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三界大戦記―好色皇子と三界の姫たち― 作者:安里優

第二部:人界侵攻・蒼雷編

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第12回:帰陣

 結局の所、決死隊による一撃が追撃隊を諦めさせたと言っていいだろう。
 鳳落関側は予想外の被害を受けた部隊を統御するためにわずかに前進したものの、フウロたち殿軍を見つけることも出来ず、谷の出口で待ち構えているユズリハたちを確認するまでもなく兵を退いた。

 そうしてスオウたちは無事に陣城へと戻ったのであった。

 陣城は沸き立った。
 五百の仲間を新たに得たというのに、その犠牲は二桁にようやく届くかというところなのだ。大勝利と言っていい。

 もちろん、親しい友を失った者もいた。
 だが、その者たちこそ失われた者のために喜び勇んだ。


 そんなスオウたちの帰還より四日。戦闘による興奮も、庶務中隊受け入れによる混乱も収まった頃に、ミズキは司令部天幕に呼び出されていた。

 彼女の前にはずらりと幹部勢が並んでいる。
 旅団長のハグマ、参謀のスズシロはもちろん、四つの隊の長、フウロ、シラン、ユズリハ、カノコと来て、エリもその隣にいる。
 そして、もちろんその中央、ミズキの真正面にはスオウその人が相変わらずの黒衣をまとい席に着いていた。

 彼女自身にも椅子が用意されていたのだが、ミズキはもちろん跪き、頭を垂れている。

「こうして会うのは久しぶりだな、ミズキ」
「殿下をお守りするのを使命と考え、部隊にて一心に励んでまいりました」

 彼女が灰金の頭を床にこすりつけるようにするのに、スオウは苦笑いを浮かべる。

「堅苦しいのは止めておこう。むず痒い」
「お戯れを」

 あくまで態度を崩さないミズキに、スオウは己の参謀に尋ねかけた。

「彼女のいまの階級は?」
属尉ぞくいです」

 魔軍の階級はすいこうちょうへいの五分類十四等級で構成される。その中で属尉は尉官の最下位。上から数えれば九番目の階級だ。
 かつてそれらの階級は、軍内部での役職と合致していた。
 たとえば属尉は五十人の『属』を率いていたし、その上の伯尉はくいは百人の『伯』の指揮官だった。

 しかしながら、軍制が発達した現在ではそのような対応関係は残っていない。特に親衛旅団のような特殊な部隊では他の部隊とは階級そのものの取り扱いも異なる。
 なにしろ、最下級とはいえ士官である属尉のミズキが一兵卒として働いているのだから。

「よし。じゃあ、いまからミズキは特務屯尉(とんい)で幹部待遇だ」
「はぁ?」

 思わず顔をあげて呆れた声を放ってしまうミズキ。

「屯尉って偉いんですか?」
「士官では最上位ですね。大隊長方の二つ下、私の一つ下になりますー」

 エリとカノコがひそひそとそんな話をしている他は、幹部たちには驚きの様子すらない。シランに至ってはにやにや笑いさえ浮かべている。
 それを見て、ミズキは諦めたような息を吐いた。

 いかに魔軍と切り離され、カラク=イオとしてスオウの意のままになる組織になっているとはいえ、二階級の特進は尋常ではない。
 反対されるかどうかは別として、驚かれないわけがないのだ。
 けれど、それがない。
 要はすでに話は通っているというわけだ。

 彼女は立ち上がり、スオウの顔をまっすぐに見つめた。

「一体ワタシになにをお望みですの?」
「腹を割っての話かな。それ次第では本当に幹部に入ってもらう」
「なるほど……」

 ミズキはそれでもどこか疑わしげにスオウを見ていたが、椅子にすとんと腰を下ろすと小さく肩をすくめた。

「わかりましたわ。殿下」

 それまでと比べれば明らかに柔らかな態度と声で、彼女はスオウを呼んだ。主と一兵士という名目上の立ち位置にことさらにこだわった物言いを止めたとも言える。

「では、始めよう」

 ハグマがそう重々しい声で宣言する。

「我々がお前を呼び、そして、その地位を引き上げたのは、一連の暗殺劇に関わっていると思われるためだ」
「もちろん、関わり方次第では、逆に処罰を受けるわけだけどぉ……。私たちの前で毒を使えるとは思わない方がいいわよぉ?」

 旅団長の言葉を補足するようにシランが続ける。先ほどまでの笑みは消え、その隻眼は鋭く輝いていた。
 その警告に対して、ミズキはにこやかにこう応じた。

「そのようなことをワタシが企図するとお思いでしたら、実に心外ですわ。誓って申し上げますけれども、ワタシは一度たりとて殿下を害そうなどと考えたことはありませんことよ」

