第六話:勇者アレンと、サボる王様
「夏輝さん?朝から一体何を為さっているんですか?」
「へ?」
朝、門へと行く途中セルロスに呼び止められた。
まぁ、朝っぱらからテーブルをずるずると引きずっている女を見れば誰だって呼び止めたくもなるだろう…
「何って、テーブル運んでます」
「それは見ればわかります。じゃなくて、なんでまたテーブルを?」
「いやー1日中、門の前で立ってるのも疲れるので、テーブルと椅子を運んで受付を設けようかと…」
「受付ですか?」
「あーなんというか、まぁそういうことです」
「はぁ…何だかよく分かりませんが、僕でよければ手伝いましょうか?」
おっ!手伝ってくれるのか!?
「お願いします!!」
こうして、セルロスに手伝ってもらい門の前にテーブルと椅子を持って来た。
「よし!これでOK!」
セルロスにお礼を言って、早速門の前に陣取って、気合を入れて椅子に座っていると、またしても軍隊を引き連れた勇者が現れた。
「またお前か!今日こそは魔王を出せ!!」
それはこっちのセリフだよ!…しかも3,4日に一度どころか昨日の今日じゃん…よっぽど暇なのか?
「お名前は?」
「むむっ…アレンだが…」
さすがに昨日これで帰ることになったからか今日は素直に答えてくれた。
「では…失礼ですが、お歳は?」
「なに!?そこまで言わなきゃいけないのか!?」
「まぁ、それはお答えできなければ良いです」
「何なんだおまえ!ふざけてないで早く魔王を出せ!!」
「申し訳ありませんが、魔王様は只今会議中でございます」
「はぁ?会議だと!?」
「はい。ですので、また後日お越しください。」
なーんてね、嘘だよーん
心の中で舌を出しながら答える私をアレンはものすごい目で睨みつけてくる。
それを満面の笑みで私は見つめ返す。
「………っ」
と、なぜかアレンは顔を真っ赤にさせ、それを手で隠すと俯いてしまった。
なんだ?どうした!?勇者アレンよ!!
「あーーっもういい!!今日は帰る!!」
え、帰っちゃうの?後ろに待機してるおっさん達が唖然とした顔してますけど…
まぁ、そう言うなら…
「あら、そうですか?では、お帰りはあちらです」
そう言うと、アレンと名乗った勇者は私の顔を見ることも無く俯いたまま、真っ赤な顔をして、またしても大軍を引き連れて帰っていった。
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「夏輝…何なのだ?これは?」
お昼前、椅子に座って暇つぶしに本を読んでいるとなぜかギルが門の所にやって来た。
まぁ、当然セルロスは手伝っているから知っているが、ギルは何故門の前に机と椅子があるのかを知らない。
「受付です」
「受付?聴いたことの無い単語だな」
「あちらでは、来訪者などの取次ぎを行う所を受付というんです」
「そうなのか…」
「ところで、ギルはこんな所で何をやっているんですか?」
「いやーそのーまぁあれだ」
ははーん、さてはサボりだな。
「あーー!!ギル様!!こんな所に居たんですか!?」
大声を出して城の入り口からやって来たセルロスはギルを捕まえるとずるずると引きずっていこうとする。
「セ、セルロス離せ!!」
「何言ってるんですか!?執務中に消えたかと思えば、こんな所で油を売って!」
うわーそうとう怒っちゃってるよセルロス。顔真っ赤だぞ。高血圧で倒れるんじゃないのか?
そんな様子を心配して見ていると、ギルがこちらに振り返った。
「夏輝、何とかしてくれ」
は?なぜそこで私にふる!?
「私には関係ありませんので」
「なに!?裏切るのか!?」
裏切るって…あんた…私が悪者みたいな言い方をするなよ…
「ギル様!!いい加減にしてください!!真面目に執務をこなして貰わないと、書類がどんどん溜まってしまうんですよ!?」
「はぁ…分かった分かった。だから耳元で叫ぶな!」
そう言うと観念したのかギルはセルロスを連れて城へと戻っていった。
結局、何しに来たんだ?あの人…意味不明…てか、仕事ぐらい真面目にやれよ
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