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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第6章「夏至祭」

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第6章「夏至祭」2 ガーランド高揚・その2

トペンプーラが言った。
「難しいようですネ。施療棟と総合施設部から応援が来ても、進まないとは」
「いんや、進んでることは進んでるよ。俺っちはコアにたどり着けないのがもどかしいのよ」
「ヒロ、あなたともあろう人が何にこだわっているのですか。コアがないという仮定を忘れてませんか。玄街のコードは我々のとはぜーんぜん違うのですヨ」
「ああ、俺っち、煮詰まってるよ。昨日まで使えねえ新参どもの面倒見てさ、あいつらと一緒に何度ブレインストーミングしてもコード配列の順列組合せやっても、閃かない俺っちのインスピレーション。ジルーの考えを聞かせてよ」
年の近い2人は床に座り込むと、チョークで甲板に書き付けはじめた。
「ワタクシはネ、玄街さんがコード配列を守っている可能性は低いと思うのデス。我々のコードと決定的な違いはその辺じゃないかしら」
「確かにこっちのコードはシンプル一番を追求してるからねェ…。おおもとは起動コードと規則性のヴァリエーションを駆使しているのがコアなんだけど…クロちゃんは規則性にはお構いなしってことか」
「ナンですか、『クロちゃん』て」
「玄街のことだよ。ジルー。もー呼びにくいから、クロちゃんでいいよ」
「あ、そう」
ヒロ・マギアはチョークの図をぼんやり眺めた。
「あかんわ、何も浮かばない。半年これにかかりきりで俺っちの頭は真っ白よ」
「じゃあ、夏至祭を楽しむしかないですね。今年はいいものが見られますヨ」
「踊り比べのことか。女王と新参の紋章人だっけ、まだ見たこともないわ。新参は強化訓練でうちに配属されてた連中しか知らないよ」
「それでネ、あなたにお願いがあります」
「あまり難しいこと言うなよ。ジルー」
「踊り比べが終わって、無礼講が始まったら、ワタクシ、単独行でミルタ連合のベアン地方へ行きます」
「あはは、一抜けかよ」
「極秘ですから、一番小型の飛行艇を第1甲板に用意してくだサイ」
「そんなら噴射駆動付きのグライダーはどうよ。新開発の強化装甲付きパイロットスーツを試してみてよ」
「天候が許せばネ」
ヒロの話題はまた玄街の問題に戻った。
「規則性が緩すぎるコードってのは扱いづらいと思うよ、俺っち」
「そうですネ、ランダムで煩雑ですネ」
「ふうん、ティンダルとかコロイドとか乱数とか…いや、ウェハース構造式というか緩く繋がる…アレだよ…アレ…隙間だらけの…海綿みたいな…」
「ヒロ、本当に煮詰まってますネ。でも今のイメージはいい線行ってるかも。では、よろしく」
トペンプーラはヒロに小さな包みを渡すと自分の用事に帰って行った。包みの中身はヒロの大好きなジャム入りの固焼きケーキと艦長の祭り用酒蔵への招待券だった。
「ジルー、あいかわらず気が利くヤツ」
彼は包みを懐に入れると、設営作業を楽しむことにした。
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