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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

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第6章「夏至祭」21 踊り比べ第12・13曲

6組まで減った踊り手達の間に見えない火花が散った。
彼らは第12曲を所狭しと踊った。これも第12曲と同じゆったりしたテンポだったが、趣は全く違う。第11曲が哀愁を帯びた艶めかしさなら、第12曲は情熱と気まぐれな妖艶で出来ていた。猫のように跳ねる足取りが続いたかと思うと、一瞬で動きを止めて男女が向き合う。それは危うい戯れにも似た踊りだった。
マリラはこの踊りがお気に入りらしく、最初から惜しみなく音に乗った。カレナードはそれを全力でサポートし、マリラと同様に体幹に集まった力を十分に使った。
エーリフは笑みがこぼれるのを止めることが出来なかった。
「私のレッスンがここまで効いているとは。紋章人よ、よく応えた!」
会場は白熱した。第12曲が終わるや、歓声と拍手が崖にこだまして軍楽隊が驚くほどの大音響になった。
指揮者は肩をすくめて、拍手が止むのを待った。
失格者がないまま、6組は第13曲に入った。
ミセンキッタの大平原に伝わる緩急のついた舞踊をさらに難しくしたもので、複雑な足技を華麗に見せるのが特徴だった。そのために女性達は衣装を腰帯でたくし上げて締め直し、膝から下を見せた。明るい旋律がゆったり奏され、やがて急激に目まぐるしい速さに変わる。
勝負はその時だった。ソカンリとボルタが列からはみ出た。ボルタが回していたはずの腕からソカンリの腰が外れた。そのままソカンリは倒れそうになった。なんとか持ちこたえようと回転を利用してボルタの方へ向き直ったが、肝心の彼がソカンリの方へ突進した。審査団の旗が揚がった。同時にヤンヤン・カンとジョン・バレの2人がバランスを崩した。
観客達から「惜しい!」とどよめきが上がったが、彼らも失格になった。
舞台上では4組が踊りを締めくくった。
ヒロ・マギアはトペンプーラに渡す物を用意して舞台の様子をうかがっていた。
「うちのヤンヤンちゃんはよく頑張ったな。副長、ありゃ最後まで残る気だ。女王組と競って競って盛り上げておいて祭を抜けるつもりか。仕事熱心なヤツ」
彼は首から下げた袋の中の鍵を触った。
「今夜は良く晴れてるよ、ジルー。飛行艇よりグライダーの方が楽しいと思うんだ、俺っち。鍵は用意してあるから、よろしくな」
トペンプーラは充分に元気だった。
リンザの粘り強さと相まって、優勝に手が届く距離にいた。リンザの息が多少弾んでいたが、彼女にとってそれは問題ではなかった。
「ジルー、あと2曲よ」
彼女は情報部副長をもファーストネームで呼んでいた。
「ワタクシ、素晴らしいお相手に引き当てられシアワセですよ。さあ、気を抜かずに参りましょう。集中力です、リンザ嬢。」
2人は手を握り合った。リンザは誓った。
「勝つわ、私達!」
第12曲のイメージはビゼー作曲「カルメン組曲2番」から「ハバネラ」
Georges Bizet - Habanera from ''Carmen Suite No.2''
https://www.youtube.com/watch?v=EcFJTc28soQ

第13曲のイメージはバレエ音楽「コッペリア第一幕」から「チャールダーシュ」
https://www.youtube.com/watch?v=CWMayOHsOO
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