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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

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第6章「夏至祭」14 踊り比べ第1曲

散々な言われように対し、道化はわざとポーズをつけて叫んだ。
「誰がデベソですか!しかし、バカとアホとクソの汚名は甘んじてお受けしやしょう、アテンション・プリーズ!!」
彼は弾丸のように舞台の端までとんぼを切った。ヴィザーツ達は歓声を上げた。
「レディス&ジェントルメン!待ちに待った踊り比べの開幕に、もはや道化は要りますまい。審査団の方々は御起立を。はいはい、照明さん、あっちを照らして下さいな。ご紹介するまでもありませんね、団長は皆さまご存知の伊達男、ワレル・エーリフ艦長」
大きな拍手が起こった。道化は7名の審査団員の名を読み上げると、再び宙返りをして舞台の中央に戻り、「それでは音楽スタートッ!今宵の狂乱の幕開けにございまするッ!」と叫んで頭を振った。帽子に縫い付けた鈴がチリンチリン鳴って、ライトがすべて消えた。
カレナードはキリアンに無言でうなずいた。彼はマリラと並んで立っていた。
彼女は「さあ、行こうか」と声をかけ、信頼のまなざしを向けた。
舞台の脇を緊張感が走った。
第1曲の出だしのスネアがタンタ、タンタ、タンタララ・タンと鳴り響き、薄暗い舞台に50人の白い祭り衣装が躍り出た。
ファンファーレ替わりの地を這うような金管の重低音が崖を伝って広がった。
踊り手達の白い影が舞台の奥で一列に並んでいた。
行進曲が始まるや、ライトが踊り手の背後から点いた。彼らの影は舞台に長く尾を引き、その形は白と黒とわずかにオレンジ色を含んで揺れ動いた。
中央の18名が奥から観客に向かってステップを踏みながら進み出た。
ついで上手の16名が、さらに下手から16名が進み出た。その間に次々とライトが点き、すべての踊り手が観客の前に明らかになった。ヴィザーツ達はこの演出を歓迎した。
リリィ・ティンはウマルと一緒に少し高い斜面に座っていた。ウマルは感心していた。
「さすがエーリフ艦長は粋なことがお得意だ」
「凝った演出ね。女王を真ん中に置かないで、わざと下手の端っこで登場させるなんて。おかげでよく分かるわ。飾り帯が銀色だもの」
「寒くないか」
「私の気遣いしてないで、あなたも楽しみなさいよ」
「例の彼は堂々とやっているなぁ」
リリィは「そうね」と軽く返したが、ウマルは彼女の視線が舞台の上の女王とそのパートナーに釘付けなのを承知していて、わざと言ったのだ。
女子Y班は審査団より少し上の斜面にいた。オーレリがつぶやいた。
「リンザ・レクトーったら、くじ運がいいのね。お相手の情報部副長はタダモノじゃないわ。あの2人、最後まで残りそう。カレナードは大丈夫かしら」
マヤルカは余裕たっぷりだった。
「私のカレナードですもの。艦長のむちゃ振りにあれだけ喰い付いていっただけのことはあるわ。リンザに負けやしません」
第1曲のイメージは建部知弘「ケルト民謡による組曲」の第1部分「マーチ」からいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZfBkDYf5X9U
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