はできません。もっと検証しなくては。やり遂げますよ、俺、いえ、我がマギア・チームは」
「よろしく頼む、マギア殿」
ヒロはトペンプーラの車椅子を押して作戦参謀室を出た。
「女王はあの新参さんをよほど気にかけておいでだ、ジルー」
「彼を紋章人にしたお立場としては、気にかける義務がありますからネ」
「そんなの抜きにしても、あの二人はお似合いだ」
「あなたの頭が自由で想像力に富んでいるのは百も承知。言ってなさい、ヒロ」
「何だよ、情報部だって想像力は必要だろ」
「ワタクシはね、近いうちにカレナード・レブラントを叱らねばならないのデス!」
トペンプーラの勢いにヒロは笑った。
「やれやれ、ジルーにも気に入られちゃって。紋章人の根性が試されるってか」
「彼は筋金入りのヴィザーツになるよりほかに道はないのですからネ。私とて鬼になります」
「俺っち、近いうちに彼に会っておくよ。余計なことは一切言わずにね」
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