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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第4章「春の嵐」

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第4章「春の嵐」29 罰の行方

夜半にトペンプーラがマリラに詫びと説明に来た。
「玄街間諜は全て逮捕しました。
マルゴ・アングレー、ミーナ・クミホことオリガ・ヨセンタ、他7名。全員のプロフィールです。どうぞ、マリラさま」
マリラは注意深く書類を読んだ。
「このマルゴ・アングレーだが、彼女は明らかにオスティアのヴィザーツ屋敷出身なのだな」
「そうです。生まれも育ちも我々の側です。しかし、彼女はどこかで玄街に共鳴した。
仕方がありません。100万人のヴィザーツの中には、道を外れるものもいます。
彼らはアナザーアメリカンとして生きる方法がありますが、マルゴはそうなる前に獅子身中の虫になろうと決めたのですネ。
ところで、マリラさま。ワタクシは女王を謀りましてございます。
お許しくださいマセ。
特に影武者をポルトバスクに降ろして、パレードに出席させた件につきましては、申し開きいたしません。いかようにも罰をお受けいたしますゆえ」
マリラは書類をトペンプーラに返した。
ジーナとアライアとベルが並んでいた。彼女達もトペンプーラと共謀の罪について、罰を待っていた。
マリラは誰も罰せぬと言った。
「仕方あるまい。相手は玄街だ。お前達にいちいち罰を与えていては、せっかく捕えた玄街間諜の情報も私の身の安全も、この先ままならぬ。
ただし、今回だけだぞ。この次は私を策謀の仲間に入れなさい。分かったか、ゆで卵」
トペンプーラは真っ赤になったが、敬礼を返した時にはもう白くなっていた。
「私の影はもう帰したのか。ジーナ女官長」
「いえ、まだ向こうの小部屋に軟禁してございます」
マリラは連れてくるよう、ベルに命じた。 
カレナードは実習服に着替えて、紙切れに何かを書きつけていた。ベッドの脇机に置かれた盆は手つかずだった。
「あら、食べてないのね。何を懸命に書いているの」
「食べる気がしません。でも…何もしてないと余計な事を考えてしまうので、マイヨール先生の課題をやってるんです」
「それがいいわ、今回の作戦のことは早く忘れる事ね」
「あなたは忘れるのですか、ベル・チャンダル」
「教訓としては覚えておくつもりです。オリガさんのようにならないために」
「軍人だから、ですか」
「あなたは気持ちを立て直そうと課題をやってる。私は私の仕事をやるまでよ。
感情はあっても、それに溺れていたら死ぬこともあるわ。ガーランド・ヴィザーツはタフなのよ」
ベルの眼は静かだった。
「オリガさんはスパイは出来ても、暗殺者には向いてなかったのね。
トペンプーラから聞いたわ。彼女は情報部の手が近づいたのに気づいてガーランドを脱出するつもりだったみたい。そんな時に限って、マルゴが彼女に暗殺計画に加わるよう持ちかけたの。
元々葛藤には弱い性質らしくて、ジレンマに陥った彼女は何度か図書館で卒倒したのよ」
カレナードはキリアンと一緒にミーナを介抱した日を思い出した。
「なぜ彼女がスパイだとわかったんですか…」
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