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三界大戦記―好色皇子と三界の姫たち― 作者:安里優

第二部:人界侵攻・蒼雷編

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第4回:無頼(下)

 魔界で、氏族に属さない者は、皆無ではないものの実に少ない。

 氏族を外れるということは、その恩恵の全てを失うということであり、魔界における社会保障の大半を受けられないことを意味する。
 氏族経営の病院に行くことも出来ないし、教育機関も軍のもの以外選びようが無くなるのだ。

 そもそも、たとえみなしごであっても、孤児院などの施設を運営する氏族の名を授けられるのが通例だ。
 氏族に属さない者として考えられるのは、罪を償いきっていない犯罪者か、孤児院を脱走したか、家族に勘当されたか、これくらいのものだ。
 自ら家を棄てた者の存在は、魔界の歴史をひもといてもまず見つからない。

 そして、それら寄る辺なき者たちは、こう呼ばれる。
 無頼の徒と。


                    †


 少女もまた無頼の徒の一人だった。
 孤児院を脱走したのは、もう三年も前だ。

 そのことを後悔したことはない。
 幼い少年少女の寝台に夜な夜な潜り込んでこようとする院長がいる孤児院にいるよりは、路地裏で暮らす方がずっとましだ。
 逃げ出すまで自分の身を守れただけでも運が良い。

 生まれたときから一緒に育ってきた仲間たちを置いてくるのは気が咎めたが、
自分を守るためにはどうしようもない。
 自分の寝台で安心して眠れない夜を過ごすのには、もう耐えられなかったのだ。

 もちろん、路地裏の生活は楽なものではない。
 ねぐらの縄張り争いもあったし、残飯を漁るのも愉快なものではなかったし、警邏に追われるのも面倒だった。
 それでもさすがは帝都。
 少女がなんとか一人でやっていくことは出来たし、彼女自身これからもそうしていくつもりだった。

 ただ、一年の中でも冬になりかけのその時期はあまり好きではなく、毎日腹立たしく思っていた。
 それというのも、本格的な冬に備えて一稼ぎしておかなければいけないというのに、毎年この時期は警邏が活発になるのだ。
 なにやら、この時期は校尉学校の学生たちが卒業前の研修に回されているのだという。

 校尉学校とやらが、軍のお偉いさんになるためのところらしいことも、彼らが研修でやってくるらしいことも、彼女は街娼たちの噂話で聞いた。
 少女は娼婦たちの会話に入ることはなかったし、そもそも娼婦たちは彼女の存在になど気づいていなかったろう。

 小汚い格好の『ちびがき』がぼろくずに紛れて座っていても誰も気づかないし、少女は息を潜めて隠れるのが得意だった。
 そうして、様々な会話を漏れ聞くことで、彼女は生きのびてきたのだ。

 だから、その二人組を見かけたとき、ああ、これが校尉学校とやらのお坊ちゃんお嬢ちゃんかと、そんな風に思ったものだ。
 ひょろっと背の高い頼りなさそうな男と、背が低めな生意気そうな女。

 その二人に妙にいらついたのは、なぜだったろう。

 対照的に見えるその外見とは裏腹に、実にしっくり来る組み合わせに思えたからか、学生というには奇妙に落ち着いていたからか、あるいは。
 ――あるいは、あまりにもまぶしく見えたからか。

 本来なら逃げなければならない。
 住所不定だからといってすぐに捕まえられることはないものの、なにをしているのだとか、しかるべき施設に入る方がいいだとか、色々と説教されるのはごめんだ。
 お上とあまり関わっていると、同じ路地裏の生活者からはうさんくさく見られるし、いいことなどなにもない。

 だが、彼女は逃げなかった。
 ごみの中に潜り込み、二人が横を通り過ぎるのを待った。
 そして、男が自分のすぐそばを通ったところで飛び出した。するすると手を伸ばし、男の懐の財布を掴む。

 うまくいった。

 指の感触でそう確信した瞬間、天地が一回転していた。
 財布を抜き取ると同時に逃走姿勢にあったはずの少女は、なぜか音を立てて路地裏の地面にたたきつけられている。
 背中を打ったおかげで息が出来ず、事態を把握できていない彼女の腕は、二人組の片割れ――女の方に握られていた。

