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三界大戦記―好色皇子と三界の姫たち― 作者:安里優

第四部:人界侵攻・征西編

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これまでのあらすじと登場人物紹介・附 第四部予告

■第三部あらすじに代えて■

『我が婚約者殿へ


 本来なら、俺から君に書簡を送るなどというのは危険性を考えればするべきではないことだ。
 だが、今回のことばかりは君に確実に俺の言葉を伝えなくてはいけなかった。
 おそらくは、そちらでもある程度の情報を得ているだろうから、わかってもらえるだろう。
 ソウライ南部、あるいは戦王国群の最北において発生した異常事態についてだ。
 人界にあるはずの力では起きえないこの事象について、君に知らせておくべきと思い筆を執った次第だ。

 さて、なにが起こったのかを解き明かすためには、君がそちらに戻ってから、我々がなにを為していたかを順に説明するのが一番理解が早いことだろう。
 少し遠回りに思えるかもしれないが、その時に至る流れを書いておくとする。

 君が去って少ししてから、我々は真龍の使者の訪れを受けた。
 そう、あの真龍だ。個体で言えば、我々異常の力を持つ恐るべき種族だ。
 彼らは我々に対して、一つの条件を提示して、それが達成されない場合には戦端が開かれる旨を通告してきた。
 現状で、真龍全体の力を受け止めるだけの力は、我々には無い。
 我々の急務は、彼らの提示した条件を果たすこととなった。

 幸いにも、彼らの条件とは、旧ソウライ王国が保持していた真龍との連絡手法の入手であった。
 そのため、最終目的である三界制覇とその第一段階である旧ソウライ領土の確保という目的から外れること無く行動することが可能だったわけだ。
 結局の所、俺たちはできる限り早くソウライ地域を占拠することを選択した。

 出来うることならば、支配の地盤を固めつつ動きたかったところだ。だが、真龍の存在を考えると、そう悠長にも言っていられない。
 幸いにも我々はソウライ七都市を順調に占領することが出来た。
 それもこれも、部下たちの努力のおかげだ。
 つくづく俺は恵まれていると思うよ。

 だが、ここで二つばかり問題が生じた。

 一つは、真龍と旧ソウライ王国との連絡手段が毀損され、真龍たちに示すことが出来ないと判明したこと。
 もう一つは、戦王国群のとある戦王が、魔族を討伐するという名目でソウライに侵攻してきたことだ。

 名をヴィンゲールハルト・ミュラー=ピュトゥという。君のことだから、知っているだろうから、彼について詳しくは語らない。
 だが、いずれにしても、多くの兵をまとめあげ、整然と軍事行動をとらせることの出来る男ではあった。
 なにしろ、一万六千の兵を、我々にそうと悟らせず準備して、進撃してきたのだからな。

 我々は二つの勢力を相手に戦わなくてはいけない次第となった。
 しかも、同時に相手にしてはとても適わない相手とだ。

 それに対して、俺がどんな決断を下したのかについては、いずれ会った時に話す機会もあるかもしれない。
 だが、ここではやめておこう。
 なにしろ、そのいずれもが無駄になったのだから。

 なにしろ、ヴィンゲールハルトが集めた軍は、神界が消し飛ばしてしまったのだからな。拠点としていたヴェスブールの街と一緒に。

 ソウライ南部で起きたのはそれだ。
 神々は、封じられた力を解放し、街と軍を消し飛ばした。
 後に残ったのは、廃墟ですら無い。ただの荒れ地だ。
 かつてヴェスブールと呼ばれた土地は、荒野と化した。

 その理由は、いまのところ俺たちも掴み切れていない。

 これに対して、君がどう考えるかはわからない。
 我々のように神界を最初から敵視している者とはとらえ方も異なることだろう。
 いずれにしても、神々は自らの判断でそれだけのことが出来るし、実際に行動にも移すということだ。

