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三界大戦記―好色皇子と三界の姫たち― 作者:安里優

第三部:人界侵攻・龍玉編

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第4回:夜襲

 ゆったりと流れる川のほとりを、一人と一頭が行く。
 ぴかぴか光る立派な鎧をまとうヨロイウシの体にはがっちりとした革の装具がつけられ、そこから伸びた綱の先に小ぶりな艀を牽いている。

「ヘーア、大丈夫か?」

 ヨロイウシの横を歩く男が、その青光る背を撫でると、ウシはぶもぉと元気よく鳴き返した。

「そうかそうか」

 男――アントンカールのいまの仕事ははしけきだ。
 だが、かつて彼は牛飼いであった。
 おおよそ三十頭のヨロイウシを飼育し、いま彼がしているような艀牽きを生業とする者たちに出荷してきた。
 ところが、去年の冬に流行った病気で、牛舎のヨロイウシの大半が死んでしまった。

 残ったウシは五頭。
 全て売り払っても、牛舎を維持していくことは出来ない。

 牧草地の優先使用権も、種牛の購入も、全て三十頭程度で回すことを前提としたものであった。事業を縮小するとなれば、交渉を一からやり直し、割高な値段を出すほか無くなる。
 病気のウシのために蓄えのほとんどを使ってしまった彼にはとても払えるものではない。

 そこで、彼は牛舎を含めた資産のほとんどを現金に換えることにした。
 ウシもこのヘーアと名付けたウシ以外は買い手を見つけ、身軽になった彼は、伝手を頼っていまは艀牽きをしている。

「まさか四十過ぎて身一つになるなんてよぉ。お前もおらに使われるなんて思ってもみなかったろう、ヘーア?」

 ヘーアは答えない。ヨロイウシはつぶらな瞳で彼を見返すだけだ。

「まあ、かかあが死んじまってたのは幸いだったかもしんね。一人なら気楽でいいが、二人なら苦労させちまってたろうかんな」

 それから、彼はなにかに気づいたように笑い声をあげた。
 もちろん、聞いているのはウシのヘーアだけだ。

「ああ、マーニーなら大丈夫だ。ディステルで元気にやってるさ。あの娘はもうおらがいなくてもやってける」
「そう。それはよかった」

 アントンはそこで硬直した。
 あまりの驚きに固まってしまわなければ、きっと後ろを振り向いてしまっていただろう。
 いきなり後ろから声が聞こえてきたら、そうするのが普通だ。

 実際、最初の驚きから立ち直った彼は後ろを振り向こうとしかけていた。
 だが、不気味なほど抑揚のない棒読みの声がそれをさせなかった。

「振り向かないほうがいい。振り向けば、私はあなたを殺さなければならない」

 まるで、北方語を習いたてであるかのようなぎこちない口調で、声は続ける。
 低い女の声のようにも思えたが、アントンにはこんなすさまじい迫力の声を持つ女など想像も出来なかった。
 自分の隣でヘーアが居すくんでいるのが彼には手に取るようにわかる。

「幸い、あなたが死んでも飢える者はいないという。私の罪悪感は少なくて済む」
「ふ、振り返らねえ。おら、振り返らねえぞ!」
「それが賢明。右手を見て」

 言われて、右――つまり川とは反対側、土手の方に視線を動かす。すると、そこにはいつの間に現れたのか、二脚竜の群れがいた。
 いや、竜の群れではない。

 二脚竜と、それにまたがる何者かだ。

「あ、あんたら何者(なにもん)だ!」

 二脚竜とその騎乗者は太陽を背にしているため、その姿が影になってよく見えない。
 それでも竜の体躯がたまに見かける野生のものよりずっと立派なことはわかった。
 おそらく、その背で微動だにしない人影も、彼を襲うには不釣り合いなほど強力であるに違いない。

「それを知ることはお勧めしない。我々の存在を認識することもお勧めしない。ただ、私の質問に答えて、それで全て忘れてしまうほうがいい。わかる?」
「わ、わかった。わかっただ」
「よかった。では、いくつか質問する」
「あ、ああ。なんだ? か、金ならちょびっとしかないだよ」

 その答えに、彼の後ろに立つ者は小さく鼻を鳴らした。

「愚かな田舎者の振りは結構。金銭を要求するなら、こんな会話が必要?」
「そんなつもりじゃねえ。すまねえ、すまねえ。おらはなんでも答える。だから殺さないでくれ」
「結構」

 息を吐く音が聞こえる。続いて、その声が尋ねかけた。

「この川の先はなにがある? セラートまで」
「セラートまで? そ、そうだな。川縁に村が二つ。あ、川からちょっと離れたところにもう一つあるだ。そっから……。そっから先は、ペトルスの渡しまではなんもねえだよ」
「村が三つ。規模は?」
「規模? あー……。家の数でええんか?」
「ええ」
「そんなら、どこも三、四十だ。五十は超えてねえ」
「なるほど」

