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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

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第6章「夏至祭」24 踊り比べ最終曲

軍楽団の指揮棒が上がると、会場は水を打ったように静かになった。
エーリフは鷹のような目で舞台を眺めた。
「さて、マリラさまの真骨頂がでますかな…」
第15曲は荘重で華やかな旋律がスローテンポで始まる。そこは女性のソロパートだ。いきなり速さを増す旋律に合わせて片足のみのつま先立ちを繰り返しながら、優美に腕をしならせていく。
ついで男性が踊りに加わり、女性と素早い足技を披露する。再び旋律は元のスローに戻り、今度は男性のソロパートとなる。
そして速くなる曲を女性とともに息をもつかせぬステップと跳躍を繰り返し、両者はポーズを揃えて向き合い、踊りは終わる。
まずマリラが踊り始めた。
腕を胸の前で組み、真っ直ぐに前を見据えて、ほぼつま先だけで片足立ちになった。それを右脚と左脚で交互に繰り返しやってみせた。たくし上げたスカートのために膝から下の脚のラインがくっきりと映えた。
彼女の皮のダンスシューズは、脚の甲と共に究極にしなった。ヴィザーツ達は女王の離れ業に見惚れた。
「これは100年に一度の伝説になるぞ…。俺達は伝説の目撃者だ」
ただ優雅なだけでなかった。唇の端がわずかに上がってはいるものの、目つきは鋭く圧倒的なオーラが放射されていた。腕が描く曲線は艶めかしい幻惑を与えたかと思うと、見る者の心を鋭く鷲掴みにした。
テンポが速くなった。マリラの横にカレナードが並んだ。この時、観客はごく自然に両者の背丈が同じに見えていた。
同じ振りを踊ってもカレナードの可動範囲が大きいためだった。
エーリフはカレナードが踵をほとんど床に付けないで踊り続けているのに気が付いた。
「やれやれ、あれをやるとは。後半でスタミナが切れるか、それとも…」
舞台上に汗が落ちていった。キリアンもアライアもミシコもナサールも多くのヴィザーツが固唾を飲んだ。
軍楽団は総員で楽器を奏でていた。ヤルヴィは小さな体を懸命に使って、最後のスローパートを弾きはじめた。ちらっとカレナードに目を向けたとき、彼は信じられないものを見た。
男性ソロパートはジャンプの連続技で出来ていた。
腕を大きく振り上げると同時に跳躍し両脚を空中で打つのだが、それくらいは踊り比べに出る者ならほぼ全員がやってのける。だが、このソロパートには続きがあった。空中で打った後、着地するまでの間に打った右脚をもう一度振り上げて左脚で着地する。
その振りあがった右脚はカレナードの頭上を越えていた。降ろした右脚を完全にコントロールして、次は左へ小さな一歩を跳んだかと思うと、左脚を斜め後方に振り上げて跳び、上体を起こしたままで再び両脚を空中で打った。高さがあった。
エーリフは正直驚いた。
「期待以上のことをやってのけたか、紋章人。見事だ」
最後の第15曲のイメージはグラズノフ作曲バレエ音楽「ライモンダ」から
「第3幕・コーダ」
Raymonda - III Act coda - Novikova, Vogel, corps
https://www.youtube.com/watch?v=gTC-twkZKpo

最後はやはりバレエ音楽になってしまいました。
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