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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第1章「禁忌破り」

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第1章「禁忌破り」13 フロリヤは有無を言わさない(挿絵追加 2014/6/8)

14歳で出資寮の最年長になったカレナードは、同い年のテイトと2人で監督生を努めることになった。
挿絵(By みてみん)
面倒見のいいカレナードといったん突き放すタイプのテイトはシェドナン奨学生を目指す良いライバルだった。
16歳から挑戦できるこの奨学制度はオルシニバレ領国内の貧しい若者にとって、最高学府への切符だ。奨学金があれば出資者に多少借りを返すこともでき、卒業時の評定によっては出資寮生にオルシニバレ領国民の登録が許可された。
二人は必死だった。
監督生の仕事は夕方6時半に始まり、朝8時に終わる。監督生達は大急ぎでそれぞれの勤務先へ自転車を飛ばした。
カレナードはフロリヤに許可をもらい、昼休みにシェナンディ家の図書室で物語を読みふけって息抜きをした。
フロリヤは足音を立てずに歩くのが得意で、カレナードが読書に没頭していると、じっと図書室のドアにもたれて彼が気づくまで気配を殺す悪戯をした。
「お、驚かさないでくださいよ、フロリヤさん」
カレナードはこういう彼女に弱かった。素直に驚いてしまうのだ。
「髪を伸ばしてるのね、カレナード」
「願掛けです、シェドナン奨学生になれるように。試験に合格したら切ってカツラ店に売るんです」
「手入れの方法を教えましょうか。きっと良い値がつくわ」
確かにフロリヤは艶やかな髪の持ち主だった。そして一枚上手でもあった。
「その長さなら、リボンを結べるし、付け毛で綺麗なシニョンが作れるわ」
「何ですか」
「だから、女の髪形が出来て、女の服が着れるってことよ。明日の午後、開けといて。
私と一緒に4区の助産所へ行くのよ。あなたに誕生呪を聞いて欲しいから。お願いね」
「フロリヤさん、ちょっと待って下さい」
「図書室の鍵は私が持ってるの。あなた、ここが必要よね。夢中で読んでる時のあなたったら、幸せでしょ」
「おっしゃるとおりですけど、なぜ僕にドレスを」
「もう一つ!特に幸せになれること、知ってるわよ」
彼の弱味をつかんでいると匂わして、彼の後ろに立った。
「助産所では、見届け人の従者は女性と決まっているの。そして私の明日の従者はあなたでなくてはならないわ。耳と勘のいいカレナード。あなたならやれるわ。先月、出資寮春分祭の寸劇で女役を務めたじゃないの。楽しませてもらったわ」
フロリヤにここまで言われると承諾するしかなかった。
「明日ご一緒しますから、今日は忙しくなります!もう製図室に行かなくては!」
カレナードは中二階の図書室を飛び出した。フロリヤが後ろから声をかけた。
「室長には私からも言っておきます。明日はよろしくね!」
屋敷を出て工場へ続く並木道を走りながら、カレナードは彼女がいつ自分の秘密を嗅ぎとったのか不思議に思った。
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