大型肉食恐竜型ハンター
前回までの流れを今一覚えてないので、そろそろ矛盾が出てくる頃だと思います。
推敲とかもしたくないです。
~前回のあらすじ~
ディーネが強い。
~大型ハンター~
大型肉食恐竜型ハンターは、小型獣型ハンターに振り向いて大きく口を開けて吠える。
まるで獲物の邪魔するなと言われているようで、攻撃を止めて戸惑う小型獣型ハンター。
小型獣型ハンターは大型肉食恐竜型のハンターに牙を向けて威嚇したり、吠えて威嚇している。
大型肉食恐竜型ハンターはぶるぶると頭を振って小型獣型ハンターを片足で踏み潰す。
大型肉食恐竜型ハンターに踏み潰された小型獣型ハンターは頭を上げて吠え、頭が地面に突く。
小型獣型ハンターの紅い眼が点滅して消え、小型獣型ハンターからばちばちと火花が散っている。
大型肉食恐竜型ハンターがオレに襲い掛かろうとしている小型獣型ハンターを銜えて放り投げ、口の中の砲口が伸びてキャノン砲で小型獣型ハンターを撃つ。
小型獣型ハンターが空中で身体を起こすのも虚しく空中爆発する。
大型肉食恐竜型ハンターは尻尾で小型獣型ハンターを薙ぎ払い、口の中の砲口からキャノン砲で小型獣型ハンターを撃っている。
小型獣型ハンターが大型肉食恐竜型ハンターと戦っている。
強烈なフラッシュバックとともに、誰のものともしれない思考が脳裏を過ぎった。
それは間違いなく自分自身の考えである筈なのに、えも言われぬ不気味な既視感に脳を全て乗っ取られてしまったような感覚が全身を包み込む。
自分の見ている風景を別の誰かに実況されているような悪寒。
「おい! 聞いておるのか!」
ふと意識が引き戻される。
ディーネがこちらを振り向きながら口を開いているが、その言葉が頭に入って来ない。
霞んでいた視界が徐々に開けていく。暴君竜は別の小型ハンターを標的に定めているようだったが、それに追随するように現れた大小様々のハンターは、四方からオレたちを取り囲むようにして砲撃を続けていた。
暴君竜が現れてから今に至るまでの記憶が欠落しているような気がする。
いつの間に大量のハンターが現れたのだろうか……
「これは……」
あまりにも唐突な記憶の欠如に、間の抜けた声を吐いてしまう。
「何を呆けておる! 負ぶされとは言わんから、の背に触れておれ。娘を追うのじゃろう?」
「あ、あぁ!」
そうだ……今は少女を助けることが最優先だ。
ふらつく体を抑えながら、オレはディーネの背中に触れる。
オレが背中に触れたことを確認すると、ディーネは人間の形を捨てるように龍へと姿を変えていく。角が生え、尾が生え、その皮膚は鱗となり、小さなそれらは大きな災いへと変貌を遂げて、一つの巨大な生命を形作った。
あまりに硬い鱗の感触に、思わず息を呑む。
荘厳かつ壮美な生命を前にしては機械仕掛けの体躯しか持たないハンターなど、取るに足らない虫けら同然のようだと思った。
健気にもこちらに向けて攻撃を続けるハンターたちを一瞥すると、ディーネは何をするでもなくただ羽ばたいた。
飛び上がると同時に木々は倒れ、周囲にいたハンターの殆どは吹き飛ぶ。
こんな生物に狙われてはどんな大国であれど為す術なく蹂躙される他ないと感じるほどの圧倒的な力を前に、吠え猛るハンターは暴君竜を残すのみとなった。
どれほど圧倒的な力を前にしても逃亡は許されず、ただ誰かに仕組まれた本能のままに敵を排除し続けることを生存理由とするハンターの限界。ディーネが哀れに思うのも無理はないのかもしれない。
暴君竜の紅く鋭い眼からはレーザーが放たれ、口内からは巨大な火砲。体の至るところに備え付けられた銃火器も全てが火を噴く。
しかし考えうる限りの最大火力を用いたのであろう一斉射撃もディーネの堅牢な鱗を貫くことはできず、発射音だけが空しく響いた。
「……行くかのぅ」
溜息とともにディーネがそう呟いた。
「あいつ等を放っておくのか?」
「奴らにできるのは有効射程距離から出るまで追うことくらいじゃろ。大した脅威でもないわ」
再開された攻撃すら歯牙にもかけず、少女を追うために天高くへとディーネは舞い上がる。
「そんなことより、儂は御主を連れていくだけじゃぞ。儂に娘だけを殺さずに助け出す手段などないからのぅ」
ディーネは言葉を紡ぎながら恐ろしい速度で加速していき、台詞が終わる頃には先ほどの少女が視界に捉えられるところまで来ていた。
見るとハンターの数が明らかに増加しており、少女を乗せる大型の鳥も満身創痍といった様子だ。
少女よりも大鳥の方が与し易いとでも感じたのか、ハンターの殆どは執拗に大鳥に殺意を向けているように見える。
取り分け巨大な翼竜のような形をしたハンターは嬲り殺しにでもするように鳥の脚部を狙い続けていた。
「あの数じゃ手が出せない!」
数匹であれば各個撃破していけばいいのだが、多くのハンター相手だと非殺傷の自動拳銃しか持たないオレは役者不足もいいところだ。
「流石にこれは予想外といったところか……一体、どこからリミッターの外れたガラクタを持ってきたんだか」
あまりの物量に尻込みしていると、いよいよ限界を迎えた大鳥が羽根をだらりと垂らしながら頭を下にして墜落していく。
結果として大鳥の背に乗っていた少女も同じように地に向けて墜落を始める。
「落ちる前に受け止めろ!」
地面へ激突する前になんとか受け止めようと提案したものの、ディーネが動き始めることはない。
「おい! ディーネ!」
「もう、その必要はなくなった」
冷静に放たれた一言がどんな意図から出たものなのか、オレには理解ができなかった。
助ける必要はないと、そういう意味の発言なのか問い詰めようとした瞬間に、眼下の木々が倒れていく音を聞いた。
「儂が目覚めたのだから、貴様も目覚めたということか……」
ディーネは語りかけるような口調で話しているが、その相手は自分でなく別の誰かであるらしい。
少女が地面に激突する間近で、ディーネの真下辺りから状況にそぐわない溌剌とした声とともに、全身が黒で染め上げられた龍が飛び上がった。
「お姉様! 助太刀に参りましたわよ! 一先ず、この子を助ければよろしいのでしょう?」
少女が激突する直前になんらかの魔法で落下速度を抑え、その背に受け止めたらしく意識を失った少女を乗せたままこちらへ近づいてくる。
片手間に空中のハンターを焼き尽くして。
アルガスタから主人公の一人称変わってますよね。
どういうことでしょうか。