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  大地の系譜 作者:Melon
23
 所変わって、ここは王宮の門前

「さーて、王宮の見張りのことを忘れていたぞー。・・・・・・どうしよう」

 門の両脇には騎士が居る。と言うかこっちを見ている。
 ま・・・・・・まぁ、てきとうに挨拶でもしておけばいいかな?

「ご、ご苦労様です・・・・・・では」

 ガターン
 ぉ、普通に門を開けてくれた。
 アメリアが口利きでもしてくれたのかな?
 まぁ、入れるんだったらなんでもいいか。
 失礼しま~す

「誰か知り合いに会えるといいんだが」
「ですねー」

 さーて、探索の開始だ。
 結構広いな、どこから行ってみようか。

「おい」

 うーむ、とは言っても全く知らない場所だし、とりあえず玉座の間までは一直線だから、そこまで行っちゃう?
 でも、あそこに進入はさすがにやばいかな・・・・・・。

「おい、聞いておらんのか?」
「ん?え?」

 そこで初めて自分が呼ばれていることに気付き、慌てて声のする方を向く。

「あ、えと、ロランさん、でしたっけ?」

 そこに居たのは、アメリアとの話し合いの際に同席していた騎士、”ロラン”。
 相変わらず厳つい鎧を着けている。

「いかにも、して、王宮に来るとは何か用かな?渡り人よ」
「ぁー、あの、アメリアを探していまして」
「そうか、だがアメリア様は今はらんぞ、公務の最中でな、現在出かけておる」
「そうなんですか」

 当てが外れてしまった。
 うーむ、どうしよう。

「アメリア様に用がおありかな?」
「そうなんです。オレ、よく考えたらお金持ってなくて、服とか日用品も買えないので、アメリアになんとかして貰おうと思っていたんですよ」
「なるほどのう」

 そこでロランは思案するように顎に手を当てる。

「そうだな、そのことについては私からアメリア様に伝えておこう、今は僅かではあるが、必要な分は私が出しておこう」
「おー!」

 梗汰にとってそれはまさに天の助け。
 ロランさん恩に着るぜ!

「ありがとうございます!」
「うむ」

 そう言ってロランは懐から財布のような物を出し、そこから梗汰に五枚の硬貨を渡した。

「これくらいあれば事足りるであろう、無駄遣いはするでないぞ」
「ども!」
「よかったですねー、コータさん」
「おう」

 それを受け取りポケットに入れると、もう一度礼を言い王宮から出た。





 つか、この街広すぎ・・・・・・、どこに何があるかさっぱり分からんぞ。
 とりあえず誰かに場所を聞くか。

 梗汰達は王宮を出て噴水の近くまで来ていた。

 しばらく歩くと騎士っぽい鎧を着けた人を発見。速攻で聞き込みを開始する。

「すみませーん」
「・・・・・・なんでしょうか?」

 一瞬梗汰の服装を見て苦い顔をしたが分かった。
 そりゃボロボロの服で子供を引き連れて歩いてる人が居たら、そうなるよな。
 ・・・・・・早く服を買わないと。

「服などの日用品が売っている通りはどこでしょうか?」
「あーはい、それはですね。ここから一番近いところだと、この先の通りを右に曲がって、しばらく行った所にそのような店が多い通りがありますよ」
「ありがとうございます」

 とても親切な対応だ。
 騎士っぽい人に感謝をしつつ、教えてもらったとおりの道へ向かう。

「よーしサイラ、あっちらしいぞ、行くか」
「はーい」

 トコトコと梗汰の後をついてくる。

 騎士っぽい人の言うとおりしばらく歩くと、商店街っぽいのを発見。
 人も沢山歩いており大変賑やかな場所である。
 そんな中、自分が周りの人にチラチラ見られているのが分かる。
 さすがに今の梗汰の服装は目立つようだ。

 なんだか無性に恥ずかしくなってきたぞ・・・・・・早いとこ服を購入せねば。
 えーと、服屋っぽい店はーっと。

 そのまま通りの進み続けると、それらしい店を見つけさっそく入店。
 見た感じ、それほど高級な店ではなさそうだ。
 これならあまり金を使わずに済みそうだな。
 店内には沢山の服が置いてある、数は少ないが民族衣装の様な物から、ハンカチ、バンダナまで、しかし、さすがに梗汰の世界のような洋服は無い。
 梗汰は店内を軽く見てまわった。
 置いてある服は、機能性に優れた物が多く、カラフルな服やデザインに気を使っている服は多くない。 

 さすがにジーンズとかパーカーは無いか。

 流行り物とか全く分からない梗汰は、元から自分の服装には余りこだわらない性格というのもあり、お店の人に完全に任せることにした。
 そこでついでにサイラの服も買ってあげることに。

「サイラも欲しい服とかあったら言ってな、ついでに一緒に買っちゃおうぜ」
「で、でも、私お金・・・・・・」
「あー気にしないの、こう言うのはこっちが払う仕様になっているのです」
「な、なら!これと、あれと・・・そしてこっちもっ」

 サイラは選んだ服を手にしながら店の奥へ歩いていった。
 
 よし、問題は、ロランさんがくれたお金で足りるかどうかってことなんだが・・・・・・。 
 いざ会計という時に足りないのは恥ずかしいから、確認しておくか。
 
「あのー、すみません、このお金でどれくらい買えますか?」

 そう言って梗汰はポケットから先ほどロランから貰った硬貨を全て取り出す。
 それを店員に見せる。
 すると店員は驚いたような顔をする。
 あれ、もしかして全然足りないのかな・・・・・・?

