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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第4章「春の嵐」

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第4章「春の嵐」26 代役露見

マリラはジーナに問うた。
「そなたたち…いや、情報部長か。何を企んだのだ。私をまんまと計略に掛けおって」
ジーナは女王に恐れながら、と前置きをした。
「マリラさま、あそこにいるのは情報部が用意した偽女王です。彼女が女王として狙撃者に対峙している隙に、ヤッカ達が事態を収拾いたします。今しばらく我々を盾として身をお守りください」
「暗殺者が狙うのが影武者になるとは、聞いていなかったぞ。どこで間違えたのだ。それに私の影をやっているのは誰だ」
ジーナはきっぱりと言った。
「カレナード・レブラントでございます。紋章人を影に指名したのはトペンプーラです。
マリラさまに断りなく作戦に引き込んだ責めはあとでなんなりと承りますゆえ、今は御身の安全を第一とお考えください」
「では、あとで一切を聞かせてもらうぞ」
ミーナは綺麗に刈り込まれた生垣の間に身を潜め、カレナードのマリラを狙って撃った。
弾は防弾マントに当たり、階段に落ちた。カレナードはもう一度ミーナに呼びかけた。
「私にその武器は効かぬ。
ミーナ、投降しなさい。そなたはすでに私を撃つ力を持たぬ。暗殺者の役目から下りるがいい」
ミーナの黒い瞳はゆらゆらと泳いでいた。彼女は叫んだ。
「マ、マリラ…女王…!お前をしとめるのはあたしではなかった。
あたしはこんな事はしたくなかったんだ。お…お前がパレードの席で死んでいれば、あたしは…!」
彼女は再び銃を構えた。その手は震えていた。
突然、警備隊の投光機が輝き、ミーナの全身が浮かび上がった。哀れな細い体が一瞬立ちすくみ、逃げ道を探して走り始めた。テラス脇のドアからヤッカの一隊が彼女の行く手を阻んだ。トペンプーラと情報部員が東屋近くの隠し通路から現れ、マリラの新しい盾となった。
それを見たミーナは、ベランダへの階段を駆け上がり、偽マリラに突進した。
「おのれ、忌々しい女。あたしと一緒に死ね!」
追い詰められたミーナは自暴自棄になっていた。
彼女は至近距離から一発撃った。だが取り乱した弾はどこかへ消え、かわりにベルの弾丸がミーナの頭上を飛んだ。
ミーナは弾の切れた銃をカレナードに振り下ろした。女王のマントがひらめいて避けると、ミーナは二度三度と銃で殴りかかった。
女官長控室からワイズ・フールとピード・パスリが飛び出して、彼女を後ろから羽交い絞めにした。
その時、彼女は影武者の髪をつかんで引っ張ったのでカツラが取れた。その下から現れたのは、カレワランに良く似た新参訓練生の顔だった。
「な、なんでお前が、お前が女王なの…。カレワラン…」
ミーナはその場にへたり込んだ。
ワイズ・フールは彼女の銃を取り、ピードが他に暗殺道具がないかチェックしたが、何も出てこなかった。道化はあきれた。
「お粗末な装備ですね、予備のマガジンも弾もない。玄街のヴィザーツさん、やる気がないなら始めからこんな任務は断っておくべきですよ。
マルゴ・アングレーも人が悪い。自分はちゃっかり逃げる用意をしていたのに」
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