挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

245/388

第7章「玄街カイエンヌ」12 いともたやすく行われる間諜行動

笑いながら、トペンプーラはタキア製濾過装置を手に入れる手掛かりを探った。
「メイバー駆動エンジンは、大気中のナノマシンを熱エネルギーに転換するシステム…。
それを参考にしたネス型なら、あの濾過装置は濾過などしません。ナノマシンが持つ熱エントロピーを活性化するための装置と考えて、まず間違いありません。タキア工房は嘘をついていることになりマス。それとも本当に阻害物質があるのか…。
いずれにせよ、なんらかのコードをスキザ鉱物に使ったはず。いつかは我々の技術がアナザーアメリカンに手渡されると考えてはいましたが、いったいどこのヴィザーツ屋敷がこの方法を開発したのでしょう…。今までにガーランドにはそのような報告はなかった…」
突然、トペンプーラは恐ろしい直感を得た。
「ヴィザーツ…。ヴィザーツはガーランドだけの専売特許じゃありまセン。
玄街ヴィザーツが、タキア工房に手を貸している可能性は…。あるいはタキア工房を経営しているのが彼らだと考えてはいけませんか…。確証デス、確証をつかみたい」
しかし、彼は急がなかった。濾過装置だけに心を奪われているのは危険だった。ここでは、ものめずらし屋の香辛料仲買人でなければならなかった。下手に専門的な突っ込みをして、汎ミルタ空輸の社員に強い印象を残してはならなかった。
トペンプーラは隙を待っていた。
格納庫では、整備士達が休憩に入ろうとしていた。中型輸送機ハトシェップR5の双発エンジンのカバーが外されていた。
壮年の整備士がタオルで顔を拭いた。
「あー、めんどいのう」
案内の男が「難しいところかい」と訊いた。整備士はのんびりと返事した。
「なんとかするさ。おや、見物のお人、格納庫へいらっしゃい」
トペンプーラとドミは帽子を軽く持ち上げて、挨拶した。
整備士は「一緒にどうだね」と、カップを並べ、ポットから香りのきつい茶を注いだ。はるばる北メイスから運ばれた海草に甘酢と香辛料を加えたお茶うけが添えられた。
男達はそれを噛みながら茶を飲み下した。茶の香りと香辛料が喉の奥で渦を巻いた。トペンプーラは中型輸送機を褒めた。
整備士は照れもせず、お代りの茶を注いだ。
ひとしきり作物の話に花が咲いた。
彼のかたわらの作業台にスキザ鉱物特有の黒光りする平たい部品があった。例のタキア製濾過装置の一部だった。入念に分解され並べられていた。
休憩時間は終わりに近づいた。整備士の何人かが厠へ出かけた。
ドミとトペンプーラは作業台の周りをぐるっと回った。作業台の下に置かれた木箱にタキアの焼き印が付いていた。その箱に貼られた航空便のタグには、ミセンキッタのテネ城市のとある住所があった。
2人は目配せした。案内の男はカップを片付けていた。トペンプーラは靴ひもを直すふりをして屈み、住所をしっかり読み込んだ。
「さて、行こうか」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