どないやねんッ! 〜バレンタインを吹っ飛ばせ!〜縦書き表示RDF


この話は実話をもとにしたふぃくしょんです。
どないやねんッ! 〜バレンタインを吹っ飛ばせ!〜
作:滾


先に書いておこうと思います。
今僕は口の中が痛いです。ゴッサ痛いです。
厳密に言うと、右側の内頬がズタズタに成ってます。
なので、なんでそうなったのか、その経路をお話したいと思うのです。


世は『バレンタインデー』というモノに翻弄されております。
そもそも2月14日にチョコを異性に渡すなどと言う風習は無いのです。すべては某お菓子会社の策略なのです。
何て、そんな事を考えながら俺は自分の部屋に居た。
2月14日。さっきも言ったように、世は『バレンタインデー』一色だ。
とりあえず俺もその恩恵に少なからず肖っているわけだが、母・妹から一個ずつ、家への帰宅途中に偶然あった昔のクラスメイトに、
「あ〜、滾じゃん!久しぶり!あ、これあげる」
と、ポケットから取り出されたみんなの大好物、『アポロチョコ』一粒等々を貰い受けた。
貰えなかったわけじゃないのに、何故か心に隙間風が吹きすさぶ今日この頃。
口の中に若干のチョコの余韻を感じながら、俺は椅子に座って本を読んでいた。
時間的には5時ちょっと過ぎ。
晩御飯までには読み終わるであろう本を、俺は堪能しながら時間を潰していた。
が、

ピンポーン

チャイムが鳴った。
まぁ、チャイムが鳴るなんて日常茶飯事。というか日常として何の当たり障りもない事だ。
外は雨模様。だから来たのは郵便か、聖書の販売か、まぁそんな所だろう。
俺は構わず本に目を落とした。
その時、
これは何の脚色もせずに言うが、俺は確かに背中に“寒気”を感じた。
その瞬間に、内線が鳴って母親がこう言った。
『滾?お友達が来たよ』
ドクンッ・・・、と心臓が確かにはねた。
嫌な予感がする。
やたら心臓がはねる。
あれだ、けっこう最近にも同じような予感を感じた事があった気が・・・。
「い、今行く・・・」
母に返事をして、俺は階段を降りた。
そして玄関を開けて、
「よう、滾」
閉めた。
“アイツ”だ。結局最後の最後まで名前を思い出せなかった“アイツ”が玄関を開けた向こうに居た。
ああ、よく見れば彼女もいたかもしれない。
俺は深呼吸を2、3回。
改めて玄関を開ける。
「お、おう。(また)来たのか・・・」
「来たよ」
ソイツは笑顔でたっている。
外はやはり雨模様。それなのに何故来た?
ふと、俺は“ソイツ”の隣を見た。
やはりソイツの彼女も一緒だ。俺を見て、ペコリと頭を下げる。
「まあいいや。上がれよ」
雨の中に放り出すわけにもいかない。俺は前と同じように家に上げた。
部屋に通して、前と同じように彼女を椅子に、俺はベッドに、“アイツ”はダンベル云々が転がってる床に座らせる。
ああ、メンドくさい。
「で?何しに来た?」
俺が言うと、今回は何やら持ってきた鞄に手を突っ込んで何かだそうとしている。
前のように、用件を知るために労力を使う必要はなさそうだ。
で、ソイツは鞄から在る物をとりだし、俺につきつけこういった。