 声はしばし言葉を切った。アントンがそわそわし始めると、鋭い声が飛ぶ。

「となると、どこもせいぜい百を超える程度ということね?」
「人の数までは知んねえけんども、そったらとこでねえか」
「そう。では、なぜその程度なの?」
「なんだって?」

 声は彼の驚きの声にも調子を変えずに繰り返した。

「なぜ、下流にはその程度の村しかない?」
「ど、どういうこった?」
「……うん? 通じてない?」

 声はしばし考えているようだった。緊張しているのだろうか、ヘーアの鼻息が妙に大きく聞こえる。

「セラートはアウストラシア地域を北西方向から東の海にかけて抜ける大河、これはいい?」
「あ、ああ」

 ソウライ地域と戦王国群との自然の境界線となっている大河がセラートである。つまりはリ=トゥエ大山脈とセラートに挟まれた地域が旧ソウライ王国の領土となる。その中で、都市分布は北に寄りがちである。
 いや、上流に寄っているというべきだろうか。いずれの都市も水源やその近辺に位置しているのだ。

 そして、規模の大きい街も上流に偏っている。
 一方、下流域――つまりは各都市から出た川がセラートに合流するあたり――には村落もほとんどない。
 都市から遠いとはいえ、これはおかしくはないだろうか。

 そのことを声は指摘した。

「耕作地は都市にしかない。つまり、農作物は基本的に都市から供給される。だけど、布を作ったり、ヨロイ種の動物を育てたりすることは都市から離れても出来る。だから、人々は都市以外にも住んでいる。これもいい?」
「ああ。言うとおりだ」
「どうせ都市外に住むのなら、セラート近辺にあまり住まわないのはなぜ? セラートの周囲には広大な平野がある。なぜそこを利用しない?」

 そこまで言われて、ようやくアントンは声が疑問に思っている内容を理解した。答えられることにほっとしながら、彼はしゃがれ声を出す。

「そんなら簡単だ。セラートは暴れるかんよ。十年もしないうちに家を流されるところに住みたがるんは馬鹿しかいねえ」
「ほう」
「ひでえときは流れる場所すら変わっちまうんだ」
「なるほどね」

 アントンは答えながら、これでいいのだろうかと疑問に思う。
 聞いているのはあっちだし、ふさわしい答えを告げているはずだが、なぜそんなことを聞きたがるのかさっぱりわからない。

「では、『ペトルスの渡し』というのを説明して」
「あ、ああ」

 ともあれ、いまは聞かれたことに答えるしかない。いきなり現れたおかしな相手に殺されるのはまっぴらであった。

「渡しは渡しだよ。いまんとこ唯一のセラートを渡れる場所だかんな」
「唯一?」
「そだ。大昔はセラートにかかってた橋はいくつもあったけんどよ。いまじゃあそこにある橋しかねえんだ。さっきも言った通り、セラートはよくあふれるかんな。いくつかはあふれた拍子に流れちまった。それと、流れが変わったんで意味なくなっちまったのもあるな」
「ふうん。そこが残ったのはなぜ?」
「おら、そんなことはわかんねえよ」
「推測でもいい」

 感情がまるで読めない声にせっつかれ、アントンはそれまで考えたこともなかったことについて必死で考え始める。

「そだな……。他の橋に比べりゃ上流だから流れることはなかったんだろな。あとは、あのあたりだけ、セラートには珍しく浅くなってんだ」
「そう……。それで、その『ペトルスの渡し』にはどれくらいの人がいるの?」
「あそこに住んどるんは千は超えてるんでねえか? 宿屋も酒屋もたくさんあるでな」
「栄えているのね」
「ああ。昔はそうでもなかったつうが、いまの名前で呼ばれるようになってからは、こっち側も向こう岸も栄えただよ」
「いまの名前というからには、昔は『ペトルスの渡し』ではなかった?」
「そだ。昔は、えっとな……」

 アントンはおぼろげな記憶を辿った。そうして、もう娘に話してやったことも忘れかけていた昔話に出てきていたのを思い出す。

「そうそう、西の大橋って名前だっただよ」
「素っ気ない」
「そりゃそうだ。そのこらぁ、ただ通り過ぎる場所だかんなあ」
「いまは違う?」
ちげぇなあ」

 アントンは昔話と、以前その場所にいった時の記憶とを順番に思い浮かべながら、小さく笑った。

「ペトルスの渡しのあたりは、いまも昔もゲデックの領主さまのもんだ。そんでな。西の大橋がセラートのたった一つの橋になった頃、ペトルスなんたらいうゲデックの殿様が欲をこいたんだなあ。西の大橋の通行料をそれまでの倍にしたんだよ」
「それは反発されるはず」
「ああ。反発された。けども、逆らえなかったんだな。ところが、それに味を占めた殿様が元の三倍にまで通行料をあげたところで、土地の奴らが、抜け道を考え出したんさ」
「抜け道?」
「川の浅いとこを探り当ててな、その足で渡っちまったんだよ! とんでもねえ話だろ。おらはいまでも、あいつらの頭はいかれちまってんじゃねえかと思うだ」
「なるほど……。浅いと言っていたっけ」

