挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

202/388

第6章「夏至祭」16 踊り比べ第4・5曲

第3曲が終わった。審査団から失格の旗はまだ一度も上がっていない。
続いてテンポの速い第4曲になった。ミルタ連合の山岳地帯に伝わる舞曲は大小の跳躍が続く。2分足らずの短い曲だが、跳躍しながら向きを変え、素早いステップを入れる踊りは結構ハードだ。
演奏席のヤルヴィは第5曲の譜面をめくった。
「失格者が出始める頃かな…」
第5曲は、アナザーアメリカの詠唱曲をまとめたことで有名な詠唱師にして呪術師であった500年前の人物、ツフジを称える歌を基にしていた。
有名な曲だったが、振付けられた踊りは前衛的な廻り念仏踊り、あるいはトランス寸前舞踏とも言われていた。微妙にずれていく拍子の取り方に特徴があった。それは失格の要因になっていた。
カレナードはオルシニバレ市の四季の例祭で年に8回はこの曲を聴き、詠い、11歳から踊ってきた。夏至祭での踊りはかなり洗練された振りになっていたが、拍子をずらすタイミングは気持ちの良いものとして体が覚え込んでいた。
踊り手達は大きな円を描いて1列に並び、上体を前に倒して進む。拍が変わるところでパートナーと両手を繋いで円は2列になる。跳ぶように大きな歩で進んだかと思うと、また1列に戻り、さらに拍が変わる。これを繰り返すうちに恍惚となって失神する者があるのが、アナザーアメリカの例祭だが、ヴィザーツの踊り比べでは失格者を出すのだ。
マリラとカレナードはこれを難なく踊った。特にマリラは2列に変化するさい、カレナードのさりげないリードに気持ち良く乗った。それが2人を力強く、かつ優雅に見せた。
衣装の裾が揺れて舞う軌跡がそれを強調した。
だが、ヤルヴィの予想通り、この踊りで失格者が2組出た。変拍子に惑わされ、つまづいた男女と、2列から1列に戻るタイミングを誤って他の組に迷惑をかけた2人が舞台から消えた。
アレクが五の月の選抜練習を思い出していた。
「ここから先は真剣勝負になるなぁ」
ナサールは、束の間自分の仕事を忘れて楽しそうだった。
「それがいいのさ。手に汗握る瞬間がたまらないんだ」
「カレナードは大丈夫なんだろうな。お祭り野郎」
「心配ないさ、アレク。あいつの度胸は筋金入りで、心臓には毛が生えている、たぶんな」
第4曲のイメージはアルノ・ババジャ二アン作曲「ヴァガルシャパト舞曲」
https://www.youtube.com/watch?v=gh-ArEnwB2k

第5曲のイメージはモーリス・ベジャール振付けのバレエ「ルミ」から
Maurice Bejart 「Rumi」 音楽 Kudsi Erguner
https://www.youtube.com/watch?v=enOmxQP6JWs
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