「ちょっとたるんでるんじゃないですか、スオウ」

 動けない少女の腕をひねりあげ、捕縛の姿勢に移りながら、女は男に声をかけた。
 男の方は目を丸くして、女が少女を組み伏せるのを見ている。

「いやあ、そんなつもりはないんだけどなあ」
「本当ですか、スオウ。気をつけてもらわないと私が困るんですよ、スオウ」
「なんで、そんなに俺の名を連呼してるんだよ?」
「あまり気にしてはいけませんよ、スオウ」
「無理言うな、スズシロ。こちらも呼びまくるぞ、スズシロ」

 そこで少女の上に乗っかる形になった女は、男の方を見て、ふんと鼻を鳴らした。

「校尉学校を卒業して正規の軍人になったら、立場上あなたを殿下と呼ぶほか無くなるから、いまのうちに思う存分呼び捨てにしておこうとか思っていませんよ、スオウ。ええ、思っていませんとも」
「自白してるじゃないか」
「まあ、それより、怪我はありませんか? スオウ」

 女が尋ねるのに、男はぱんぱんと体の各所を叩いて確認する。
 その音が路地に大きく響くのは、少女が失敗した途端、さあっと潮が引くように人影が消えたためだ。
 誰しもやっかい事には関わりたがらない。路地裏ではそのあたり特に敏感であった。

「ないな」
「服を切られたりも?」
「ない」

 そこで女は一安心というように少女に話しかけた。

「よかったですね、掏摸の小僧さん。刃物でも使ってたら死罪でしたよ」
「うるせえ、はなせよ!」
「あら、女の子」

 声の様子で気づいたらしい女であったが、少女を押さえる手は緩むことがない。
 そこで、男と女はなにか目配せを交わし合った。
 男が取りだしかけていた縄をしまい、女が少女の上半身を地面から引き起こす。ただし、少女の下半身には女の体重が乗っているので逃げ出すことは難しかった。

「落ち着いて見るとずいぶんと小さいな」
「てめえが無駄にでけぇだけだろうが! うすのろ!」
「はは。手厳しい。どこの子だい? 名前は?」

 そこできっと罵倒が返ってくるだろうと思っていた男は、少女の首が力なく垂れるのを見て意外そうな顔つきになった。
 それでも、女がなにか言おうとするのを押しとどめ、男は少女の返答を待つ。

「……ねぇよ」
「え?」
「アタシには氏族も無けりゃ、まともな名前もねえつってんだよ!」

 消え入るような答えの後の怒鳴り声も、どこか力がない。
 男はそれを聞いて少し考え、満面の笑顔になった。

「そうか。それなら同じだな」
「あん?」
「俺と同じだ。俺にも氏族はない」
「なんだって?」

 耳を疑う少女の後ろで、女が小さくため息を吐いた。呆れているようなおもしろがるようなそんな顔で。

「まあ、間違ってはいませんね。たしかに彼にも氏族はありません」

 その言葉に男はきらきらと目を煌めかせ、女にほほえみかけると、次いで少女に向け手を広げた。

「俺はスオウ。他にはなにもつかないスオウだけだ」

 男は手を広げている。
 薄汚い塵芥まみれの少女を抱き留めるように。

 女の手は緩んでいる。
 振り払えばすぐ逃げ出せるくらいに。

「さ、君の名前は? 本当にないのかな? それとも忘れた?」

 男は、静かに尋ねた。

「……カノコ」

 少女は、ずいぶんと迷った後で、そうぽつりと答えた。


 まどろみの中で、彼女の意識が浮上する。
 懐かしい夢を見ていた。

「カノコ、いい名前じゃないか」

 彼はそう言ってくれた。

「カノコ、世の中には取り返しのつかないことなどほとんどないのですよ。あなたが生きている限りはなんとかなります」

 彼女はそう言ってくれた。

 そうして、少女はただの無頼ではなく、カノコという一人の個人になることが出来たのだ。
 皇族と無頼が同じだと言い切る人たちに出会うことで。

 カノコは実に幸せそうに微笑むと、再び夢の中に埋没していくのだった。


                    †


 カノコが幸せな夢を見ているその頃、親衛旅団に所属するもう一人の無頼、ミズキは来訪者と自分の天幕で向き合っていた。

 彼女の天幕を訪れた女性は、ミズキが家名を回復し、氏族の中でも元の地位に復帰するための手段を提供するという。
 彼女はそれを聞いたあとで、面倒そうにその全く見覚えのない女に尋ねた。