 感心したような声に、アントンはぶるると体を震わせた。

「浅いったって、胸どころか肩まで水がくるだよ。おらあとてもじゃないが真似できね」

 いまは艀牽きを仕事にしているとはいえ、アントンに川に対する親しみなどない。
 大量の水は恐ろしいし、艀を浮かばせる以外の用で近づきたくはなかった。
 ましてや、いくら浅い場所でも水の流れに体を沈めるなど、考えられることではなかったのだ。

「それで、橋を使わなくなったの?」
「いんや。さすがにそこまでではねえだよ。大荷物の商人なんかは料金を払って通行してるだ。だけんど、それ以外の奴は、川越えの人足に肩車してもらうか、人足のかつぐ台に乗って川を渡るんさ」

 もちろん、いつでも人の手による川越えが出来るわけではない。水量が増えれば足止めされるし、天候が悪ければ日延べする必要も出てくる。
 そうして、川越えの順番を待つために宿場が発達し、宿場に泊まる人々を当てにして歓楽街が成立する。

 こんな風にペトルスの渡しは栄えだしたのだという。
 その土地の通称に、高い通行料を課した当人の名を冠したのは、住民たちの精一杯の皮肉であったろうか。

 そこで、アントンに質問する声は、一つ疑問を抱いたようだった。

「艀を牽いたりはしないの?」
「ウシやヤギの通行料は、荷車と変わらねえだよ。流れも考えたら、橋を渡る方がええんだろうな」
「なるほど」

 声は一度言葉を切り、しばらくしてから、これが最後だと告げて、ペトルスの渡しについて詳しいことを聞き始めるのだった。


                    †


 艀牽きを訊問する仲間の姿を土手の上から見つめるのは、九騎の騎兵。いずれもカラク=イオの偵察大隊に属する兵たちである。
 彼女たちは怯えきっている男と、それを脅す同僚の姿を眺めながら、楽しげに言葉を交わしていた。

「おーおー。ウツギったら張り切っちゃって」
「そりゃあ、殿下のために! ってずっと頑張ってるからねー」
「愛しの殿下のためにねー」
「抱きしめられちゃったんだもんねえ」

 けして眼下の艀牽きの耳には届かないような声で、実に愉快そうに彼女たちは歓語する。
 その様子に、分隊の中では分隊長を補佐する第二位の地位にいる女性が眉を顰めた。

 だが、彼女が声を上げる前に、隣にいた分隊長が彼女を制した。

「放っておけ」
「しかし……」

 同僚をからかうのはともかく、そこにスオウの名を持ち出すとなれば規律の問題になる。
 さすがに注意すべきではないかと彼女は考えていた。
 それに対して、分隊長は静かに諭す。

「殿下を貶めるような物言いでないうちはいい。所詮は直に言葉を交わしたことのあるウツギへの嫉妬にすぎん」

 後半を少し強めに言ったからだろうか。さきほどまできゃらきゃらと笑い合っていた兵たちが揃って口をつぐんだ。
 その様子に満足そうに頷いて、彼女は分隊長との会話を進める。

「それで、分隊長。これからどうしますか」
「ウツギが聞き込んだ情報がこれまでと大差無ければ、予定を早めて中隊に合流することになるな」
「やはり」
「百程度の村を嬲ってもしかたない。一方、多少は警備もいるであろう宿場町を襲うなら、我々の手には余る」
「はい」

 彼女たちは、これまでも各地で周囲の情報を得て来た。たまたま見つけた艀牽きに尋ねているのは、その確認のためとなる。

「他の分隊も偵察を行っている。我々が事実とそう異なることのない情報を得ており、他の分隊もそうであると仮定するならば、どの部隊も合流を早める決断を下すだろう」

 もちろん、ウツギが聞き込んでくる情報がこれまで得てきたものとまるで違っていたりすることも考えられる。そうなれば、今後の方針を再考する必要があるが、おそらくそういうことはあるまいと分隊長は考えていた。
 彼女たちが得ているのは伝聞の情報だけではない。実際に川沿いを行きつ戻りつして、下流域には人の居住地が少ない様子なのは確認しているのだから。

「さて、話は終わったようだな」

 分隊長の言葉通り、ウツギと艀牽きの会話は終わっていた。
 すでにウツギはこちらに戻ろうとしており、その後ろには、倒れている男とその体を鼻面でつっついているウシの姿がある。

