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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」11 スキザ鉱物は何処より生まれるか

案内係の男は壁に掛けた説明図を示した。
「この図を見てくれ。
ネス型は大気を取り込んで圧縮する。そこに培養精製した松油を少量混ぜて電気スパークをかける。竜巻のような風が後方へ噴出する。それが推進力だな。
で、問題の部品だが、大気が圧縮室に入る前の濾過装置がそれだ」
トペンプーラにはその仕組みが分かっていたが、再びごく自然に訊いた。
「何を濾過するんだ」
男の口調がやや落ちた。
「大気中にスパークを起こさせない物質があって、それをエンジン内に入れないためにスキザ鉱物を含んだ濾過装置が必要なんだな。
試しにその装置を外してみた。すると電気スパークが起きない。まったく起きないんだ」
ドミがあきれていた。
「おいおい。スパーク阻害物質の正体ははっきりしてないのか。どういう理屈で濾過できるんだ。それに濾過装置自体のメンテナンスはどうしているんだ」
「濾過の理屈は悔しいが、分からん。企業秘密ってやつさ。
メンテナンスは俺達でも出来るんだ。阻害物質のカスみたいなものがうっすら装置の中に溜まっている。それを掃除するだけだ。
故障しちまったら注文して交換するしかない、今のところは」
「将来は自前で濾過装置を開発する気だな」
「やるさ。俺達が吸っている空気の中の阻害物質だ、つきとめて何が悪い」
トペンプーラの中で何かが閃いた。
「この装置のスキザ鉱物はどこの産かな」
「そこまでは知らないんだ。あれは方々でちょっとずつしか取れない物だし、ここに来るまでにもう濾過装置の一部になっちまっているからな」
ドミが言った。
「我々アナザーアメリカンが空を飛ぶ時代か。その部品を作ったのは、世に有名なミルタ連合のデラース機械技術社か、オルシニバレのシェナンディ精密工業だろう」
男は首を振った。
「いや、タキア工房といって、どこの領国にも属さない会社なんだ。大山嶺の麓の緩衝地帯にあるらしい。ひどく辺鄙な所だと聞いた」
トペンプーラは髭をなでた。
「おそらくその周辺でスキザ鉱物がまとまって取れるんだろう。アナザーアメリカのネス型エンジンの大半はそのタキア工房の部品を使っていると考えていいのかい」
男はうなずいた。
「大型自動車用のエンジンはネス13型といって、20型よりはるかに小型だが、同じような濾過装置が要るんだ。濾過装置が品薄なのは、ネス13型が量産に入っているからだろうな。価格も高騰し始めている。タキア工房が大量に濾過装置を作らない限り、品薄は続くだろうよ」
ドミは笑った。
「タキア製濾過装置の謎を解かないかぎり、製造も販売も独占じゃないか。大儲けだな、タキアめ」
トペンプーラも笑った。
「おまけに領国に納める税金もなしだ。濡れ手に粟じゃないか。緩衝地帯の特権だな」
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