 そこで彼女はスオウのほうを見て、彼のおもしろがるような瞳とぶつかった。ミズキの笑みがふっと柔らかくなる。

「ああ、訂正いたしますわ。一度はありますかしら。たった一度だけは。でも、それはずっと昔の話」
「今回のことは関係ないと。しかしながら、あなたが私の殺害を命じたという証言があります」

 感情を交えない声で、スズシロがそう指摘する。高熱を出し続けていた暗殺者は、それが癒える過程で浮き沈みする意識の間隙を突かれ、情報を引き出されていた。

「一方で、あなたは旅団長の暗殺を阻止してもいる」

 ハグマに事前の警告を与え、相手を無力化させる薬物を手渡したのもまたミズキだ。こちらの暗殺者については目を覚ましてから一切会話に応じようとしていない。

「これらはどういうことなのか、説明してもらいたいのですが」
「参謀閣下の暗殺も、試みようとした時には難しい状況になっていたのではありませんこと?」
「その通りですね」

 静かに尋ねるスズシロに、ミズキもまた落ち着いた様子で尋ね返す。
 襲われた現場では自分で用意した毒にやられでもしたのだろうと推測された暗殺者であるが、改めて検討してみるとそれは疑わしかった。
 回収された武器に塗られていた毒は、そのような類のものではなかったのだ。また、その日に至る当人の様子を調べてみても、暗殺決行の日以前から体調を崩していたと思わしき証言が得られた。

 考えづらいことではあるが、彼女はその決行の日に向けて徐々に弱らされていったようであった。

「この部隊に潜む『手』に行動を促したのは事実ですわ。けれど、それは彼らに失敗させるためでしてよ」

 全員がミズキを注視する。
 その全てが尋ねかけていた。

『なぜ、そんなことを』

 そうして、ミズキはにこやかにこう応じるのだった。

「もちろん、ワタシとカラク=イオが無事でいるために決まっておりますわ」

 と。


                    †


 不意に落ちた沈黙の中で、彼女の名を呼んだのはスオウだった。

「ミズキ」
「はい」
「俺と……まあ、シラン、ユズリハあたりはわかってると思うが、他はどうにもな。どうかな、昔話からはじめるのは?」
「……そうですわね。もはや隠すようなことでもありませんし」

 ミズキとスオウはその視線を絡ませあい、彼女は決心したように頷いた。

「ご存じの方もおられるでしょうけれど、ワタシはかつて魔界の皇子メギの許嫁でしたの。十二の頃から」
「辰砂氏宗家の姫として、ですわね」

 これもまた黒銅宮宗家の姫であるユズリハが言うのに、ミズキは笑みだけで応じる。

「けれど、ワタシが二十四になった時――成人の一年前、婚約は破棄されました。そうして、ワタシは無頼の徒となり、以来、殿下の保護の下におりますの」

 そこで彼女は一つため息を吐いた。

「一方、辰砂の民……ワタシのかつての同胞は、こうした経緯により皇帝家とのつながりを失い、また面目も失うこととなりました。これについてはワタシの責任が大いにありますわ」

 けれど、と彼女は言う。

「そのことで、かえって必死にメギに接近するとは、愚かしいと言う他はありませんわ。あんなトカゲ男に……失礼」

 思わず口走った言葉に口元を覆うミズキ。
 その様子にエリだけが小首を傾げていた。

「あれって悪態なんですか?」
「うーん。まあ、そうですかね。冷たい人って意味が強いと思います」

 小声で魔界の言い回しを解説しているカノコは無視して、ミズキは続ける。

 イアシャカのウズが復権を餌に近づいてきたこと。
 彼女の物言いから、破壊工作の決行が迫っているであろうと察したこと。
 それらを未然に防ぐよりは実行させておいて失敗させるほうが、全てをあぶり出す結果となると考えたこと。
 そのために、彼女が黒幕であるかのように装い、決行の日を操作し、それに合わせて毒を盛ったこと。
 暗殺者が割り出せなかった陣城での動きには、ハグマに警告を与えることで対処したこと。

 そんなことを語っていくミズキ。
 途中、幾人かが顔を見合わせたり、呆れたような顔をしていたが、誰も口を挟まず最後まで彼女に喋らせた。
 ミズキの言葉が途切れたところで、フウロがからかうように尋ねる。

「おいおい、あの竜に食われてたのはお前がやったのかよ」
「ええ」

 悪びれもせず肯定するミズキに、尋ねたほうのフウロはかえって好もしそうな笑みを刻んだ。
 しかし、もちろん組織運営を担当するスズシロは苦い顔だ。

「一つ一つの行動についても言いたいことがありますが、それは後にします。それよりも、なぜ我々に相談もせず一人で事を起こしたか。その説明を求めます」
「先ほども申し上げましたとおり、ワタシと組織の安全のためですわ」

