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嘆きの声
作:水城翼



第九話 帰り道



幸福の絶頂にいた人間が、不幸のどん底に落とされたとき。


その人間は、いったい何を思うのだろうか。


その人間が、嘆く声を口にしたとき。


その人間は、いったい何を思うのだろうか。



…確実に、思うだろう。



「どうして、こんなことに…、なったのだろう…?」

***

啓と二人で歩いていくと、校門に工がいた。

「…終わったのか?」

工が啓をにらみつけながら言った。
…やっぱりこの二人は仲が悪いらしい。

「ああ。終わったけど…それが何か?」

啓も工に絶対零度の笑顔を見せる。

……どうやら、仲が悪い、の一言ですむ仲ではないようだ…。

「まさか、俺のこと待っててくれたのか?」
「……………」

聞いてみると、工は無言のまま歩き始める。

「工っ!?待てよ!」

俺も急いで工に追いつこうと走る。

啓も歩き始めるが、工といつも一定の距離をとっている。

と、その時。

「あっれぇ?みんなそろって何やってんの?」

美空の声がした。

「げっ」

工がすごく嫌そうな顔をして、美空を見る。

「ちょっと、タク。なんて顔してんのよ!!」

「………ちっ、何でてめぇが、こんなところにいるんだよ」

「部活の帰りだよぉ。なんか三人とも帰り道っぽかったから話しかけてみただけ。」

にっこりと美空が笑う。

「俺がてめぇを嫌がってるの知ってて話しかけたな、この野郎…!!」

工が、震える拳を押さえながら、言った。

…まぁ、その怒りに満ち溢れた口調と表情はぜんぜん抑えられていなかったけど。


「あ、バレた?」


けろりとした表情で、美空が言う。

「て、てめぇ…!!」

工の言葉に、美空がくすくすと笑う。

「あー、もぉ。楽しすぎるっ。工をからかうのはっ!!」

「………だから苦手なんだ、こいつ…」

ちっ。
工の、舌打ちをする音がした。

「で、本題に入るけど。」

その言葉は、美空は工をからかうためだけに来ていたわけではないことが分かった。

「蓮、あのさ…、」

ひかえめそうな口調で、美空が語り始める。



「………………え?」



その、美空の言葉は…あまりにも絶望的な言葉だった…。


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