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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」22 さらば、ミース・ヨース

タクシーはまたしても東門から入った。モトイーはヘット親子を自分のサロンへ連れて行った。
そこにはバジラ・ムアが寝間着のままでいて、クロードを見るなり急いでガウンを羽織った。そして、彼女に椅子を勧めた。
ドミにとっては30年ぶりの古巣だった。彼はそっとトペンプーラに訊いた。
「玄街の男はどうやってうちの店を探し当てたと思う」
「汎ミルタ空輸だな。あそこにはおしゃべりな社員がいてね、俺とティゲルが友人だと勘違いしているんだ」
「やれやれ。ここに再び来ることはないと思っていたんだぞ」
「モトイーは15年前に赴任してきた男だ。お前がこのヴィザーツ屋敷で育ったことは知らないさ。すまなかった、ドミ、結局巻き込んでしまったな」
ドゥミはクロードがバジラと話をしている様子をちらりと見た。
「構わないさ。生きていればなんとかなるさ。そうだろう、ミース」
「ドミ、俺は行く所がある。ほとぼりがさめるまで、モトイーに任せるんだ」
「おう。30年ぶりに骨休みさせてもらうさ」
トペンプーラはバジラに言った。
「妙齢の娘さんを前にして無粋なことはしたくないデスが、バジラ!あなたに新しい任務が出来ました」
バジラはクロードの横を離れて、サロンの片隅で上司から梱包ずみの包みを渡された。
「何だい、マスター」
「これをガーランドの甲板材料部のヒロ・マギアに直接届けなさい。絶対にほかの誰かに頼んでも渡してもいけまセン。マギアチームに解析してもらうのデス!あなたは中身を知らない。いいですネ、バジラ・ムア」
バジラは深呼吸して、命令を復唱した。
「了解しました、マスター」
「ガーランドは5日後に来ます。油断しないようにネ」
モトイーはヘット親子に簡単に注意してから、トペンプーラと連れだち行政局次官用の事務室へ入った。
「ちょうどガーランドを迎える準備に取りかかったところさ。いいタイミングであの親子を保護できた」
「助かりました。あなたがこのヴィザーツ屋敷にいてくれて」
「それで、お前さんはここでガーランドを待つつもりはないんだろう」
「ビンゴ。ついでのポーのヴィザーツ屋敷で信頼のおける人物に連絡を頼みます」
「例の貸し邸宅か」
トペンプーラは唇の端を上げた。モトイーは確かめるように目の前の男を見た。
「独りで太刀打ちできる連中か」
「だからポーの外れのヴィザーツ達の助けが必要なのデス」
「オンヴォーグ、ジルー・トペンプーラ!またの名のミース・ヨース!」
「おや、ご存知でしたか」
「古い名前を持ち出されても怒らなくなったな」
「人間が丸くなったのデス」
「いや、過去にこだわるのをやめたのだ。ジルー」
情報部副長は少し間をおいてから、言った。
「そうかもしれませんネェ…」
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