涼やかな夏風
眠る前に一つ。
夏休みの中で涼しい風が吹いている日ほど、貴重な日はない。
プライム効果というのか、このような価値のある日には、何か一つでも変化が起こればワクワクしてしまう。
このような日は、これから訪れるであろう暑く眠れぬ夜のため、寝溜めしたほうがいい。人間としての本能なのか、今にも寝てしまいそうだ。
眠る前に、一つプライム効果を最近メディアミックスで話題となっている「異世界」で当てはめてみよう。
現在ブームとなっている「異世界」だが、なかでも現代の日本学生、社会人が転生や召喚し渡されたチートや現代知識を駆使して活躍するというものだ。
上記の「異世界」の主人公たちが、このように活躍するのは、神である著者がこのようにした方が面白い、自分ならこうするだろう、これらの思考や感情の影響が大きい。
批判するわけではない。
週刊漫画雑誌で10年続けた方や、伝説となっている人、もちろん新人漫画家も自分が面白いと考えて書いているし、時には自分を投影させることだってある。
当たり前なことを書き述べることで再認識しているのだ。誰が詰まらないと思うストーリーに時間をかけるものか。
話を戻そう。
転生、召喚。なんでもいい。この「異世界」のプライム効果は、「異世界」を前提にしていることが大きい。
仮に、現代知識を「異世界」で再生する場合、主人公となる人物は現代知識を詳細まで知らなくてはならない。浅はかな知識では形成どころか、常識や倫理観を歪めかねない爆弾となる。
そして、この危険性を若者が理解しているかというと、難しい。彼らは精神的にもわかもので、成熟するには多くの人間、失敗や無理解を感じなければならない。
しかし、「異世界」には理想の体現を補助、もしくは解決させる「異世界」特有の技術がある。
魔法、錬金術、スキル。
名前はバラバラだが、どれも強力で、使用者の生活の基盤でもある。
浅い現代知識と「異世界」特有の技術を掛け合わせれば、その効果は大きく、多額のお金を得るのも無理ではないかもしれない。
「異世界」に足を踏み入れ、このような可能性を目の当たりにした場合、この貴重な機会を逃してはいけないと、自分を鼓舞し叱咤する。これが私が述べる「異世界」においてのプライム効果だ。
もちろん、偏見だらけの、一個人としての私の見解であり、最初に述べたプライム効果とは方向性が違う。
なぜなのか?
プライム効果、つまり訪れる機会に対して、向上と休む二種類の人間がいるからだ。
全てをやり遂げることが出来ないと無自覚した人間は機会を本能的に二種類に分別する。
これは娯楽物だけでなく、私たちにも当てはめてまるだろう。
最も、「異世界」から呼ばれた人間がのんきに休むことが出来るとは思わない。
彼は自分のリゾートライフを復活させるという酷く個人的な欲で、必死に問題解決に取り組み、あろうことか、次なる事件を呼び寄せる結果になるかもしれないが、読者である私には分からない。
アリ地獄の始まりように、どんどん泥沼化が進行し、問題と事件が連鎖するのは現実も変わらないだろう。
ただ、どんな形であれ、得るものが大きいことは保証する。
ならば、束の間の休息。どっぷりと身体を休めようとするのは、何も間違っていない。
……zzz