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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第5章「夏至祭の前」

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第5章「夏至祭の前」26 じれったいたら、ありゃしない

「おもしろい娘ですネ、リンザ・レクトー」
トペンプーラは新しい玉ねぎを網の上に並べた。カレナードは言った。
「負ける気がしません」
情報部副長は声を上げて笑った。
「なら、ワタクシは高みの見物としゃれ込みましょう」
「だめですヨ、トペンプーラさん」
「何です」
「僕の踊りをチェックしていてください。直すところがいっぱいあるはずですから」
「今日は遊ぶはずだったのですけど。ま、いいでしょう。さっさと腹ごしらえしなさい、カレナード」
久しぶりに御馳走にありついた新参生は、艦長の計らいでさらに甘いデザートを堪能した。それも終わると、軍楽団のメンバーにヤルヴィとハーリ達が加わり、リンザと艦長は腕組みして「新参代表を中心にした踊り比べのデモをやる」と呼ばわった。ミンシャはあきれていた。
「もともとお高い女だけど、リンザは艦長のお気に入りになったンだわ。イヤらしいンだか、たくましいンだか」
ミシコは竹を割ったようなミンシャにも同性を揶揄する気持ちがあると知り、安堵にも似た気持ちで言った。
「僕達もデモに出よう。君はリンザより魅力的さ」
「そうね、見せつけてやらなきゃ」
キリアンはマヤルカを誘った。ナサールも相手を見つけて来た。ヤルヴィは仕度をしているカレナードに「僕達の演奏はプロだから!」と言うと素早く楽団の位置に戻っていった。
新参生の半分がデモに加わった。残り半分と艦長の僚友たちは手を打って、踊り手たちを鼓舞した。その中にマイヨールがいて、力強い視線を送ってきた。少し離れたところでトペンプーラが、右手を頬に置き左手で右の肘を支える例のサインをしていた。カレナードはニッと笑って答えた。
「何を笑っているのよ」
横でリンザが余裕たっぷりに言った。カレナードは彼女の手を取った。
「僕には強運の神が2人ついているんです」
「あら、そうなの。私にはエーリフがいるわ。エーリフゥゥ~~~」
彼女は進行役を務める艦長にとびきり明るい媚を込めて呼びかけた。
エーリフ艦長は彼女に手を振った。カレナードはもう何の遠慮なくリンザに訊いた。
「彼の恋人になったの」
「当然よ。彼、魅力的な人だもの」
「艦長は君の父親くらいの年じゃないのか」
「いけないかしら。もっとも彼には他にも恋人がいるけど、私は光栄に思ってるわ」
「彼と寝てるんだ」
リンザはケラケラ笑った。
「あなたこそマリラ女王とそうしているのじゃないの」
カレナードは虚を突かれた。
「なぜ君ががそう考えられるのか、さっぱり分からない。僕の事情を知ってて、それが可能だとでも」
「あなた、意外に頭が固いのね。情を交わす方法なんて、いくらでもあるわ。女王さまが若くて生きのいい紋章人を放っておくわけないでしょ」
「君は恋愛にも自由なんだ」
「ふふ、乙女でいられる期間は短いわ。さいわい審美眼には自信あるのよ」
「じゃあ、その審美眼はマリラさまとこの一介の新参訓練生がいい仲に見えているのか」
リンザはじれったそうに言い放った。
「鈍いわねェッ!踊り比べのパートナーに指名されたってことは、そーゆーことじゃないのッッ!この鈍感男ったら!」
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