第七話:書庫整理をお手伝い
お昼ごはんも食べ終えて、満腹になったお腹を抱えて食堂を出た所で何故かデイルに捕まった。
「よお!今暇か?」
「え?まぁ…」
「じゃあ、ちょっと手伝ってほしい事があんだ」
「何ですか?」
この間はそう言って筋トレを付き合わされた。
はっきり言ってコイツは筋肉馬鹿だ。
お陰で数日間、筋肉痛に悩まされた。それはもう勘弁願いたい。
「いやーちょっと書庫の整理頼まれたんだけどよー俺一人じゃどうにも進まねーからよ…」
「書庫の整理ね…」
なんだか面倒くさそうな作業だな…まぁ、でも今日は門番の仕事は午後は無いからどう暇潰そうかと思ってた所だしなぁ。
「なっ?頼むよ!」
デイルはそう言って手を合わせて頭を下げると上目遣いで見上げてきた。
うっ…!
「はぁ…いいですよ。手伝います」
「ホントか!?助かるぜ!!」
という事で書庫へ移動した2人。
「………」
ひ、広っ!!しかもなんだよこの本の数。これ2人で整理すんの!?
やっぱさっきの返事取り消したい…
そう思っても一度引き受けた事は断われない。
「さっ!始めようぜ!!俺は右から整理すっから、夏輝は左から頼むよ」
「は、はぁ…」
周りは天井まである本棚に囲まれ、床にはそれまで一人で頑張っていたのか本が散乱している。
私はとりあえずその中から一冊の本を取り上げて表紙を見てみた。
”これで今日から君も魔族の仲間入り!!”
「…………」
おい!!!誰がこんなの読むんだよ!!?魔王城だったら普通あるのは魔道書とかだろ!!!
しかも、なんでよりによって入門編チックなんだよ!?
あーもーいい。次、次。
”これで今日から君も魔族の仲間入り!!2”
げっ!!2もあるのかよ!?どんだけ仲間入りしたいんだよ!?しかもよく見たら12巻まであるじゃない!!
「なんなのよ!?これは!!」
はっ!!
思わず出てしまった声に慌てて口を押さえる。
「夏輝?今何か言ったかー?」
デイルは本棚から頭だけを覗かせてこっちを伺っている。
私は慌てて「何でもない」と答えた。
もう余り余計な物は見ないようにと作業を進めたが、やっぱりダメで…整理が終わった頃には日も暮れた時間になっていた。
「すまねーなー、ちょっとのつもりがこんな時間までつき合わせちまって」
「い、いえ…」
こちらの方こそすいません。多分ほとんど役に立ってるとは思えません…
というのも、なんだか整理しようとした本は、ここには似つかわしくないようなものばかりで。
ほとんどの時間、その表紙のタイトルを見ることに専念してしまった私は、手が止まっていたも同然の働きだった。
そんな様子を知らないデイルは物凄く感謝していて何度も頭を下げている。
うぅっ…そんな頭下げないでよ……
そんなデイルを見ていた私は物凄く後ろめたい気分だった。
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部屋に帰ってきた私はある異変に気がついた。
ベットが何故か盛り上がっていてる。不審に思い、そーっとベットへ近づき見たものは意外な人物の寝顔だった。
えっ?ギル!?なんでここで寝てんの!?
ベットに横たわって深い眠りについている様子のギル。
私が近づいたにも関わらずまったく起きる気配すらない。綺麗な目が今は閉じていて長い睫毛が影を作っている。余りの美しさに暫く見入ってしまった。
はっ!!見惚れてる場合じゃなかった!!この状況…どうしろっていうの?起こしたほうが良いのかしら?
うーんっと迷って結局私はギルをそのまま寝かせてあげる事にした。
こんなに気持ち良さそうに寝ているのに起こすのは可哀想だし、それに最近執務も忙しそうにいていた。もしかしたら私の知らない所で寝る間も惜しんで執務をこなしてたのかもしれない。
取り合えず、部屋に備え付けてあるソファに座って読みかけの本を開く。
ちらとギルのほうを向けばすやすやと気持ち良さそうに寝ている。
そんな様子を微笑みながら見ていることを自分自身全く気がついていなかった。
「…つき…」
「夏輝…」
「う……ん」
本を読んでいるうちに、いつの間にかソファで寝てたようだ。
ゆさゆさと体が揺れるのと自分を呼ぶ声で意識を取り戻した私は急いで起き上がった。
「あっ!!キャッ!」
その拍子に体勢を崩した私は見事に床へと転がった。
「痛ーーーい!」
思いっきり腰を打ってしまい私はそのまま蹲る。
「な、夏輝…大丈夫か?」
声を掛けられた私はギルがこの部屋にいたことを今更になって思い出した。なんとも恥ずかしい場面を見られ顔が熱い。きっと真っ赤になっているに違いない。
「あ…えと…だ、大丈夫です」
「すまない。我がいつのまにかベットを占領してたみたいだな。起きたらソファに夏樹が寝ていて驚いた」
「そ、そうですか」
むしろ私の方が驚いているのだが…
「ほら、もう遅い時間だ。我は自分の部屋に戻るから、寝るならベットに寝たほうがいい」
「はぁ…で、結局ギルは何をしにここへ来たんですか?」
「いや、少し話があったのだが…まぁ、大した話ではない。また今度にする」
話?私に一体なんだろう…?まぁ。でも今度話すって言うし…
「え?そうですか?」
「じゃ、失礼する」
そう言ってギルはスタスタと扉のほうへ移動すると振り返ることも無く部屋を出て行った。
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