 参謀の詰問に、ミズキはきっぱりと答えた。

「メギの影響下に入れば、ワタシの安全などどうやっても守れませんわ。そのためには殿下とカラク=イオには健全であってもらわねばなりませんでしょう? 潜入員を放っておくなど愚の骨頂ですわ。そして、彼女たちを動かすためには、密やかに事を運ばねばなりませんでしたの」

 だから、一人きりでやったのだ、と彼女は主張する。
 独断専行以外のなにものでもない。組織の論理を考えれば、許されるものではない。
 だが……。
 スズシロは彼女の返答に深くため息を吐き、椅子に腰掛け直した。

「殿下たちの予想通りでしたね」
「そうだろう?」

 当然と言えば当然であるが、当人を呼び出す前に彼女たちは情報を検討している。その詳細までは知らずとも、行動原理についてはミズキを知るスオウ、シラン、ユズリハたちによって半ば言い当てられていた。
 だから、スズシロはその時の結論通り、こう言った。

「それでは殿下にお任せいたします」
「うん」

 彼は視線をスズシロからミズキに戻し、はっきりとした口ぶりで話し始めた。

「ミズキ」
「はい」
「お前のやったことは軍規違反だ。いかに獅子身中の虫を引きずり出すためとはいえ、今回のような振る舞いは許されない。だから、お前はこれまでの軍務から外される」

 処分が下されても、ミズキは無言のままだった。
 それに、スオウの言葉はまだ続いている。

「一方で、感謝もしている。放っておけばもっとひどい局面でハグマたちが動けなくなっていたかもしれんからな。それに、その才も惜しい。そんなわけで、お前にはカラク=イオにおける防諜部門の長を命じる。諜報や暗殺、謀略に対処してくれ」
「それは……」
「さっきも言ったように今日から幹部扱いだ」

 そこで彼女は目を細め、それまでより遥かに強い、刺さるような視線をスオウに向けた。
 彼はそれを平然と受け止める。

「承りましたわ」

 そう彼女が答えて、そういうこととなった。


                    †


「あのー……」

 ミズキが幹部に入るということが決まったところで、カノコがおずおずと手を挙げる。

「私なんかが心配することじゃないと思うんですけど、その……」
「ミズキが信用できるかって話か?」

 言いにくそうに口ごもりつつの言葉にスオウが応じ、カノコはこくこくと頷いた。
 その後で、ぺこりとミズキに頭を下げる。

「すみません」
「よろしいんですのよ。というより、疑わない方がおかしいんですもの」

 鷹揚に微笑むミズキ。そんなカノコとミズキのやりとりを見て、シランがにんまりと笑み崩れた。

「彼女が人格的に信用できるかどうかはともかく、これまでの話は本当だと思うわよぉ。彼女はメギのこと大っ嫌いですもの」
「そこはかとなくけなされているように思えるのは気のせいでして?」
「気のせいよぉ?」

 二人のじゃれあうような言い合いに、フウロが割り込む。

「あー。そのあたり、一つ聞いておいていいか?」
「はい?」
「話を聞いてると、ミズキはメギにはっきり憎まれてるような感じだけど、そうなのか?」
「ええ。おそらく、殿下の次にワタシではありませんかしら」
「へー」

 メギとスオウがお互いを敵視するのは理解できる。
 皇位継承の問題もあるし、実際にメギが謀反を起こし、スオウが魔界から追放されたいまとなっては不倶戴天の敵に他ならない。
 それに次ぐとなるとかなりのものだ。

 そこで、ミズキは小首を傾げた。

「あら? ワタシの破談理由をご存じないのかしら」

 フウロが金剛宮の名家の出であることは彼女も知っている。
 メギとミズキの婚約破棄にまつわる一連の出来事は、社交界をさんざんに騒がせたものだ。
 フウロがそれを知らないのかと不思議に思ったのだ。

 当然のことだが、カノコやスズシロ――ついでにエリ――はそのあたりはさっぱりなので、不思議がるより前に話についていけていない。

「あー、すまん。あたし、その頃家に寄りつかなかったんだ」
「ああ……」

 そこでミズキはスオウに視線を飛ばした。
 話していいのか、と。
 ユズリハやシラン、ハグマも同じようにスオウを注視している。

「ま、まあ、いいんじゃないか。ミズキがメギの下には戻れないとはっきりさせておくほうが……。うん」

 なんだか奥歯に物が挟まったような言い方のスオウに、一部の者は失笑し、その他の者はよけいに困惑した。
 そこで、ミズキは小さく笑いながらこんなことを言う。

「ワタシがスオウに己を寝取らせたんですのよ」

 周囲の空気が固まったような気がした。
 誰一人声をあげない中で、好色皇子とあだ名される青年がだらだらと汗を流し、ミズキだけが淡く微笑む。

「寝取らせたと言っている通り、仕組んだのはワタシでしてよ。あの件に関して言えば、スオウ……殿下は被害者と言えますわ」
「いや、まあ……。無理矢理でもないし、俺の意思が介在しなかったわけでもないからな。それに、最初のあれがまずかった」
「まあ……あれについてはずいぶんと恨みましたけれど」

