三十九頁
「あの、私と勘違いされた人は、そんなに私と似てるんですか?」
ちょっと気になって聞いてると、鷲鳳の反応は先ほど同じだ。
「それは……」
(こっちもかよ)
内心で突っ込んで、悠はこの質問をするのを諦めた。あまり、相手を困らせることではないし、それにお偉いさんとは関わり合いたくない。
「あの、じゃあ、私はこれで帰りますので」
悠はぺこりと頭を下げて、この場から立ち去ろうとしたが、鷲鳳に止められた。
「ああ。じゃあ、お宅まで送っていきます。迷惑を掛けてしまいましたからね」
にっこりと笑う顔は善意だろう。あれが上司で苦労すると思いながら悠は首を横に振った。
「いえ。大丈夫です」
「いえ。そういうわけにはいきません。遼賢様にも後を頼むと言われましたから」
と困ったように言われては悠では断りきれない。
「……わかりました」
悠は一つ溜息をついた。
「それで、どちらにお住まいなんですか?」
鷲鳳はにっこりと問い掛ける。
2
かくして、鷲鳳に送って貰うことになった悠は、伽黄の家にもどるために式術街を歩いていた。式術街は名の通り式術師達の住まいが数多くある。階級が高いほど王宮の近くに住まいを構えることができると、悠は伽黄から聞いていた。
だが、五色である伽黄の住まいは式術街の端にあり、王宮からは遠い場所にある。なんでここにしたのかと伽黄に聞けば、師匠がここがいいと言ったからだと溜息混じり答えてくれた。悠にしてみればありがたいが、伽黄たちは大変じゃないかと思ったが。本人はあまり気にしている風ではなかったので、悠はその件を放置した。
「式術街に暮らしているってことは、悠のお父様が式術師なの?」
隣を行く鷲鳳がにっこりと尋ねた。
「いえ。お世話になっている人が式術師をしているんです」
と悠は鷲鳳に応じる。
始めはものすっごく丁重に扱われるので、悠は戸惑った。それを指摘すると、鷲鳳は苦笑して誤った。
『すみません。やはりそっくりだから』
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