二章 放浪の式術師
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翌日の早朝、悠と駿来は駿来の家を発った。制服を鞄にしまった悠は、桃色の上着に黒いスカートを変わりに着ていた。卒業式に着る袴に似た服であるが、袴とは違って帯はなく、白い紐で結ばれているので苦しくはない。靴だけ自分の物を使っている。移動手段が歩きしかない状態では、慣れた靴の方がいいに決まっている。それが、ローハーでもだ。
「それで、桜鈴市まではどれくらい掛かるの?」
隣を歩く駿来に問い掛ける。
「んー。俺一人だと一時間半くらいかなぁ。でも、悠がいるから二時間?」
駿来は首を傾げた。
(適当だなぁ)
一人増えたから三十分おおく掛かるなんて適当だ。悠と駿来では歩く速度が違うのだから、三十分だけ増やして二時間では着かないと思う。
「あー。でも、悠は足速そうだから、そんなに掛からないよ」
と、笑う駿来を見て、悠は脱力する。のんびりと言うか、おっとりしていると言うか。別に頼りない感じではないが、貪欲ではないなそうだ。金には執着しているぽいが、それも家族のためであって、自分のためではない。悠みたいにお金が一番ではなさそうだ。
(いい人なんだろうけど)
悠はじっと駿来を観察する。駿来も彼の家族もとてもいい人である事は、悠自身で証明されたものだが、ちょっとお人よしが過ぎる気もしないではない。灯葉もそうだが、少しは自分の事を優先するべきだと悠は思う。彼らのお人よしで助かっている悠が言っていいものではないかもしれないが。
「そうだ。悠はこの国に着たばかりでわからない事だからだよねぇ。何かわからない事があったら何でも言ってよ。俺の答えられる範囲で答えるから」
駿来はきらきら輝く笑顔で言った。
「あー。うん」
悠はぎこちなく笑う。素直に好意を受け取ればいいのに、それができずに悩む姿は馬鹿そのものだ。だが、どうしても彼らのお人よしに付け込んでいる気がして嫌なのだ。
悠は首を振る。そんな事を考えてもしかないし、それよりも気になる事が悠にはあった。
「ねぇ。妖怪って本当にいるの?」
神がいるなら、妖怪がいてもいいのだろうが、どうしても悠には妖怪がいるなんて考えられない。そもそも神の存在ですら信じていないのだ、などと色んな処から怒られるかもしれないが。
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