「これ、チョコ」

ソイツが取り出したのは綺麗に包装された箱だった。
ソイツが言うには、その箱の中身はチョコらしい。
「・・・・・・」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・で?
それで俺にどうしろと言うのだろう?何を言えというのだろう?
自慢、だろうか。俺に「スゲェじゃん!やったな!HAHA!」と、親指を立ててにこやかに言って欲しいのだろうか。
なんなら俺はその立てた親指を180度回転させてお前に「KILL YOU」と言ってやりたいところだぜボケ。
まぁ、彼女の前でそんな事は勿論できるはずもない。
「ああ、よかったな」とだけ言っておく。
するとソイツは笑顔で、「いやぁ、別に」と言った。
何が「別に」なのかを心の底から問いただしたかったが、「そうか」とだけ言っておいた。
「・・・・・・・」と俺。
「・・・・・・・」とソイツ。
「・・・・・・・」と彼女。
・・・・・・・・。と物言わぬダンベル達。
何やら何とも言えない沈黙がその場を包んだ。
なんだ、もしかしてコイツ、これを言うためだけにわざわざこの雨の中来たのか・・・?
だとしたら、コイツの“痛さ”はメガトンを飛び越えてヨタトン並だ。
因みに『ヨタ』とは10の24乗の事だ。因みにメガは10の6乗。それほどの“痛さ”というワケだ。
もし“痛さ”に単位をつけるなら、コイツの名前(後で思い出した)に肖って『ヤマダ(仮)』にしよう。
だからコイツの“痛さ”は10ヨタヤマダとなる。
閑話休題
そんな事はどうでもいいとして、誰かこの沈黙をどうにかしておくれ。
間がもたない。ってか、用が済んだなら帰ればいいのに。カエレバイイノニッ!
そんな俺の脳内の憤慨を知ってか知らずか、ソイツはふと立ち上がって、
「悪い、トイレ」
と部屋を出た。
またか・・・。また彼女と二人だけだ。勘弁しておくれよ・・・。
俺がやりきれなさにこうべを垂れていると、ふと、肩をとんとん、と叩かれた。
「はい?」
顔を上げると、俺の目の前に何かが差し出されている。
「・・・何?」
彼女が差し出していたのは、アイツが持っていたような可愛らしく包装された箱だった。
「この前、迷惑かけたので・・・」
と、彼女が俺に突き出している。
「・・・え、あ、貰っていいんですか?」
「・・・はい、スイマセン」
つき返す理由もサラサラ無いので、勿論快く貰っておく。
が、まぁ俺も男だ。
そんな、急にこんなモン渡されたら「どういう事だろう」とは思う。少しは期待してしまう。たとえ友達の彼女でも、だ。
何でこれを?みたいな事を、遠まわしに聞いてみた。
すると、
「ここに来るのは、一昨日から聞いてたので」と言う答えが返ってきた。
どうやら『バレンタインに彼女からのチョコを見せびらかす大作戦』は二日前から計画されていたらしい。
痛!痛痛痛ッ!
もうあまりにも痛すぎて、先ほど決めた単位ぐらいでは形容しきれない。
俺は思わず笑いそうになる衝動を抑えて、
「じゃあ、他の家にも持っていくんだ」
言った。
勿論、彼女は首を縦に振った。
あーあ、アイツを一回家に入れてしまったがためにこんな目に逢うなんて・・・。俺を含めてなんてかわいそうなんだろう・・・。
そんな事を考えていると、
ガチャ
「悪い悪い」
とソイツが戻ってきた。
戻ってきて、ふと、
「じゃあ帰るわ」
と言う。
おお、今回はとっとと帰ってくれるらしい。
「そうか、じゃあ雨にぬれないように気をつけて帰れよ」
一応の気遣いをして、ああ、じゃあ今日は外まで送ってやろうかな。とかそんな事を考えていたとき、
「あ、オイッ!」
突然、ソイツが険しい声を出した。
「な、何だよ!?」
俺もビクッとなってソイツを見る。
何故だか、ソイツは顔も険しくして俺を見ている。
何だ・・・?
「それ・・・」
ソイツは俺の隣を指差した。
「・・・?」
俺はソイツの指差した方を見る。
そこには、さっきソイツの彼女から貰ったチョコ。
「?何だよ?」
「何でお前が俺のチョコ持ってんだよ!?」
「は?」
ソイツは険しさを増した顔で言った。
どうやらこのチョコを自分のだと勘違いしてるらしい。
「ああ、違う違う。これは貰ったんだ・・・よ」
言い終わるか否かの瞬間に、まずった!と思った。
そんな事をソイツに言うべきじゃなかった。
「あ!?誰に!!?」
思ったとおり、ソイツは語調を荒げて怒り始めた。
もうお前の彼女に貰った、とか言えない雰囲気だ。が、言わないがために、もうすでに誰に貰ったかは半分バレたようなものだ。
「お前、滾にチョコやったのかよ!?」
ソイツは語調を荒げて彼女につっかかった。彼女はあたふたしている。
「何してんだよ!お前!俺彼氏だぞ!?」
何か傍から聞いたらかなり悲しい事を言いながら怒っている。
が、これの原因は俺にある。
「ゴメン。これ返すから、な?」
チョコを手にとって、彼女に返す。
と、
「何だよ!」
とか何とか言って、ソイツはそのチョコを手で払い飛ばした。
「あっ!」
と、俺と彼女の声がハモる。
そしてチョコは床を滑って壁にぶつかって止まった。
「何するの!?」
と、ここで彼女も声を荒げた。
まずい。修羅場になる!
俺は急いでチョコを拾い、
「ほら、これ」
と、彼女に渡した。
が、
「ダメです!貰ってください!」
あろう事か彼女はそのチョコを更に俺につき返した。
「え?あ・・・?」
戸惑う俺に、
「滾!何貰ってんだよ!?」
今度はソイツが怒鳴ってくる。
「え、ああ・・・」
また彼女にチョコを渡そうとする。が、
「貰ってください!」
もう半分意地になって、彼女も何とか俺に押し付けようとしている。
が、貰おうとすると、
「だから何貰おうとしてんだよッ!」
とソイツに切れられる。
どうしたらいいか解らず、俺は混乱して、何故かソイツにチョコを渡してしまった。
その拍子に、事故は起こった。
「だから何だよッ!」
と、ソイツはまたチョコを振り払おうと手を振った。
その手が、

