五頁
確かに、バイトのしすぎのような気がするが、無理はしていない。とは思うのだが、幻聴が聞こえるのは無理をしているせいかもしれない。
「んー。でも、いきなり休めないから、また今度ね」
悠は苦笑しながら言った。
「うん。それもそうだね。一緒に行けないのは、残念だけど無理しないでね」
ちゃんと休まないと駄目だよと、念を押しして林檎は自分の席に戻って行った。
林檎が席に戻って二三分後、チャイムがなった。悠は一つ溜息をついた。
放課後、悠はバイト先であるコンビニを目指していた。コンビニは高校の近くにあるから、のんびりと歩いていた。
「お姉さま」
悠は、ふっと足を止めた。また、あの声だ。幻聴だと、言い聞かせるが、効果はあまりない。
「お姉さま」
その声が間近に聞こえた気がして、悠は首を振る。もしかしたら、相当疲れているのかもしれない。今日のバイトは休んだ方がいいのかもしれない。半ば本気で考えたした時、もう一度声が聞こえた。
「我を解放せよ」
あの声とは違う力強い声に悠は振り返った。
目の前に広がるのは畑だった。
「ん?」
悠は首を傾げた。確か高校の近くに畑はなかったはずだが。
悠は慌てて周囲を見渡しても畑しかない。
「なっ!」
絶対におかしい。自分が歩いていたのは、コンクリートで出来た道だ。こんな自然の土で出来た道じゃない。
それに、なんだか肌寒い。今は夏なのに、冬の始まりくらいの寒さだ。
「な……」
それ以上言葉が出てこない。いや。むしろ、出てくるはずもない。
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