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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

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第6章「夏至祭」7 祭りに臨んで(マリラの壮麗なテント内)

総合施設部の技師がテント設営完了の知らせを寄こし、彼女はねぎらった。すぐさま女官達と女官候補生を指揮して、予定通りにコンテナを開けさせた。
アライア・シャンカールが相談に来た。
「マリラさまの儀礼服はベッドの正面に置かない方がいいのではありませんか。私はものものしくてお気に召さないと感じますわ」
「確かに。でも、あそこに何かないと空間がありすぎて間抜けだわ」
候補生のイアカ・バルツァが大きな生成り色のレースカバーのクッションを抱えてきた。
「マダム・シャンカール、これを置いてみてはいかがでしょう」
「やってみて」
アライアはその様子を見て5個ほど追加のクッションを置かせた。どれも微妙に色合いが違っていたが、軽い変化があってその場所に落ち着いた。ジーナが言った。
「マリラさまが訪問者にクッションを勧めるのにちょうどいいでしょう。ガーランドと違い、野趣があってよろしいですわ。イアカ、座卓とお盆は揃っているの」
「はい、ただいまギャレーに用意が整いました」
アライアはテント内をさらに内と外に仕切る垂れ幕をチェックしながら歩いた。布靴を履いた足の下には絨毯、さらにその下には杉板と断熱シートの感触があった。垂れ幕の外側にはマリラの衣装と化粧道具、キチネットとギャレーと簡易シャワーが納められ、さらに女官達の控え用のスペースがあった。
ガーランドからベル・チャンダルがマリラの装身具を収めた箱を持ってきた。
「今年はいつにもまして高原にいる感じがしますわ。色合いのせいでしょうか」
アライアが自慢した。
「私のアレンジはいい感じでしょう、ベル。念のため垂れ幕はすべて防弾仕様よ。マリラさまのベッドのカーテンも天蓋もね」
「さすがですわ」
女官達はベルトに小さな皮鞄を下げていた。そこに入っているのは短銃とナイフだった。夏至祭の衣装を着ても飾り帯の裏側にそれらを忍ばせる用意があった。
「何事もないといいわね、ベル」
「ふふ、アライアさんはせっかく射撃の腕が上がったのに」
「百発百中よ、私」
談笑する女官のかたわらで、候補生達は気を引き締めていた。
カレナードは古いトランクを持つと4階の窓から外を見た。新参訓練生が次々と下船に向かっていた。V班の部屋に残っているのは彼とキリアンだけだった。アレクがシャルとヤルヴィを引き連れて、男子訓練生の宿泊テントのベッドを確保しに行ったのだ。
「キリアン、窓は閉めた。そろそろ行くぞ」
「ああ、カーテンは開けておくんだったな。よし、5日後までこの部屋とはさらばだ!」
第3甲板下の倉庫からゴンドラまでの通路は人でいっぱいだった。それぞれに夏至祭のための荷物を抱え、賑やかな雑踏が続いていた。
その途中で2人は何度も声をかけられた。
「新参代表、頑張れ。」
「新参代表、調子はどうだ」
「新参代表さん、明日はゲネプロよ」
そのたびに挨拶して、頭を下げた。
相手はこれまでのリハーサルで顔見知りになった各セクションの出場者とその舞台補佐だった。彼らや彼女達は気さくだった。
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