8.翔子vsダカルラーテ、そして……
塔に入って入り口の扉を閉めたところで譲治と聖は一息ついていた。
「あ〜あ……あのダカルラーテってヤツ、死んだかもな……」
譲治がそう切り出した。
「たしかに牧野は女子の中でもとびっきりケンカが強いけど、いくらなんでもあのデカさはヤバイだろ。今からでも戻って加勢したほうがよくないか?」
聖がそう提案して扉を開けようとするが、譲治がそれを押しとどめた。
「むしろオレたちが出て行くほうが邪魔になるだろう。ショーコが大丈夫って言ったんなら大丈夫、アイツはすぐに追いついてくるさ。さあ、この階は誰もいないようだし、上に行こうぜ!」
譲治はそう言うと階段を上がっていき、聖もあとに続いていった。
「強化された‘ビガー’マーク2とこのダカルラーテをたった一人で倒すだと? なめたマネを……」
‘ビガー’マーク2に乗ったダカルラーテが忌々しげにつぶやく。
「ふふん、一度私に負けてるヤツが何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえないわ。ちょっと図体が大きくなったからって勝てると思ってるの?」
それに対し、翔子は勝ち誇った表情でそう言い放った。
「このクソガキ、調子に乗るんじゃ、ねえ!」
今の翔子の一言で完全にキレたダカルラーテが‘ビガー’マーク2を操作して翔子に殴りかかってきた。
「ったく……これだから単細胞って嫌いなのよ……もう、邪魔!」
翔子はブツブツと文句を言いながら肩にかけてた鉄球を振り回した。ドズンとものすごい音をたてて鉄球は‘ビガー’マーク2のすぐ目の前の地面にめり込んだ。
「ふん、どんな力も相手に当たらなければ何の意味もないわ! 今度はこちらから行くぞ! 食らえ、‘ビガー’ミサイル!」
ダカルラーテは背中に冷や汗が流れるのを感じながらも強気にそう叫び、反撃のミサイルを背中から発射する。
「あら、デカくなっただけじゃなかったの。でも、こんなチャチなミサイルなんかで私を倒せると思わないことね!」
翔子はそう言うと鉄球の鎖の真ん中を握り、両側についた鉄球のうち片方を自分の眼前で回転させ始めた。小型ミサイルはキン、という音をたててはじき返され、撃ったダカルラーテ自身に直撃、激しい土煙が上がっていた。
「バ、バカな……いくら小型とはいえミサイルをはじく生身の人間なんて……ああ、今は実験体が一体化してるからこそ可能なのかもしれないな」
防御して小型ミサイルの威力を大幅に減らしたダカルラーテが土煙の中からほぼ無傷で出てきた。
「今まではこの鉄球を出すこと以外でゴウシの力は使ってないわ。でも、せっかくだしここからは現時点で出せる最大限で戦ってあげる」
翔子が相変わらずの薄い笑みを浮かべた直後、翔子の全身が光り輝いた。
「しょせんハッタリだろう!」
ダカルラーテはそう叫びながら翔子を押しつぶさんと迫ってくる。それに対して翔子は余裕の表情を見せ、
「星に、なれーーーーーーっ!」
と叫びながら勢いに任せて鉄球を振り回した。鉄球はゴスッ、と鈍い音をたてて‘ビガー’マーク2に当たり、その衝撃で‘ビガー’マーク2はダカルラーテを乗せたままはるか空の向こうまで吹っ飛び、星になった。
「さて、さっさとジョーたちに追いつかないとね」
そう言うと翔子は塔に入っていった。
「なんだ、ここ? 雑魚しかいないの?」
2階で雑魚戦闘員を蹴散らしながら聖がつぶやく。
「こ、このバケモノどもめ……これでも我らはかなりの戦闘訓練を積んだエリートクラスなんだぞ……」
聖が雑魚呼ばわりした敵の1人が息も絶え絶えにそう話す。
「これ以上やるつもりなら多分てめーら死ぬぞ。ここで降伏すればそのまま放置して先に進む。おとなしく寝てやがれ」
譲治がそう警告する。
「そこまで言わなくてももう我らは戦えぬ。体力はあるが勝ち目のなさに戦意を失った。次の階へ進むといい。だが次の3階では今回の侵略班の幹部クラスが待ちかまえている。お前らはそこで終わりだ……って、もういないし……」
長々と話し続けた雑魚を無視して譲治たちは階段を上がっていった。
「来たか……待っていたぜ、ヒジリ……」
階段を上がりきるなりそんな声が聞こえてきた。
「お、お前は……誰だっけ?」
階段を上がってすぐに見えた敵に名前を呼ばれた聖は敵の顔を見たが誰だかわからなかった。
「そうか、名前を名乗ってなかったな。俺の名はエパロフ。貴様らにはこの3階で死んでもらう。……ちっ、どうやらダカルラーテがやられたようだな」
「ジョー! 聖!」
エパロフが名前を名乗り中ボスにありがちなセリフを吐いてるところに翔子が階段を上がってきた。
「翔子! 大丈夫だったか?」
譲治がそうたずねる。
「楽勝! あんなデカいだけのロボットなんて私の敵じゃないわ」
翔子がVサインで応える。
「どうやら3人そろったようだな。3人まとめて始末してやる、かかってくるがいい」
エパロフがそう挑発してきた。
「バカも休み休み言え。お前の相手は僕だ。ジョーと牧野は先に行っててくれ」
聖が今度は自分の出番とばかりにそう言って先制攻撃をしかけた。
「聖、ここは任せていいか?」
譲治がそうたずねる。
「ああ、すぐに追いつく。おそらく上の階にはジョーが戦った相手が待ちかまえているはず。そこまで体力温存しとけ」
聖は譲治たちを先に行かせるためにエパロフに連続して攻撃を繰り出した。
「じゃあ、また後でな!」
譲治たちは聖にそう叫ぶと4階に上がっていった。
「さあ、改めて始めようか?」
いったんエパロフと間合いをとって聖がそう言った。
「ヒジリよ、1人で戦うと言ったこと、後悔させてくれる!」 |