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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」2 特Bの意味

夢想を振り払い、カレナードは立ち上がった。ドルジンは明らかに急いでいた。
「処分を言い渡す!レブラント訓練生は特別B監房に4日間収監後、1ヶ月の飛行訓練停止および警備隊の甲板区画清掃を命ずる。異議申し立ては一切無効!艦長ワレル・エーリフの執行命令書だ」
大柄な教官はしっかり見ろと言わんばかりに書類をカレナードの鼻先で広げてみせた。カレナードは直立不動のままで訊いた。
「ドルジン教官殿、特別B監房とは…」
ドルジンは口をへの字に結び、反省の色があまりない新参を睨んだ。
「不名誉極まりないお前でも、この監房に入れられるとは思ってなかったぞ」
ドルジンは外で待っていたボルタ大尉に声をかけた。
「命令違反者をB監に移送!」
ボルタとドルジンはカレナードを挟み、浮き船中央部の監房区に向かった。無言のまま、彼らは進んだ。
カレナードは後夜祭の夜にベル・チャンダルが歩んだ通路を歩いた。ドルジンが異なるセキュリティ・コードを3回唱えてゲートを通過した先に、広いホールがあった。ホールを取り囲むように監房が並んでいた。監視室の右に独房が10ほど、正面に多人数監房が5室、そして左に特別A・B監房がそれぞれ2室あった。監視室勤務の警備隊員がカレナードを預かった。
ドルジンとボルタが去ると、急に空気の色が変わった。独房と多人数房から懲罰中のヴィザーツ達が新しい仲間に声をかけた。
「おやおや、踊り比べの優勝者で無礼者の新参じゃないか。特B入りとは豪勢だな」
「紋章人、何のやんちゃをやらかしたのやら」
「男の裸なんか見たくないわね」
「黙れ、アル中女」
「そっちこそ黙れ、兵站の寄生虫!」
「ああ、賑やかだ。お前ら、電気棒でお仕置きされちまえ」
ひとしきり下卑た馬鹿笑いがホールにこだました。
カレナードの目の前にある特別B監房は他のものとは全く違っていた。床と壁と天井は鏡のような金属で、淡いグリーンに輝く奥の壁にカレナードの姿がさっそく映っていた。壁は少なく細い十字格子が天井から床まで通され、中の囚人は誰の目にも晒される設計だ。
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