七十九頁
「部屋の中に誰がいる」
駿来を聞いて、悠はきょろきょろと部屋の中を見渡した。
「誰もいないけど?」
何度も部屋を見渡したが、人っ子一人いない。
「……なるほど」
と伽黄はにやりと笑う。
「えーと?」
伽黄は何か発見したらしいが、悠には何も変わっているようには見えない。
「多分なんだけど、あの人は何かの術を使って姿を周囲に見せないようにしてるんだよ」
「でも、どうしてわかったの?」
悠は首を傾げる。
「それは……」
「それはだな。よく見てみると、そいつがいる所と周囲の壁に歪みがあるんだ」
言いよどむ駿来に、伽黄が直ぐに後を続けて説明した。
「歪み? そんなのないけど?」
伽黄が指す所をじっと見るが、何も変なところはない。
「そうだな。なんて言ったらいいか……。まぁ、わかんないなら、それでもいいか。とにかく止めるぞ」
「止めるってどうやって? だってどこにいるか分かんないんだよ」
侵入者の居場所を知っている駿来と同じ扱いをされても困る。
「お前に言ってない。そうだな。お前は封じの鏡の安全を確保しろ」
伽黄はたった今思い出して用にとってつけた。
「はぁ」
「俺たちがもし死んだら、お前が死守しろ」
「嫌だ」
悠は露骨に嫌そうなする。
「んーと、もしかして俺も戦力に入ってるの?」
と、駿来は困ったように笑う。
「お前ら、今は緊急時なんだからおとなしく手伝え」
伽黄は怒った様に言った。
「えー」
「えーと……」
悠と駿来が揃って文句の声を上げた。
「お前ら……」
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