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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」26 ゴブラン強襲

トペンプーラは道具を片付けた。横ではゴブランがティゲルとやりあっていた。
「落ち着きなさい。焦ったって損なのよ。こちらは停電だったのだから、仕方がないでしょう。
私に怒らないでちょうだい。今どこにいるの。だから、落ち着きなさいって。頭を冷やしたらどうなの。あなたの悪い癖よ。
ええ、分かった、待っているわ。ベアンの下宿代は私が払うわ。余計なことで怒らないで。
段取りはまかせなさい」
トペンプーラはゴブランに点検終了のサインを求めた。
彼女はさらりと書いた。
「やれやれだわ」
ポーのヴィザーツ屋敷の一室で、トペンプーラの助手になった男が盗聴器からの電波を聴いていた。
すぐにトペンプーラはそこへ戻ってきた。盗聴の内容がすでに箇条書きになっていた。
『一、ティゲル・ピグスはベアンからバスでポーへ移動。ポーには午後に到着予定。
 二、邸宅にいる玄街ヴィザーツのリーダーはリア・ゴブラン。
   部下はジャイ、ユビィ、ティゲル。
 三、彼らの任務はベアンのヴィザーツ屋敷内の仲間から情報を受け取り、ガーランドへの襲撃を行う実行隊へ連絡。
   およびガーランド・ヴィザーツの間諜を拉致し、ミセンキッタのテネ城市に連行』
「いい仕事してマスね、助かります。ベアンのモトイーに連絡しましたか」
トペンプーラの問いに、助手は唇に指を当てた。彼は新しい情報を聞き取っている最中だった。
鉛筆が走る音がして、メモがもう1枚出来た。
助手は「ベアンにはすぐ知らせましたよ」と言い、メモを差し出した。『ガーランド爆撃用飛行機が整った』と記されていた。
時計が午後1時半になる頃、助手は再びメモをよこした。
『ティゲルを迎えにジャイとユビィが邸宅を出た』
トペンプーラは盗聴を続けるように指示して、部屋を出た。
「45分経ってもワタクシが帰ってこなかったら、テレマン老師に増援要請してくだサイ」
助手は力強く頷いた。
トペンプーラはポーでよく使われる坂道用の荷車を押し、10分で例の邸宅に着いた。
途中、公園を一つ隔ててジャイとユビィが坂を下っていくのを確認した。
呼び鈴を引っ張るとリア・ゴブランの気配がした。彼女は用心深くドアを開けなかった。
「停電は終わったでしょ。用事はここで聞くわ」
トペンプーラは問答無用でドアを蹴破った。
逃げるゴブランを捕まえ、鳩尾の奥を一気に突いた。念のため、麻酔薬を軽く嗅がせた。
彼は外に置いていた蓋付き荷車を玄関に入れ、その中にゴブランを折りたたむように寝かせた。
ロープで蓋を縛り、療養所の脇にある荷物搬入口に戻った。助手は拍手した。
「お見事です。あなたがここを出て22分です」
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