挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

225/388

第6章「夏至祭」39 誤解だらけの朝が来る

夏至祭の舞台上には艦長の酒蔵が移動してきて、無礼講の最後を盛り上げていた。夏至祭の夜の月が隠れたのは午前4時で、すぐに夜明けが来た。
カレナードが女王のテントから出ると、入り口に女官長が待っていた。ちょうどピードとドルジンがガーランドに戻るため、女官テントを出て行った。
「よく勤めてくれました、紋章人殿」
「それほどには役に立っていません…」
ジーナはそうでしょうかねと言い、彼を帰した。
東の地平から朝日が射すまで少し時間があった。淡い光だった。
彼は夜明けの風を受けた。夜露の匂いが立ち込め、彼はしばらく立ち止まって、その匂いを吸い込んだ。閉じた瞼の裏には、先ほどまで眺めていたマリラの穏やかな横顔があった。彼女はまだ眠っていたが、疲れは和らいでいるように思えた。添い伏しが役に立ったと思えた。
「ああ、お腹が空いた…。添い伏し用の食事なしだと、こんなに消耗するんだな」
彼は新参訓練生のテントに向かった。V班の荷物の中に携行食があるはずだった。
突然、マヤルカの声が彼を呼び止めた。
カレナードは大切な約束を失念していたのを思い出した。謝るより速く、マヤルカの平手打ちが飛んだ。強烈だった。
「カレナードッ!許さないわ!マリラさまのテントへ行ったきりだなんて!」
カレナードは打たれた頬を押さえ、数歩よろめいた。
「私は待っていたのよ、一晩中!ずっとずっと待っていたのに!あなたはマリラさまと…!」
マヤルカは泣いた。ガーランドに来て以来、初めて彼女は号泣した。
「許さない!あなたはもう私のカレナードじゃないわ、マリラさまのカレナードよ!文字通り女王の紋章人だわ」
冷たい朝の大気にマヤルカの泣き声が響いた。
オルシニバレ市のヴィザーツ屋敷で上げた悲鳴のような泣き声だった。それはカレナードにナイフのように突き刺さった。
彼女を女子テントに連れて行こうとしたが、マヤルカは触るなと罵り、走り去った。
「あーあ、泣かせやがって。朝帰りの紋章人はツライね」
ナサールがテントから出てきた。
「お前、女王と寝たろ。帰ってこないから、皆その話で盛り上がってたんだぜ」
「誤解だ。なんなら女官の誰かに聞いてみろよ。君が想像しているようなことは何もなかった」
「何とでも言え。踊り比べの優勝者は、朝帰りの勇者でもある」
カレナードは呻いた。
「やめろ、ナサール…」
お祭り男はカレナードの意に介さず、言った。
「男なら、こういう話は嬉しがるものだぞ」
「それより、腹減った。ナサール、何か恵んでくれ」
「お前、張りきりすぎたんじゃないのか」
「だから、違うんだってば…。落ち着いて僕の顔を見ろよ。そうじゃないって分かるだろう」
ナサールは勝手な妄想の中にいた。
「マリラさまとお前なら、何の差し障りがあるのさ。マリラさまとの甘い一夜っ!たまらんなぁッ」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