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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」4 カレナード、暴れる

カレナードは何度も格子に体当たりした。
「僕の言い分だって聞いてくれ!」
額と肩の皮膚が擦りむけた。それを見ていた囚人達は大笑いしていた。
「この新参、アホや」
監視員が飛んできて制止したが、カレナードは止めなかった。電気棒がシュッと音を立てた。
「うあっ!」
悲鳴とともにカレナードは倒れた。押さえた脇腹に痣が出来ていた。それが火に油を注ぐことになった。
「くっそおおおっ!」
何度も格子に突っ掛っては、電気棒を当てられた。一騒ぎのあと、涙で髪が首筋に貼りついたまま、彼は罰としてさらに1時間の直立を命じられた。誰も彼に言葉をかけなくなった。
夜8時の夕食まで彼は監房の隅で、膝をかかえて身を小さくしていた。どちらを見ても裸身の自分が映っていた。彼は目を閉じた。
監視員が鉄格子から手の届くところに、告白用の紙を置いた。
「反省する気になったら、これを取って書け。10時の消灯時に毛布をやる。朝6時に返すんだ。分かったなら返事しろ」
「…はい」
アル中呼ばわりされていた女が声をかけてきた。多人数監房に1人で入っていた。
「あなた、夏至祭でマリラさまと踊った新参よね。さっきの荒れようったら、別人かと思ったわ。大事なところが見えたわよ」
カレナードはまだ赤い目を女の方に少し向けた。女は陽気な顔つきだった。
「手が届くなら、タオルで拭いてあげたいわ。けっこう酷いありさまよ」
その隣の多人数監房には男が3人いた。兵站の寄生虫が言った。
「おい、カンナ。優しくするな。特Bの意味がなくなるぞ」
「スティレ。かたいこと言わないで。女同士の気遣いってやつよ」
独房からも男の声がした。
「やめとけ。新参でも命令違反は命令違反さ。不始末を自覚できないヤツはガーランドには要らんだろ」
カンナは反論した。
「正しい事ばっかり言ってさ。情けの一つくらい、あってもいいじゃないの」
他の独房の男が言った。
「新参のためを思うなら、甘やかすなよ。こいつ、案外バカかもしれん」
カンナはカレナードに「頑張りな、レブラント君」と言うなり、奥に引っ込んだ。あとには多人数監房の男達が紙で作った将棋の駒を進める音がした。
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