 二人にしかわからない過去を語るスオウとミズキに視線が集まる。概略を知っているはずのユズリハやシランですらうかがい知れぬ過去がそこにあった。
 ミズキはその視線を受けて、一つ肩をすくめ、彼女たちに向けて話し始める。

「そもそもは、メギという男が、相手を減点方式でしか見ないと気づいたのが始まりでしたわ」
「減点?」
「ええ」

 彼の気に食わぬことをすれば減点され、加点されることはまずない。
 人物であれ、組織であれ、メギという男はそうして評価を下していると、許嫁としての生活の中で彼女は悟ったという。
 その口ぶりに腹違いの弟であるスオウは否定の態度を取らなかった。その代わりに、苦笑いにも見えるなんとも言えない表情を浮かべている。

 ミズキ自身はもちろんのこと、その出身氏族である辰砂にも、メギは冷徹な評価を下している。しかも、最初に下された評価を上回ることはありえないような減点式の評価を。
 そんな男をあてにしている両親も、氏族も、そして自分自身も、ミズキは嫌になってしまった。
 だから、メギとの婚約を潰し、かつ氏族から離れるための行動に出た。

「それが殿下との密通だったわけですのね」
「ええ。それが最も効果的に思えましたもの」

 さらりと言うミズキにユズリハは苦笑する。氏族政治を深く知る彼女は、ミズキの言葉が真実であることを知っていた。
 たしかにそれは効果的である。
 ただ、少々やり過ぎの感はあったが。

「ところが!」

 そこで、不意にミズキは眉をはね上げた。
 怒りの相も露わに灰金の髪を揺らす彼女の姿に、スオウを除く全員が目を丸くした。

「この男ったら、忍んでいったワタシから話を聞いた後、軽く腕を回して、『これで抱いた』とか抜かしたんですのよ!」
「あー……」

 女性陣の呆れたような視線が飛ぶ中、スオウはがっくりと肩を落とす。

「……若かったんだよ」
「まあ、その後、しっかりと誘惑して落としてみせましたけれど」
「おかげで大騒ぎになった」

 忍んでいった時点で、その後なにが起ころうとそう変わりはしないのではないか。
 そう思った者は多かったが、指摘する者はいなかった。

 そこで、ふとミズキはくるくるとゆるやかに巻かれた灰金の髪を引っ張って何事か考え込むようにした。
 そうして、彼女はにこやかにこう言うのだった。

「そういえば、色々ありましたけれど、まだお別れしたわけではありませんでしたわね?」


                    †


 ミズキを幹部に迎えてから数日。
 防諜部門の立ち上げや、人界侵攻の計画策定などで日々は忙しく過ぎていった。
 幸いというべきか、あの後は魔界側からの接触はなく、カラク=イオはようやくのように領土拡張のための動きに入ることが出来た。

 そんなある日、スズシロはスオウの天幕に向かう途中にエリと行きあう。

「殿下のところですか?」
「はい。頼まれていたものがあって」
「なるほど。では、一緒に行きましょう」

 そんなわけで二人は連れ立って進む。
 エリはなにか布に包まれたものを大事そうに胸に抱えている。スズシロはそれに興味を惹かれた。

「それが頼まれものですか?」
「はい。街の石屋さんからもらってきたんです」
「石?」
「ええ。殿下に言われて作ってもらったんですけど……石の板です」
「……どんな板ですか?」

 スズシロの声が真剣な響きを帯びるのに、エリは不思議そうに説明する。
 それは、薄い石板を長方形に整えたものだ。大きさは人の指を二本並べたほどか。

「死者の石板」
「え?」
「死者の名を刻む板です。名を刻み、廟に祀るのですが……戦死者の場合、司令官が作成し遺族に配布することになります」

 そうした魔界の風習なのだ、とスズシロは説明した。病死などの場合は医者が渡すか遺族自身が作成するのだとか。

「そうですか……。殿下が」
「はい。あ、でも、頼まれたのは同盟直後ですけど……」

 ヤイトとの会談のための出陣より前だとエリは告げた。
 それまでも張り詰めた顔をしていたスズシロが、余計に暗い表情になる。

「迂闊でした。私が手配すべきものでした」
「それは……」
「お願いがあります。私に持って行かせてもらえませんか?」

 スズシロはエリに頭を下げた。直接に頼まれていたエリはしばらくためらったものの、彼女の真剣な様子に折れたようだった。

「じゃあ……お願いします」
「必ず」

 スズシロはその石板の束を受け取ると、押し戴くようにした後で、しっかりと抱え、スオウの天幕へと急いだのであった。
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