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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第4章「春の嵐」

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第4章「春の嵐」25 暗殺者

目覚めた時は、椅子に座ったまま夕闇の中で1人きりだった。カレナードは立ち上がり、隠し通路から女官長控室に入った。ジーナはいなかった。隠し通路に戻り、マジックミラーを覗いたが、マリラはおらず女官達の姿もなかった。
灯りはわずかで、どこもかも静まり返っていた。彼は急に心細くなった。小部屋に戻る気になれず、マリラの姿のまま、女官長控室の隅に座っていた。
灯りを点けてない部屋に誰かが入って来た。
小柄な女が音もなく部屋を横切り、ベランダへの扉をそっと開けた。その横顔に見覚えがあった。ミーナ・クミホだ。
カレナードは立ち上がった。
ミーナはベランダに出て、ふところから銃を取り出した。背後から見ていたカレナードは、銃の狙う先にマリラと女官達がいるのを知った。カレナードはベランダに走り出て、叫んだ。
「ミーナさん、やめろ!」
彼女は振り向いたが、驚きと戸惑いに目を見開いた。
「マリラ女王が…2人もいる…、下にいるのが偽物なの。どっちを始末すればいいの。こんなの聞いてないわ。マルゴは何を間違ったの」
ミーナは反射的に引き金を引いてしまい、弾はカレナードをかすめて、女官長控室のガラスを割った。ミーナはベランダから庭園への階段を駆け下りた。
カレナードは階段の上からミーナめがけて手あたり次第に鉢と椅子を投げた。階段の途中で庭園のマリラに引き金を引こうとしたミーナは狙いを定められず、そのまま走り下りた。その間にマリラと女官達は東屋の陰に入った。
ジーナ女官長の警笛が3度、暮れかけた上層天蓋に鳴り響いた。
ミーナは東屋の方に駆け寄った。
「どっちが本物の女王なの。両方を殺すしかないの」
ベルが玄街の刺客に向けて1発撃った。ミーナは素早く植え込みの後ろに伏した。
カレナードは女官長の机と本棚の引き出しを漁り、拳銃とナイフを見つけた。彼は弾丸が1発装填されているのを確認し、ナイフをドレスのベルトに下げた。隠し通路に防弾マントがあるのを思い出し、それを身につけると急いでベランダから庭園の様子をうかがった。
庭園はほの暗く、灯火は点いていなかった。ミーナの白っぽい服がじりじりと植え込みから回り込んで、ベランダを背にしていた。
カレナードはベランダから階段にかけて全ての灯りのスイッチを入れた。遠目にはもう1人マリラが出現した。彼はミーナに呼びかけた。
「ミーナ・クミホ、私を撃って何とする。そなたは玄街の者か、答えよ」
ジーナとアライアとベルは、カレナードの姿に驚いていた。
ベルがアライアにささやいた。
「私はちゃんと眠り薬をお茶に入れました」
「量が足りなかったか…それとも体質に合わなかったか…。一度試しておけばよかったわね、ベル」
ジーナは2人に「手遅れです」と言った。
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