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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」9 確率は高いか低いか

エーリフが巨体を動かした。
「彼らは巧妙だね。それでも我々は確実に追い詰めねばならん。アンドラ、やってくれ」
「もちろん。注目すべきはミセンキッタです。緩衝地帯との接点も多い。そして、これほど大量の品物です、必ず集積地があるはず」
トペンプーラが挙手した。
「ワタクシの勘が言わせるのをお許しいただきたい」
ヒロ・マギアが指で机を鳴らした。
「俺っち、いえ、わたくしが長い付き合いと経験から述べるならば、ジルーの勘はいい線行く確率が80%」
マリラが彼と同じように机を鳴らした。
「トペンプーラ。そなたの勘は何といっている」
「大山嶺です。サージ・ウォールがミルタ連合領国北方とオスティア領国南方で大山嶺を跨ぎ、山嶺西側に密着しているため、アナザーアメリカンはこの土地に深く分け入るのをあきらめました。我々も然り。だいいち、赤子の生まれない所には外れのヴィザーツ屋敷すら必要がない。
しかし、玄街なら独自の起動コードで赤子に命を授けて新たな都市を築けるはずデス。大山嶺の東側はこちらの目が届く。ですから、問題は西側です」
トペンプーラはスクリーンを見上げた。
「ワタクシは大山嶺のこの空白の部分も薄い朱色に染めるべきと」
モトイーが首を振った。
「大胆すぎるぞ、ジルー。大山嶺の西半分は禿山と砂塵で覆われた不毛の地だ。それは大山嶺の東麓に住む私達が身に染みている。山中に町がないわけじゃないが、出来ては消える類のものばかりだ。流れ者、無法者、訳ありの入植者、そして隠者と修行僧。やがて彼らは定住をあきらめるか、山中に没していく。確かに大山嶺は玄街にとっては魅力的だろう。しかし…濾過装置を流通させるには、緩衝地帯の方が断然有利だね」 
皆がざわめく中、エーリフも懐疑的だった。
「玄街の領国か。その場所は、今ある情報を確かなものにしてからだ。物事には順序がある」
彼は一度言葉を切った。
「だが、可能性を無視してはいかん。情報部副長はどこでインスピレーションを得たのかね」
トペンプーラは答えた。
「ワタクシを追跡してきたティゲル・ピグスは山岳地帯を飛び慣れていると感じました。まるで自分の庭だと言わんばかりの見事な腕前でした。こちらが奇岩壁を盾にしても自信満々に中型輸送機を操ったのです」
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