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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第7章「玄街カイエンヌ」

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第7章「玄街カイエンヌ」4 朋友とヨース家の末裔

トペンプーラが差し出した手を、ドミはしっかり握って店の中へと導いた。
「寛いでくれ。ここはお前の家でもあるんだ」
「しばらく逗留させてもらうよ。これは土産だ」
彼はガーランドで交配した蔓豆の新品種を取り出した。
「悪いな、ミース。うちの商売はこれで大助かりだ」
「栽培のコツは水をやりすぎないことらしい」
ドミは急いで戸締りをし、トペンプーラを中庭のぶどう棚の下に連れて行った。若い娘がいた。
「いらっしゃいませ、ヨースさん」
「また綺麗になったね、クロード嬢」
「まぁ、嬢をつけて呼ばれたわ。父さん、初めてよ」
ドミは父親の誇りを現して、うなずいた。
「お前の年で、その器量と物腰なら当然だ。儂が請け合うよ。さあ、皆で夕餉にしよう。ミースは2階の女房の間を使ってくれ」
「奥さんの部屋を使っていいのか」
クロードがトペンプーラに手を洗う盥を持ってきた。
「ヨースさん、母が亡くなって3年ですわ。眺めのいい部屋です」
娘が夕餉の鍋を取りに行くと、ドミは指である形を作った。それはトペンプーラと彼だけの暗号だった。トペンプーラも暗号を指で返し、短く言った。
「今回は難しいことになった。ベアンのヴィザーツ屋敷に私の部下を拘束した玄街間諜がいるかもしれん。ガーランド内の仲間から連絡を受け取らねば、出来ない仕業だ」
「手掛かりは」
「ティゲル・ピグス。29歳。バイエン交通局が交付した免許番号は第259号。ポーで俺をつけてきたから、ちょいと当身をお見舞いしたのさ」
ドミは小柄ながら隙のない動きを見せた。
「時間がかかるぞ。急いてはことを仕損じる類の事だ」
トペンプーラは微笑んで、中庭とそれを囲む倉庫と離れを眺めた。
「この家はいい場所だ。何の心配もなく話が出来る」
「お前の父上が遺したものだ。感謝しているよ、ミース」
「それは言わないでくれ。維持してきたのはお前じゃないか。ヨースの血筋は父で絶えたんだ」
ドミは日焼けした顔をしかめた。
「お前はまだこだわっているのかい」
「いや、両親には感謝しているよ。育ててくれて…。孝行したい時に親はなしと言うが本当だな。心残りは仕事で晴らすさ」
クロードが鍋とパンを持ってきた。鍋は香草をたくさん使った川魚のトマト煮だった。ドミは白ワインを取り出し、友人のために注いだ。その夜、2人の男は作戦を練った。
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