「殺したのか?」

 合流したウツギに分隊長が尋ねると、竜に乗ったウツギはぱたぱたと手を振った。

「まさか。すぐ気がつきます」
「そうか」

 分隊長は一つ頷いて手綱を引く。その動きに合わせて、分隊の全員が竜を操って動き出した。

「では、行こう。走りながら話せ」
「了解です」

 そうして、十騎の竜が風のように走り去った後には、うんうんうなりながら体を起こそうとしている男と、そのかたわらで哀しげにぶもぉぶもぉと繰り返すヨロイウシだけが残されていた。


                    †


 ペトルスの渡しは、その正式な名称をヴェスブールという。
 ただし、こう呼ばれる場合には戦王国の一つとして数えられるのが通例だ。
 ペトルスの渡しことヴェスブールは、表向きゲデック侯爵の領地でありながら、わずかな税をゲデックに納める以外は、実質的に独立しているためである。
 故に――少なくとも北岸側は――ソウライ地域にありながら、戦王国の一つとして見られているのだ。

 この地を支配するアンゲラー家は、ゲデック侯爵の臣下としての身分を保持しながら、南方の戦王国群に対してはささやかな領地を確保する戦王として振る舞っている。
 そんなことが出来るのは、領地がちっぽけでも経済的な影響力はずっと大きいためだ。

 なにしろ、ソウライ地域と戦王国群を結ぶ数少ない経路の一つである。交易に影響力を持たないはずがない。
 どうしてもここを避けたければ、ネウストリアから迂回するか、セラートの上流――ベーア川と名を変えるほど上流にまわって浅瀬を突っ切るしかないのだから。
 現実的にはアウストラシア東部の物資は、どうやってもこの地点を通ることになる。

 そんなヴェスブールであるため、自衛戦力はそれなりにそろえていた。
 戦王国群という、傭兵を育てるにはもってこいの環境があるため、腕の立つ者を集めるのもそう難しくない。

 若者は、そんな傭兵の一人だった。

「ふわあ」

 ヴェスブールを囲む城壁の上に立つその兵士は、一つあくびをして大きく体を伸ばした。
 近くで燃えるかがり火が、ばちっと少し大きな音を立てた。

「歩哨は眠くなるな」

 前回の夜番は街中の警邏を担当していた彼は、一人で立ち続けることに退屈していた。
 城壁の上は幅が無いため、巡邏には向いていない。故に決められた持ち場に立ちっぱなしになる。

 立っているのはいいが、変わり映えしない闇をずっと見つめているのはかなり根気のいる仕事であった。

「だいたい攻めてくるとなったら、予兆がないわけないんだよなあ」

 ヴェスブールはその性格上、同規模の領地とは比べものにならないくらい栄えている。そこに蓄えられた富と権益を求めて攻め寄せる軍が、これまでいなかったわけではない。

 だが、野盗程度であれば、城壁だけではねのけられる。
 ソウライの大都市のように『先史時代』の技術で作られた壁でなくとも、人の背丈の三倍近くあれば、十分役に立つのだ。
 そして、野盗をしのぐ規模の軍が動くとなれば、その接近を発見できないわけがない。

 いまのところ、どこかで軍が動いた徴候はないはずであった。

「あるとすれば、隠密能力に長けた部隊がこっそり忍び込むことくらいかね? でも、そんなことして何になる?」

 暇を紛らわせるためだろうか。彼は敵襲がある場合を思い浮かべ、自問自答する。

「盗みでも働くか。いや、破壊工作とか……。でも、そこまでしてなあ……」

 たしかにヴェスブールは栄えている。
 だが、それはあくまで規模に比較してという話で有り、絶対的な富の集中で言えば七大都市のほうが上であろう。

 まして、ヴェスブールに破壊すべきなにかがあるわけもない。

「あるとすりゃ橋くらいか? ばからしい。そんなことを望む奴がいるわけないって。あはははは」

 彼は自分で言った意見に自分で笑い出していた。

 そう、望む者がいるはずはなかった。
 だから、こんな夜中に壁を登ってくる者がいるなどと予想することは出来なかったし、ましてやその人物が、岩をも穿つ杭のような両腕を備えていることなど、想像することも出来なかったに違いない。

「はははっ。……え?」

 笑いは唐突に途切れ、彼は自分の胸から突き出た杭のように尖ったそれを見下ろす。
 燃える火の照り返しで、それはぬめぬめと輝いていた。
 その輝きをもたらすものが自分の血液であると、彼は認識できたかどうか。
 叫びや呻きを上げる前に、彼の頭部は斬り飛ばされ、足下に落ちていた。

 兵士の命を奪い取った影が、それまで彼が喋っていた内容を聞いていたら、こう告げたであろう。

「君は人界の常識に囚われすぎている」

 と。
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