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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」13 制空権

トペンプーラ達は帰途についた。ドミはトラックを川沿いに走らせた。
「どうだい、ジンガ。収穫はあったか」
トペンプーラは両手を胸の前で組んで、考え事をしていた。
「おい、ジンガ。どうしたんだ」
「タキアの濾過装置は自動車工場で手に入るかな」
「ふん、やっぱり気になっているか。自動車屋の整備場の方が手に入りやすいぞ。なにしろモノは多いし小型だ。故障したのでよければ、タキアへ送り返す前のがゴロゴロしてる。汎ミルタ空輸より失敬しやすいね」
「コードを安全に使える部屋はあるかい」
「地下室がいい。西倉庫に何年も使ってないのがある。掃除は自分でやってくれ。好きなように改造して構わんぞ」
返事はなかった。トペンプーラはあいかわらず考え事に集中していた。ドミは独りごとを言った。
「創生の時代から空を飛ぶのはヴィザーツだけだった。その歴史の長きにわたり、誕生呪を授け、アナザーアメリカを守護しつつ、調停をもってコントロールしていた彼ら…。果たして我々アナザーアメリカンが我が物顔に空を飛べば、鬼が出るか蛇が出るか」
助手席の友人が軽くうめくのを、ドミは聞き逃さなかった。
「出るんだろ、鬼か蛇が」
「確実に出るぞ、ドミ。友人として忠告しておこう。お前とクロードの逃げ道を確保しておけ。店を守ろうなんて思うなよ」
「おおごとだな」
「かつてなく、おおごとさ」
「分かった、肝に銘じておくよ」
丸2日の間、トペンプーラは地下室の掃除に明け暮れた。2日目の夕刻、地下室には机と椅子と長椅子がそれぞれ一つずつ、いくつかの木箱に鉄製のチェストだけが残っていた。彼はまず起動コードを試してみた。
「dicourvertdèeupettir.」
壁に沿って、立体グリッドが現れた。
次にグリッド内部を全範囲に指定して清拭コードを使った。
「dunouure-cof-suissy.」
埃っぽさは消えた。もう一度強めの清拭コードをかけると、壁のタイルが輝いた。天窓を開けて、空気を入れ替えた。
「これでワタクシの基地が出来ました。仕上げはこれデス」
トペンプーラは机と木箱と鉄製チェストに軽く触れながら、固定コードを唱えた。
「rushurfull-et-oikuuhurr.」
机の引き出しも箱の蓋もチェストの扉も、びくともしなかった。今度は解除コードを唱えた。
「rushuùvfull-et-dithhuquir.」
びくともしなかった物たちが開いた。
「クロード嬢に言っておいたほうがいいですネ。この地下室の掃除は無用と」
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