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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」28 窮地

電話が鳴ったが、でる者はいなかった。電話が鳴り続ける中、玄関の前でユビィの悲鳴が上がった。
「リア!リア!糞め、奴らが殺した!奴らが!ジャイ、来てくれ、リアが」
彼は嗚咽しながら、玄関に転がり込んだ。その彼の視界にジャイの腕が床に伸びているのが見えた。
「ジャイ!」
それがユビィの最後の言葉だった。トペンプーラの弾丸は正確に彼の顔面を撃ち抜いた。
「残るはティゲルのみ」
しかし、ユビィがリアの死体に悲鳴を上げたために、周辺の住民や保養客が異変に気付き始めた。銃の乾いた音より、ユビィの嘆きが人を呼び寄せた。
トペンプーラはティゲルが戻るのを待たなかった。庭に降り、人けのない脇道に戻って静かに坂道を下った。
「あの様子では、昼間に荷車を使ったワタクシが怪しまれますネ。
そしてティゲルは面倒を避けて行方をくらます可能性が高い。玄街は計画を変更するかもしれませんが…、ゴブランが彼に用意したミセンキッタからの中型輸送機。それを受け取るはずです。彼は爆薬を積んでガーランドに向かうチームのパイロットですから。
さらに別働隊が三つ…。モトイーはもうガーランドに連絡したことでしょう」
彼のポケットには回収した盗聴器が入っていた。
ヴィザーツ屋敷ではテレマンの不機嫌な顔が最高に不機嫌になっていた。
「派手にやりおって。この若造が。3人も殺すとはね。警察がお前さんをマークすれば、ヴィザーツ屋敷とて庇いきれん。明日は出歩くな。玄街も仇を探して動くだろう」
「仕方ありません。いま、ガーランドを襲われるわけには」
「ふん。一度くらいアナザーアメリカンの前で、ガーランドは堂々と玄街とやりあってみせればどうだ」
情報部副長は反駁した。
「アナザーアメリカンにとって、ガーランドはあくまで調停機関です。それで、ワタクシにどうしろと」
テレマンは顎で倉庫を示した。
「ポーの警察はけっこう手強い。町の様子は知らせてやるから、大人しく隠れて、儂のメンツを潰さないでくれるかね」
トペンプーラは折れた。ベアンのヴィザーツ屋敷とは別種の骨太さがここにはあった。
「分かりました。状況が大きく変わるようなら、ここを脱出します」
「それがよかろう」
翌日、トペンプーラは倉庫でじっと我慢した。助手の男がたびたび訪れた。予想通り、停電後に貸し邸宅に現れた男が事件の鍵を握っていると噂が広がっていた。下請け会社は霧のように消えていたが、ポーの警察は粘り強かった。
外れのヴィザーツ屋敷はいつになく緊張に包まれた。夕刻になってテレマンが倉庫に来た。
「万が一ということもある。お前さんは逃げろ。ベアンに帰る飛行艇に乗るのが一番たやすい。が、今日の便はすべて出てしまった。明日の朝の便が発つまで儂がなんとか時間稼ぎをしよう」
トペンプーラは眉を寄せた。
「警察はヴィザーツ屋敷も捜索するつもりですか」
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