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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第5章「夏至祭の前」

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第5章「夏至祭の前」28 転機

ミンシャは素直に感心していた。
「ねぇねぇ、ミシコ。カレナードとリンザは、あれ、ぶっつけ本番とは思えないわね」
「僕達もぶっつけなんだけど。上手くなったな、ミンシャ。いつ練習してたのさ」
「踊り比べだけが夏至祭じゃないわ。新参の女子は踊り比べのあとの無礼講でたくさんダンスのお相手を務めなきゃならないのよ。だから、あなた達が艦長にしごかれてる間、踊りの達者な女子達は特訓よ」
「なんだって。それも裏方仕事なのか」
「ンもう!ナサールから何も聞いてないのね。残念だけど、夏至祭当日はあなたと踊る暇はなさそうよ」
「だから今日踊ってるんだな」
「いいンじゃない、あとで楽団にもっと演奏してもらいましょうよ」
その頃マヤルカは自分が蹴飛ばしたキリアンの向う脛に医療コードをかけようとして、彼の必死の抵抗にあっていた。
「大丈夫!大丈夫だから、止めてくれ」
「遠慮しないで。思い切り当たったから、きっと痣になるわ。カレナードとの練習が出来なくなったらたいへん。簡単な炎症止めのコードよ」
「マヤルカ嬢、第11曲が始まるよ、行かなきゃ。男はこれくらいでへこたれない」
哀愁を帯びた曲が流れた。哀愁とは裏腹に、その場に互いの動きを追う男女の気が満ちてきた。カレナードは艦長の視線に気づいて、彼の言葉を思い出した。
『一緒に踊る相手の呼吸を感じているかね』
今はリンザの呼吸に合わせようと彼女の横に立った。誰が横にいようと、合わせてみせると決めた。キリアン、マヤルカ、ミシコ、ナサール、艦長、トペンプーラ、マイヨール、そしてマリラ。そうだ、誰であっても。ふとリリィの顔も浮かんだ。彼はそれを追い出さないよう努めた。
第11曲はリンザもカレナードも互いに相手に寄り添いつつ、大きな一つの踊りを形作った。いい出来映えだった。
リンザは喜んでカレナードに抱きついた。
「すごいわ、あなたったら!こんなに合わせられるなんて、すごく気持ちいいわ。ねぇ、恋人になって」
「君がすこぶる自由な感性で生きてることは分かったよ。でも、僕は艦長と張り合う気はない」
「チッ!一瞬で振らないで欲しいわね。10秒でいいから気を持たせたらどう」
キッとなった彼女はまるで猫のようだと思った。カレナードは言った。
「12曲と最後の曲は、浮かれてては踊れないよ」
「ああ、そうだったわね」
リンザは踊りのことになると集中するのだった。
「じゃあ、いい踊りをして楽しみましょうよ。エーリフを嫉妬させたいわ」
その12曲と15曲が終わると、踊り手達は観客と軍楽団にお辞儀をして解散した。休憩のあとは踊り足りないメンバーがまたステップを踏んでいた。
リンザはエーリフと踊っていた。
トペンプーラはこっそり取っておいた発泡酒を持って、庭園の端の木陰に行った。カレナードが木にもたれて座り込んでいた。
「ブラヴォ、カレナード・レブラント」
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