月下【二百文字小説】
路傍之杜鵑先生主催、美女描写企画「二百文字の彼女」投稿作品を読んでいて、無性に書きたくなり、書いてしまいました。
月下の湖に女が踊っている。
その黒髪は黄金の月の下に艶やかに広がり、その白い衣は蒼い湖面の上に淡くきらめいている。
女は袖の衣を振り舞わせ、跳ねるように湖に踊る。足着く水面に浮かぶ波紋は、月夜の静寂にかすかな水音を響かせながら、互いに重なり打ち合い触れて、元の水へと還っていく。
翻る袖の垣間に、月光を映す双眸が見えた。
目が合った。
その目睫は細く緩み、白面に鮮やかな朱唇が薄く開く。
月下笑貌。
私は誘われた。