 彼らは常に監視の目を光らせている。
 注意を怠らぬことだ。
 もう一度言う。

 気をつけてくれ。
 俺は君ともう一度会いたいし、語り合いたいと願っているからな。

 その日を楽しみにしている。

                          スオウ』

 書簡を読み終えたリディア・ゲルシュター、すなわちゲール帝国第十一皇女は、長い黒髪を振り、疲れたように目尻を押さえた。
 そうして、もう一度その書簡に目を通すと、彼女は珈琲を沸かすための火にそれをくべ、こう呟くのだった。

「ああ、気をつけるよ。わが未来の良人(おっと)殿」

 と。



■登場人物紹介■

○カラク=イオ
[幹部]
◆スオウ
カラク=イオの代表。
魔界の皇太子ながら、腹違いの兄たちが起こした謀反により人界に孤立させられた。
その後、カラク=イオの成立を宣言、三界制覇への第一歩として人界の征服を開始、現在は旧ソウライ地域を手中に収めている。

◆ハグマ
皇太子親衛旅団の旅団長。
カラク=イオ成立後もスオウの右腕として軍を指揮する。

◆スズシロ
親衛旅団参謀。カラク=イオ成立後もスオウへの助言役。
基本的に、政治的問題のとりまとめは彼女に任されていると言っていいだろう。
魔界では少数派である翡翠氏の出身。

◆フウロ
第一大隊(襲撃大隊)の大隊長。
千刃相という強力かつ唯一無二の『相』を持つ、軍全体の切り込み隊長的立場。

◆シラン
第二大隊(偵察大隊)の大隊長。
スオウの母方の従姉。落ち着いた雰囲気があるものの、スオウのことでは激情的な面を見せることもある。
水晶の竜のような姿をとる『天煌(あまのきらめき)』の相を持つ。

◆ユズリハ
第三大隊(通信大隊)の大隊長。
スオウの愛人の一人。校尉学校首席卒業者ではあるものの、過去の事例や教範を覚えるのは得意でも、創意工夫には欠けていることを自覚している。
巨大な蜘蛛のごとき『細蟹相(ささがにのそう)』を持つ。

◆カノコ
庶務中隊長。
氏族を持たない無頼という立場から奮闘して、親衛旅団の中隊長の位に就いた過去がある。
それを志したきっかけがスオウとスズシロにあるためか、この両者へ心酔している。
エリと仲良し。

◆ミズキ
防諜隊隊長
元辰砂氏の宗家の姫。現在は無頼。
部下のウズと共に、カラク=イオのために暗躍している。

◆クラウスフレート・ゲデック
ソウライの都市ゲデックの支配家ゲデック侯爵家の当代侯爵。
カラク=イオによるゲデック占領の後、都市の統治の代表者となっていたが、その立場に飽き足らず、スオウたちに積極的に協力することとなる。
それらの献身の結果として、幹部の地位を占めることに。

[その他]
◆カリン
フウロの副長。
喋りながら考えをまとめるくせがあるのか、ひたすらしゃべり続ける特徴を持つ。

◆ミミナ
ユズリハの副官。
ユズリハがあまりよく考えずに動くため、後始末に追われている。

◆アシビ
シランの副官。
『海月相』の持ち主。水分がある間はぷるぷるしている。

◆ヌレサギ
スズシロの副官。
実はスズシロを上回るほどの頭脳の持ち主。だが、吃音を気にして自らは前に出ず、彼女の意見はスズシロを通じて発せられることになる。

◆キズノのウズ
防諜部隊唯一の隊員。
元メギ派の潜入工作員だったという負い目がある。

◆ウツギ
兵の一人。
スオウを特に慕っており、太祖帝と龍の盟約の秘密を聞かされる。

[関連人物]
帝:スオウの伯父で義父。スオウが父という場合には彼を指す。現在、消息不明。
サラ:諡は思宮(おもいのみや)。スオウの父方の従姉かつ亡妻。
アマナ:スオウの母。故人。
アカナ:シランの母、アマナの妹。

