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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第5章「夏至祭の前」

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第5章「夏至祭の前」29 今を選ぶ

カレナードは並んで座った情報部副長に言った。
「ブラヴォではないです。最後にサポートがずれてしまって…」
「レクトー嬢が羽目を外し過ぎたのですヨ。とばしたい気持ちは分かりますが、あれはいけません。2人とも怪我がなくて幸いでした」
「ところで、トペンプーラさん、マリラさまが事前にパートナーを指名したのはルール違反じゃないですか。他の出場者は前日まで相手が分からないのに」
「それくらい女王の権限、というより遊び心ですネ。その辺はガーランド・ヴィザーツは皆分かっています」
「そうなのですか」
「各セクションの代表者はすでに知れ渡っていますから、猛者は夏至祭までにこっそり総当たりで手合せしていますよ」
「24人と…手合せですか…」
「君の所に女性猛者は来ませんヨ。相手が決まっていますから。そういえばリハーサルの回数を増やす動きが出ています。早々に女王と踊る機会があるでしょう」
トペンプーラは発泡酒をカレナードに差し出した。
「これで疲れを取っておきなさいネ」
「キリアンが言うには、僕は酔うと笑いが止まらなくなって、タガが外れるらしいのです」
「これはただの麦酒です。心配ありません」
その日、カレナードのタガは外れなかった。リンザの一言が彼を酔わせなかった。
『パートナーに指名された意味が分からないの、この鈍感男!』
「マリラさまのお心は…。考えれば考えるほど、あの方は謎だ。だから僕はもう考えない。あの方を失望させないだけの踊り手になるだけだ」
そのことは、マリラに対し誠実ではないかもしれないと胸の奥から声がしたが、それ以上何をどうしていいのか、彼には分からなかった。
エーリフの特訓に打ち込むことが最善の選択かと自分に問えば、それでいいと腑に落ちるものがあった。彼は夏至祭で女王のパートナーとして晒し者になることに納得し始めた。
六の月に入り、後半の強化訓練が始まった。V班のメンバーはほぼバラバラになった。
ミシコは管制部に行き、アレクは甲板材料部に、シャルはコード開発技術部、ヤルヴィは総合施設部、キリアンとカレナードは航空部に配置された。
いずれも見習いの立場だったが、即戦力の部分を引き出すために各部署のガイダンスもそこそこに仕事という名の訓練が始まった。
航空部は飛行艇が主な訓練の場になった。
飛行艇のコース入力から計器チェック、飛行記録出力を、メンテマンや管制室など関係部署と確認しながら行う毎日が始まった。
朔日には古参訓練生が訓練生棟へ来て、衣装改めをした。
「よーし、当日まで汚すなよ!それから針仕事が得意な者は、もっと刺繍してもいいぞ」
この言葉に喜んだのは男子棟ではシャルとハーリだけだった。
カレナードは六の月の最初の診察をためらわなかった。自分がリリィにしたバカなことは、謝らねばならないと決めていた。
リリィが彼に謝るか否かは問題ではなかった。
キリアンが叱ったおかげで、彼はようやく冷静になったのだ。
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