「お、お客様、この硬貨一枚でも、この棚の商品を全部買ってもお釣りがきますよ・・・・・・」

 え、まじかよ、そんなのをひょいっとくれるロランさんすげぇ!
 どうやら現金の心配はしなくて良さそうだ。

「おぉ、そりゃよかった、」

 これなら問題なくサイラの服を買ってあげられるな。
 その後、お店の人に選んで貰ったのから自分の気に入った服やズボンなどを二十着と、下着を上下十五着ほど選び購入。
 因みにサイラにはワンピース型の下着 ――シュミーズとローブ等五着ほど買ってあげました。
 一応、ジーンズやパーカーのことを聞いたが、この店には置いていないらしい。
 今度探しに行ってみようかね。

「よーし、これだけあればしばらくは着る物には困らないな、後は日用品か」
「日用品のお店ならこの通りにありそうですねー」
「そうだな、てきとうに歩き回ってみるか」
「はーい」

 梗汰達はその通りで、歯ブラシや食器などの様々な日用品を購入し、今後の生活のに必要な物を確保した。
 ロランさんが結構な額の現金をくれたお陰で、お金に困ることは無く、やや無駄遣いもした。
 すまん、ロランさん、つい無駄遣いを・・・・・・。
 梗汰達は必要なものをあらかた買い終えると、買い食いや露店を見ながら王宮へ戻った。
 


「コータさん、今日は一緒にお買い物が出来て楽しかったです。服も買ってくれてありがとうございました!」
「まー良いってことよ、オレも楽しかったしね。一緒に来てくれてありがとね」

 そう言って手ごろな位置にあったサイラの頭を撫でる。

「んもう、今回だけですからね」

 そう言いながらもサイラは気持良さそうに目を細めた。

「あはは、ごめんね。なんか丁度いい位置に頭があったからさ」
「まったく仕方ない人ですねー」

 サイラは鬱陶しそうに言いながらも、嬉しそうに微笑んだ。



 梗汰はサイラを王宮まで送り、そこで別れ自分の部屋に戻った。
 梗汰は部屋に着くと、買った日用品を早速配置し、服はタンスにしまった。

「今日はほんっとに色々あったなぁ、不知火さんは凄いし、ロランさんは良い人だった」

 色々買ったしとりあえず生活は出来そうだ。
 それに、面白いものも買えたしね。

 梗汰は今日買った鞄から、四角い箱の様な物を取り出す。
 それは各面が3*3=9個の色の付いた正方形で構成されている立方体。
 木製の3*3*3のルービックキューブだ。

「まさかこれがこの世界にあるとはね。まぁこれで練習できると思うんだけど、いけるかな・・・・・・」

 ルービックキューブを手のひらに乗せ、深呼吸をする。
 すると、ルービックキューブの各面がゆっくりと動き出した。
 カタッカタッと各面が少しずつ動く。

 梗汰は小さい頃、親にルービックキューブを買ってもらい、一時期熱中していたことがあった。
 今でも時間はかかるが、ルービックキューブを普通にやって解くことは出来るだろう。
 だが、梗汰はそれを地霊術を使って解こうと考えたのだ。
 地霊術を使うにあたって、木製というのも丁度良かった。
 ルービックキューブの解法という思考しつつ、なおかつそれを高速で術を使い動かす。
 複雑な思考をしながら、術の構成速度、術の動作思考、そして正確さのトレーニングが出来る。
 梗汰はこれが店先で売られているこれを発見した瞬間、購入を決めた。

「久しぶりだから普通に解くのも難しく感じるな・・・・・・」

 術で動かすルービックキューブの動作は、控えめに言っても鈍い。
 遅々とした速度でルービックキューブは動き続ける。
 しばらくそれを続けた梗汰の額には、多量の汗が浮かび上がっていた。

 約五十分後、ルービックキューブは完成した。

「はぁ、はぁ、これ・・・・・・辛い、昔なら五分くらいで出来たのに」
 
 さすがに手でやるのとは勝手が違うな、それに考えることが多すぎて大変すぎる。
 梗汰は、ルービックキューブを解くことに夢中になりすぎて、時が経つのも忘れ、休憩もとらなかった。
 
「っ痛つ」

 頭が少し痛むな。
 ふと鼻の奥に違和感を感じ、指で拭う。

「・・・・・・また鼻血か」

 鞄から薄い布を取り出し鼻に押し当てる。

 瞳の話によると、術の使いすぎで鼻血を頻繁に出すのは子供がほとんどなんだそうだ。
 子供の頃から術の行使をすることで、術を使うと言う事を脳に慣らせて、脳に術を使うという負担に対する耐性をつけるらしい。
 大人の精霊術師が鼻血を出すのは、よほど無理をした時などにしか起きないと言っていた。
 よってそのような訓練をしていない梗汰は、頻繁に鼻血が出るのである。

 しばらくすると鼻血も収まり、頭痛も和らいだ。
 梗汰は鼻血で汚れた布を洗い室内に干した。
 鼻血をいつ出すか分からない梗汰にとってハンカチは必需品である。

「今日は、もう寝るか」

 梗汰はルービックキューブをタンスの上に置き、寝巻きに着替えベッドに横になった。

「これからもやることは沢山ありそうだ。毎日が忙しいな」

 だが、それも悪くないと思える。

 明日からも頑張るか。


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