○魔界
◆ヤイト
スオウの血縁上の父。息子のメギと共に謀反を決行。

◆メギ
魔界の新皇帝。スオウの腹違いの兄。
父であるヤイトもあまり信用していないふしがある。


○人界
[ショーンベルガー]
◆エリ
エルザマリアを名乗り、スオウたちに降伏を申し入れてきた少女。
本名はユエリ。エルザマリアの叔母であり、真龍族の血を色濃く引く人物である。

◆エルザマリア・ショーンベルガー
当代ショーンベルガー公爵の娘。
影武者をユエリに任せ、ショーンベルガー城に引き籠もっている。

[戦王国群]
◆ヴィンゲールハルト・ミュラー=ピュトゥ
通称、足萎えの雷将。
戦王国群の北辺を支配していた戦王。
スオウたちに対しての軍を作り上げ、戦いを挑むが、後に拠点としていたヴェスブールもろとも消滅させられる。

◆マテウスアンドレアス・アンゲラー
ヴェスブールの戦王。ヴィンゲールハルトの古くからの盟友。
ヴィンゲールハルトらと共に魔族撃滅を旗印に兵を挙げるが、支配地であるヴェスブールもろとも消滅させられた。

◆ローザロスビータ・ミュラー=ピュトゥ
ヴィンゲールハルトの娘。金緋の髪と青い瞳を持ち、その髪の色合いから旭姫とも呼ばれる。
父や仲間たちを消滅させた神々の攻撃を、スオウの施した処置によって生きのびた。

◆ティティアナ・タバレス
ソフィア修道会の女教皇。
地域の安定を乱すことになる魔族とその周辺の動きに対し、近傍の騎士団に対処を命じ、魔族との戦いに赴かせた。
ヴィンゲールハルトの軍の敗走を見て、騎士団たちを撤退させる決断を下す。

◆カールフランツ
聖鎚の守護者団団長。
聖鎚の守護者団は元々ヴィンゲールハルトの戦王国に派遣されていた騎士団だったが、ティティアナの命に従い魔族との戦いに参加した。
撤収命令を無視し、ヴィンゲールハルトとの共闘をそのまま続けるつもりであったが、ヴィンゲールハルトら共に消滅した。

[ゲール帝国]
◆リディア・ゲルシュター
ゲール帝国第十一皇女。
スオウたちと密約を交わし、伝説の存在である『船』の共同開発を取り付けた。
世界を変えるためならば、ゲール帝国と己を差し出すことを厭わない女傑。

◆オリガ・ゼラ=ゲルシュター
リディアに従う女性。リディアの義理の従姉妹で、ゲール帝国の貴族家出身。
左の額から右頬にかけて目立つ傷痕がある。

[ネウストリア]
◆シャマラ
ネウストリアの獣人の大頭目。
豹のようなしなやかな体つきの獣人で、にゃあにゃあ話す。
かつては奴隷でありながら、仲間の獣人を鼓舞し、自らの自由を勝ち取り、仲間たちを次々解放して大頭目の地位にのぼった。
現在は獣人の再奴隷化を目指す一派と敵対を続けている。

○真龍族
◆ツェン=ディー
真龍族の次期族長。ユエリの同巣の兄。
真龍族の未来を憂いて色々と動いている様子だが、なかなかその行動の成果が実らない苦労人。
上層部の慎重論に業を煮やした急進派の謀反をなんとか鎮圧した。

◆ラー=イェン
ツェン=ディーの腹心。
ユエリの幼なじみで、ツェン=ディーに様々な意味で惚れ込んでいる。

◆イー=シェン
ラー=イェンの妹分。


■第四部予告■


 三度開かれる鳳落関。
 そして、人界最北端に響く銃声(・・)

「父上!」

 スオウを父と呼ぶその人物がもたらすのは、凶報か、あるいは吉報か。


「お願いにゃ! ネウストリアを救って欲しいにゃ!」

 そして、獣人たちからの救援の要請は、果たして好機となり得るのか。


三界大戦記―好色皇子と三界の姫たち―
 第四部 人界侵攻・征西編

2016年三月開始予定!
第四部第一回は3月25日を予定しております。
+注意+
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