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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」19 政治局次官とトペンプーラ

ドアの内側でモトイーが待っていた。彼は人けのない通路を選んで進んだ。トペンプーラはモトイーに耳打ちした。
「例の4人はどうしました」
モトイーはバジラに肩を貸して、自分のサロンのさらに奥の部屋へ向かった。
「ガーランドの女官の連絡を受け取った奴は監視をつけて泳がせている。あと3人はそれぞれ出張に出して、そこで拘束した。
この屋敷内も油断はできん。バジラは儂と信用できる部下だけで介抱するさ」
バジラは気の強いところを見せた。
「1日だけ食って寝れば元どおりだ。何てこたぁないよ、マスター」
トペンプーラは叱った。
「さすがワタクシの部下と言いたいところデスが、大人しくしていなさい。顔を知られているのに、下手に動いて全部台無しにするつもりですか」
モトイーは窓のカーテンを少し開けただけにして言った。
「窓辺にも寄らないほうがいい。儂と今から呼び寄せる男以外の者と口をきくな。勝手に部屋を出ると死体になると思え」
バジラは観念してベッドに横になった。
「さて、これで玄街がどう出るか」
モトイーの問いにトペンプーラは軽く答えた。
「面目丸潰れのティゲル・ピグスがワタクシをマークするでしょう。それでいいのです。
ところでここに一つ電話番号があります。ティゲルの机にありました。ポーの町のどこか、玄街のお仲間がいるはず。住所が分かりますか」
「造作もないが、お前さんは大丈夫なのか」
「モトイー、これは、ワタクシが大山嶺の麓に散らばる情報員に直接接触するとみせかけた囮作戦デス。玄街さんはかなりそれに引っ掛かってくれたようですヨ。
今頃はガーランドのアンドラ情報部長のところに、貴重な知らせがどっさりと」
「そっちもたいへんだな。ジルー」
「おっと。ワタクシは、ジンガ・トロイスですヨ」
「ガーランドは予定通りか」
「ここを通るのは1週間後。その時にバジラを浮き船に戻しますから、手配をお願いしたい」
モトイーはサロンに出て、電話番号を照会した。トペンプーラの予想通り、ポーの山手にある閑静な保養用の高級貸し邸宅だった。
「玄街ヴィザーツも贅沢を知っているようだよ、ジンガ」
「そうでなくては、我々に取って代わろうとはしないでしょう。彼らの全体像をよく知らなくてはなりません」
「その上で潰すのだな。アナザーアメリカの秩序のために」
「マリラさまが決断なさいましたからネ」
モトイーは両手を組んだ。
「我々は何かを失うことになる。おそらく大きな代償を払わねばならんだろう。しかし、ヴィザーツの本分を全うせずして、安穏と生を終えても意味がない。お前さんの覚悟を聞かせてくれ、ジンガ」
「ワタクシはヴィザーツ以外の生き方が出来ない人間デス。それはマリラさまも認めてくださった。それ以外に理由はありませんヨ」
「では、ポーの件で手伝えることがあれば、なんなりと」
「ありがたい。2日後にまた寄ります」
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