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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」27 暗躍

えげつない薬殺・暗殺など、スパイアクションが続きます。苦手な方は避けて下さい。

トペンプーラは作業に取り掛かった。
「今からこの女にカデを使います。他に部屋はありませんか」
「老師はここしか提供できないと言っていました」
「仕方ない。アナタ、我慢できますか」
「全然平気です。俺は邸宅の音を聴いてますから。助っ人を呼びましょうか」
トペンプーラは油紙の上にゴブランを横たえた。
「ぜひ頼みます」
彼はゴブランの両腕と両足を括った。彼女の意識が戻り始めた。助っ人が来た。あの年嵩の女だった。
「投薬を始めます。目盛りをしっかり見ていて下さい」
目覚めたゴブランは事態を理解していた。
注射器と薬品の容器、消毒薬の盥が並び、人ひとりがすっぽり入るほどの羊毛運搬用の袋が何を意味するか分かっていた。
激しく抵抗しようとする彼女の上腕に注射針が刺さった。
「何もしゃべらないわよ、しゃべるくらいなら!」
トペンプーラは容赦なく彼女の口中に布を突っ込んだ。
「リア・ゴブラン。カデはいい薬です。量さえ間違わなければ、苦しまずに自白できますからネ」
年嵩の女が正確に測った液体を再び注射器に吸い上げていた。
玄街の女は急激に戦意を失い、すぐにどろんとした目を天井に向けた。トペンプーラは彼女の口から布を出し、消毒液の容器に入れた。
「気分はいかがです。まるで温泉のようでしょう」
鸚鵡返しのようにゴブランは言った。
「…おん…せん…、ふー、ふ、うう」
酩酊状態にも見えたが、唇の端から涎が落ち始めた。
「ここから先が見苦しいのがこの薬の欠点ですから、早く終わらせましょう。ワタクシの問いに答えるのです。リア・ゴブラン!」
幸いなことに助手の男も年嵩の女も顔色一つ変えることなく、仕事は進んだ。
収穫は大きかった。5日後にベアン市に停泊するガーランドを20機の玄街の航空機が爆撃する計画が明らかになり、ティゲルも操縦桿を握る予定だった。その情報は早速ベアンのモトイーに送られた。
リア・ゴブランは数時間後に死んだ。トペンプーラは遺体を羊毛工場で使っている大きな袋に入れた。
それを荷車に積んで邸宅へと向かった。すでに宵の口は過ぎ、真っ暗な道にそぞろ歩く保養客の姿はなかった。
邸宅にはジャイだけが残って、ユビィとティゲルからの連絡を待っていた。呼び鈴を鳴らすとジャイは玄関の内側で拳銃を構えた。
「畜生め!リアを返せ!」
トペンプーラは遺体入りの袋をゆっくり玄関の方へ転がして、自分は外壁にへばりついた。ジャイは玄関の灯りを4回点滅させた。
「ティゲル!ユビィ!帰ってこい!早く!」
彼は居間に退いて、そこでも灯りを点滅させた。トペンプーラは脇の坂道から塀を越えて、居間のすぐ下の植え込みに進んだ。
居間にまた灯りがついて、点滅を始めた。ジャイの姿が確認できた。
トペンプーラは開いていた窓から短銃を撃った。灯りがついて、玄街の若者は倒れていた。トペンプーラは部屋に入り、ジャイにとどめを刺し、素早く隠れた。
「あと2人」
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