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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第4章「春の嵐」

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第4章「春の嵐」6 初めて、初めて、初めて

トペンプーラは次の事件を手早く説明した。
「もう一つは皆さまご存じのララークノ家脅迫事件です。二の月11日正午、テネ城市内の領国府庁に玄街の一団が現れ、府庁長官に対し『領国主のララークノ家を廃さなければ、大河以西を武力と呪術で占領する』と脅しました。
白昼堂々と行われた脅迫としては初めてであり、また、玄街が一領国を相手にした点でも初めてのケースです」
艦長はつぶやいた。
「ララークノ家ね、広大なミセンキッタを治めてきた一族にしてはお粗末ですな。玄街に付け入られた」
アンドラが詳しく説明した。
「先年の秋に領主夫妻が大河の事故で亡くなったあと、後継者でもめにもめましたのでね。夫妻には9歳の一人娘テッサしかおらず、夫君の弟が我こそはと立候補すれば、細君の親族も対抗馬を出し、議会はテッサが成人する6年後まで摂政を置けと別の親戚を押し出す始末。我らが先日テネ城市の上空を飛んだ頃には決着の兆しがあったようです」
ヨデラハンは決着の結果を聞きたがった。アンドラは苦笑いした。
「傑作です。テッサの後見人に彼女の伯父が付いて、彼は8年の期限で領主代行となりました。テッサは15歳になれば領主ですが実際には17歳までは伯父に仕切られるわけです。ララークノ家は要注意ですな、火種を残したようなものです」
艦長はなにやら口の中でブツブツ言っていた。ヨデラハンが訊いた。
「何を歯切れの悪いことをやっているのか、エーリフ」
「いや、初めてのことが多すぎるのでね。参謀室長殿。奇妙だと思いまして」
「確かにそうだな。玄街がこれほど大きな事件を次々と起こすこと自体が奇妙だよ」
アンドラも加わった。
「奇妙と言えば、我々ガーランド・ヴィザーツへの攻撃の仕方だ。オーサ襲撃といい、ガーランドへの直接攻撃といい、狙いがはっきりしない。奴らの目的は何だと思うかね。オーサの場合など無差別攻撃だ。ヴィザーツだけを撃たずにアナザーアメリカンを巻き込んでいるのだ」
ヤッカが補足した。
「ガーランドへの直接攻撃では、我々の方には死者は出なかった。向こうは全滅です。こちらの出方を見るための作戦だったのかもしれません」
エーリフはまた「初めて、初めて、初めて」とつぶやき、もう一度スクリーンを見た。
「赤い点が打たれた場所に少々偏りが見られますな」
彼はトペンプーラに事件の種類ごとに色を変えられるかと訊いた。
「もちろんです、艦長。殺人・誘拐・脅迫・窃盗・騒乱に分類済みです」
「たいへん結構だ。それを見せてくれ」
スクリーンは玄街の犯罪を新たな視点で映し出した。エーリフは唸った。
「初めてのケース、および殺人と騒乱は東に集中している。特にミセンキッタの大河より東側だ。誘拐や窃盗は大河より西側に多い。誘拐事件について特徴はあるかい、アンドラ」
「ここ数年は大口の身代金を要求することが多いですな。都市部の裕福なアナザーアメリカンは警戒しています。特に大河沿いから西の領国、ブルネスカ、ミルタ連合、オスティア。玄街は金を必要としている」
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