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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第5章「夏至祭の前」

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第5章「夏至祭の前」21 キリアンの中に目覚めた何か

カレナードは唇の端を上げて女医を見据えた。笑いは攻撃だった。彼女も同じように返してきた。挑戦を受けるわ、と目が語った。
じゃじゃ馬の気質とプライドから来る闘争心が、彼との戯れにも似た戦いを望んでいた。
カレナードは予想以上の出来栄えに満足した。少なくとも、今日はリリィの理不尽を封じたのだ。彼女との決戦は次か、その次の週だ。
リリィがマッサージを教え終わると、彼は気持ちよくエーリフのレッスンに臨んだ。
艦長はキリアンをよく仕込んでいだ。
「いいか、君ならできるはずだ。カレナードに合わせて踊るんじゃないぞ、彼に合わさせろ。向こうに自分勝手をさせるな」
「なぜです。リードは男の務めでしょう」
「リードとは別の問題だ。彼はけっこう頑固で、意地っ張りの部分があるだろう。違うかね」
キリアンはエーリフも紋章人をよく観察していると知った。
「まず女王と息を合わすことが要るのだよ。一人で踊るのではないからな。君は偉そうに踊るのだ。くいっと顎を上げて、そうそう、彼を見下す感じだ」
「マリラさまの代わりですか」
「そうだ。彼を支配するつもりでいけ。リードを奪うのだ」
「人生は戦いですね、艦長」
「はっはっは!オンヴォーグ、キリアン君」
キリアンにはエーリフの意図がよく分かっていた。女王参加の知らせの日に、階段上からカレナードが「女王にも勝つぞ」と叫んだ時、キリアンには違和感があった。
「パートナーに勝ってどうするんだ…」と彼は反射的に思ったのだ。
キリアンはカレナードが怒っている相手は女王なのかといぶかった。夜中に帰ってきた時はドクトル・リリィのせいだと確信していたが、それだけではなかったようだ。
「あいつはマリラさまには素直じゃないんだな。編入したてのあいつと俺がいがみ合っていたようなものか。
そういえば、マリラさまにオンヴォーグを唱えていただいた時も、女官長と難しい話をしていたな」
あの時のカレナードのなんともやるせない表情を思い出した。
「踊り比べが二人の溝を埋めるきっかけになればいいんだ。よし、艦長に見込まれた俺がやらないで誰がやるんだ」
カレナードの面倒をみてやれる自分を誇らしく思うキリアンだった。
それを知らないカレナードは、急にキリアンと合わせ辛くなって戸惑っていた。
「キリアン、足が絡みそうなんだ。音の取り方が速いんじゃないか」
「いや、音はこれでいい。俺の息に合わせてみろ。それと腰は絶対に引くな。お前の背丈だとそこで体を離したら次が踊れないぞ」
「君はいつの間に背が伸びたんだ」
「両親に手紙を書いてからさ。お前のおかげだ。ヤルヴィ、今のところをもう一度頼むよ」
ヤルヴィはしっかりと第7曲の途中からの弓を返した。
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