バシッ

彼女の顔に当たった。
「あ・・・」
と、思わず声が漏れた。
彼女は顔を抑えてその場に蹲った。
一瞬、その場に凍りついたような空気が流れる。が、ソイツの怒りは収まっていないらしく、
「何座ってんだよ!お前!オイ!」
と、ソイツは彼女の腕を掴んで引き起こそうとした。
「ちょ、オイ!何やってんだよ!」
俺はソイツの腕を掴んで止めさせようとして、

ここでもこんどは“事件”が起こった。

俺が彼女を庇ってるのに腹を立てたのか、ソイツが俺の顔面を思いっきり殴ったのだ。
右の頬を。思いっきり。固めた拳で。

はぁ?

何で俺が殴られてんだ?なんで俺が殴られなきゃならんのだ?俺はそもそも被害者じゃいのか?
色々頭の中でぐるぐる回って、
俺も怒った。
結構起こった。

人間怒りが頂点に達すると、かえって冷静になる。この前は語調を荒げていたけど、こんどはもうあの時の比じゃない程怒った。

殴られた体勢から、俺はソイツに向かってパンチした。腹を。で、膝をついたソイツの髪の毛を引っ張って床に転がした。
もう、この後に何を言ったかは覚えてない。興奮しすぎて。
でもかなり怒鳴っていたのは覚えている。で、壁を殴ったことも覚えている。おかげで壁に穴が開きました。
ソイツと彼女を一緒に外に放り出して、悪態ついて部屋に戻ってきて、転がっているチョコを拾い上げて軽く泣いた。
意味は特に無く。
しばらくして、ああ、少しやりすぎたな、とかなりの嫌悪感に襲われた。
そもそも彼女は悪くないのに、最終的に彼女にまで被害を与えていた気がする。
かなり欝になって、なにをするでもなく部屋で椅子に座って俯いたまま10分ほどそのままでいた。
すると、

プルルルルルル・・・・

携帯に電話が掛かってきた。
携帯のディスプレイには『渡辺』の文字。
「・・・もしもし」
電話に出ると、渡辺が小さな声で一言。
『滾?なぁ、アイツまた来てるんだけど、彼女と一緒に』
そして渡辺の声の向こうから、楽しそうなアイツと彼女の声。

・・・・・・・・・・。

だからどないやねんッ!!


再びやってきました。アイツがやってきました。
まさかこんな日にちも経たないうちに再び『どないやねんッ!』を書く事になるとは思いませんでした。
ともあれ、楽しんで頂ければ幸いです。













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう