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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」32 命令違反の顛末

トペンプーラは胸苦しさのあまり、油汗をかいていた。装甲スーツが衝撃の負荷を吸収していても、体には全身打撲の痛みが走った。
「ティゲルは…」
中型輸送機はすべての窓が割れ、方向舵が千切れて空中に散っていた。銃座はもぎ取られたように消失していた。
ヤッカ隊長機がグライダーに接触してきた。
「トペンプーラ、生きているか」
「翼がもげそうデス。曳航を頼みます。輸送機の玄街さんはどうなりました」
ヤッカはコクピットから身を乗り出した。
「お前のように装甲スーツがあればな。だめだったようだ」
「レブラント訓練生は」
「南東10kmのところで旋回中だ」
「無事なのですね…」
トペンプーラはグライダーからフックを出して、ヤッカのトール・スピリッツに繋いだ。差し出されたトール・スピリッツの右手に這うように乗り込んだ。
明るい陽射しの中で、4機のトール・スピリッツが中型輸送機を支え、1機がグライダーを曳くためにワイヤーを取りつけていた。
カレナードのモス・ツーが合流した。
「トペンプーラさん!無事ですか」
ヤッカは感情を見せずに命令した。
「レブラント。コクピットから出て、当機の左手に乗れ。輸送機パイロットの遺体を確認しろ。復唱!」
「は、はい。レブラント訓練生は隊長機に移動し、輸送機のパイロットを確認します」
トペンプーラは隊長機の第2コクピットへ移るなり、激痛にうずくまった。そこにいたピード・パスリはトペンプーラの装甲スーツを脱がせて、医療パックを開いた。
「左腕と胸の打撲痕が深そうですよ、情報部副長」
「…友人にやられました」
「友人ですか。あいつが」
「水を下さい、ピード中尉。喉がひりついています」
ピードは開きっぱなしのコクピットから外を見た。輸送機が目の前にあって、トールの左手に乗ったカレナードが、窓がなくなった輸送機コクピットに乗り込むところだった。トペンプーラも痛む身を起こして、それを見た。
カレナードは訓練生用の簡易装甲スーツを身につけ、一回り成長しているように見えた。
「見せかけだけデス…。ポルトバスクで注意したことを学んでいない」
カレナードは震えていた。ティゲル・ピグスは操縦席から吹き飛ばされ、後ろの壁に激突していた。彼はひしゃげて血まみれだった。
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