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12月22日(2)
「バクバクバクバクバクムシャムシャムシャムシャムシャ!!!!!!!!!!」

今、俺の隣で女の子らしからぬ豪快な勢いで牛丼を食す幼女一匹。

「……牛丼、うまいか?」
「はいっ、こんな高級料理食べられるなんて……!夢みたいですっ!」

高級料理って……ふっつうの庶民が食べる牛丼なんだが。とにかく、よっぽど空腹みたいだったのな。

「……で?お前、あそこで何してたんだ?」
「あっ、そうでしたっ!お兄さん!私を買って下さいっ!!!」

幼女が俺に向けて高らかにそう言うと、店にいた客及び店員が一斉に俺達に振り向き、凝視してきた。

「ちょっ、やめろてめー、馬鹿でかい声でんな台詞言うなっ。あっ、ちょっ、店員さーん、何でもないんですよーだから、その……どこかに電話しようとするのやめてくださーい」
「私は馬鹿じゃないですっ!」
「おめーは馬鹿だっ!あんな街のど真ん中でエロ看板持っている時点でなっ!」

そうだ、何が『私を買って下さい』だ。いつの時代の不良少女だ。第一、俺が助けてやったから良かったものの変質者が声を掛けて来たらどうするつもりだったんだコイツ?所詮、俺と目の前にいるこのクソガキは赤の他人だが、あんな姿見たらハァハァ……じゃなくて、ちょっと心配しちゃうだろうがよぉー!

「とりあえず、お前、それ食ったら家帰れ。お子ちゃまがこんな夜に外に出歩いてはいけません」
「嫌ですっ!お兄さんが私を買ってくださいっ!それに私はお子様じゃないですっ!れっきとした社会人ですっ!お酒も飲めるしタバコも吸えるハタチですっ!」
「なにぃ~~~?ふざけるなっ!あと面白い冗談を言うなっ!幼女っ!」
「お、おぉおお面白い冗談ってなんですかぁ!?幼女って……失礼ですっ!ぷんぷんですっ!(///)」

幼女はカウンターのテーブルを思いっきり両手で叩き、大声を張り上げる。

「てめぇの言動!格好!体系!全てがお前が幼女であると如実に示しているだろうがぁー!幼女は家に帰ってくクソして寝ろやぁーコラァー!」

俺も負けじと立ち上がり、幼女に向かって大声で抗議する。

「なっ……!あ、貴方っ!だ、だだだだだ大失礼ですぅ!うぅー!もぅ、許しませんっ!お兄さんが私を買ってくれるまでここに居座ってますっ!」
「やめとけやっ!吉●家の店員さんに迷惑だろーがよぉー!だいたいなぁ!その1万円ってなんだっ!1万円って!無駄に高ぇんだよっ!お前分かるかぁ!?1万稼ぐのにどれだけ親は苦労しているのか!?俺はわからねぇけどなっ!」

ダメじゃん!俺!アッハハハハハハ………はぁ。

「じゃ、じゃあ……198円!イチキュッパでどうですかっ!?イチキュッパで私を買って下さいっ!」

な、何…!?牛丼(並盛)から差引き残る金は……120円!?ぐぁー足りねぇー!じゃねぇええええーーーーー!!!!!金の問題じゃねぇだろっ!?どんだけ最低な野郎なんだ俺はっ!?

「一万からドンだけ下がってんだぁー!?自分大切にしろや!スーパーの特売じゃねぇんだぞっ!」
「うぅ……じゃ、じゃあ、かくなる上は……私、脱ぎますっ!それで許してくださいぃいいい(泣)」
「ちょっ……許すとか許さないとかそういう話じゃねぇだろう!?そして何、泣いてんの!?ちょっ、やめてよそーゆーの!?まずいよこの構図!色んな方々にちょー誤解を生むよ!あー!ちょっ、てんいんさーん!早まったことしないでぇー!その親機を下ろしてぇー!自分達帰りマース!もう精算して帰りますからぁー!」





「合計で1010円となります」

「は……?」

レジで精算した店員が真顔でそう言った。嘘……嘘でしょ?俺、牛丼並盛(※380円)しか食ってないですよ……?なんでそんな信じられない金額に膨れ上がってんの……?ん、待てよ……?1010円ー380円で、630円………

「………うぷっ、お腹いっぱいですぅ」

幼女はお腹を押さえて、それでいて幸せに満ちた顔で満足しておられました。

「てめぇー!牛丼特盛食いやがったな!?俺でも食ったことないのに!返せ!俺達の夢!THE特盛!」

俺の手は自然と幼女の胸倉を掴んでいた……食い物の怨みは恐ろしいぞコラァ!

「ひぅ!?な、何言ってるのかわからないですよぉ~~~?離してくださいぃぃいい~~~!」

くそ、くそっ、くそぅ……!何故か知らんが涙が溢れ出てきたっ……!くぅ、うっ、うっ、うぅ……

「くそぅ、俺のワンコインじゃ足りねぇぞ……おい、幼女。お前も金出せ」
「………?」

幼女は首をかしげ、不思議そうな顔で俺を見つめてくる………何その、ちょっとかぁいい顔。……え?まさか、ましゃか、ましゃか、ね?

「ちょっ、おまっ……」
「……お客様?」

それからの俺達の行動は神速の如く速かった。ぽけ~っとアホ面をしている幼女の手を引き、一気に俺達は店を飛び出した。何だこのレトロな漫画っぽい展開は!?

「うぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「きゃうぅうううううううーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

夜の街を駆け抜ける……目的地?居場所?そんなもん一文無しの俺にはどこにもねぇ!!!金のねぇ俺は時期に大家さんに追い出されるだろうからなぁ!アッハハハハハ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!こんな自分に嫌悪を抱くぜぇーーーーー!!!!!ひゃっほーーーーーう!!!!!

「はうぅううううううううーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!な、何で逃げるんですかぁあああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

幼女が必死で何か言ってるが、気にしないー♪気にしないー♪気にしないー♪

「トンチンカンチントンチンカンチン気、に、しーない♪気にしないー♪気にしないー♪気にしないー♪」
「何で一●さん調!?気にしてくださいよぉおおおおおーーーーー!!!!!これじゃあ、私達食い逃げですよぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「気にしないYO!ちぇけらっ!気にしないYOYOYOYOYOちぇけだうっ!フゥー!」
「う、うわぁ!お、お兄さんが壊れちゃいましたぁああああーーーーー!!!!!」





そして、俺は当てもなく幼女を引き連れて夜の街を駆けるのであった。


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