「はあ。それで、あなたはどなた?」
「いまの立場のことでしょうか?」
「そんな借り物のことはどうでもよろしくてよ。ワタシを姉様と呼ぶのはどなたかと聞いてますの」

 そこで相手はにやりと笑み崩れた。

「ウズですよ、ミズキ姉様」
「ウズ……ねえ」

 その名前に眉をひそめたのは、なにもその名に思い当たる者がないからではない。
 その逆だ。
 ミズキがかつて属していた氏族において、ウズは最もありふれた女性名である。その上、ウズはその氏族では偽名として用いられることもしばしばであった。

辰砂しんしゃのウズではいけませんか」
「あなたがそれがよろしいというのならば、構いませんことよ」

 にこにこ笑いかけるウズのことをうさんくさそうに見つめながら、ミズキはどうでもよさげに応じた。
 自身の正体を明かそうとしない相手には、それなりの対応というものがあるのだ。

 ミズキは立ち上がり、天幕上部に開かれた明かり取りの小窓を閉じた。これで天幕が密閉されるわけでもないが、外に声が漏れることは避けられる。
 その代わりに、ミズキは油に火を灯した。
 普通は蝋燭にしろ油を使うにしろ、天井に吊ったり、携行できるような覆いを用いる。
 安全を考えても必要以上の煙を避けるためにもそのほうがいい。

 だというのに、ミズキの場合は粗末な陶器に油を満たしただけのいかにも間に合わせの雰囲気があった。
 その様子を複雑な表情で見つめるウズ。彼女は明らかに哀れみを込めた視線を向けながら口を開いた。

「おいたわしや。雷樹を用いることも出来ず、このような灯火で……」
「あら、これはこれで便利でしてよ。色々と」

 その言葉にますます哀しげに顔を歪めて、ウズは身を乗り出した。

「いいえ! これではいけません。辰砂の宗家の姫がこの有様では!」

 魔界九氏族は、一般に三宮さんぐう四柱しちゅう二端にはなどと言われる。
 三つの大氏族、四つの中規模氏族、二つの少数氏族からなるという意味だ。

 辰砂は二つの『端族はぞく』のうちの一つであった。
 とはいっても、主に高山地域に居住し飛び抜けて小規模な翡翠氏を別とすれば、各氏族はそれなりの政治力を確保している
 辰砂もけして侮れる氏族ではない。

 そして、ミズキはその氏族の姫だという。
 だが、ミズキはそう呼ばれた途端、鈴の鳴るような笑い声を立てた。

「姫などと。もはや放逐された身でしてよ」
「それを取り戻せるとしたらなんとします?」
「さてさて……」
「取り戻すのです」

 冗談を聞いたかのような態度であるミズキにいらついたか、ウズはきっぱりと言い放った。

「いったいどのようになさるおつもり?」
「はい。いま魔界では新たな帝がその玉座におられます。他でもないあなたの許嫁、メギ殿下……いえ、メギ陛下であらせられます。そして、私は陛下の意を受けて、二年前からこの旅団に潜伏しておりました」
「元許嫁でしてよ。ともあれ、辰砂らしいお役目ですわね」

 ミズキにしてみれば、ウズが辰砂の者だけが知る、手振りでの暗号を示した時から彼女が潜入員であろうことは予想していた。
 なぜなら、それが辰砂なのだから。

「ええ。辰砂は先駆けですからね。誰よりも先んじて敵陣に入り込むのが我々です。危険ですが、それだけに効果は高い」

 対象の組織、あるいは地域に潜入し、情報を集めて持ち帰る。信用を得て地位を確保し、その組織を操作する。不穏分子を集め、混乱を生じさせる。
 あるいは不和を生じさせ、偽情報を植え付け、対象の目的につながる行動を遅延させる。
 そして、時には要となる人物の命を奪う。
 その全てが辰砂氏の役目であり、彼らはそのための能力を磨いている。

「あなたは優秀な『耳』ということになりますかしら」

 辰砂氏では、潜入工作にあたる者を『耳』と言う。
 その中で、皇太子親衛旅団という重要な組織に潜り込んでいるウズは優秀な『耳』であると言えよう。

「そうあろうとは努力しております。しかし、『耳』だけでは出来ぬ事もあります」

 潜伏と欺瞞を得意とする『耳』に対して、破壊工作や暗殺を専らとする者を辰砂氏では『手』と称する。
 ウズの口ぶりから、彼女は『耳』だけではなく『手』も求めているらしかった。

「はっきりと仰って」
「はい。私がミズキ姉様と共に成し遂げたいのは、旅団幹部の排除です」

 ミズキがふるふると手を振って促すのを、気が乗ってきた証拠と見たか、ウズは勢い込んでそう言った。
 さすがの彼女も、暗殺とはっきり口に出すことは避けている。
 それでも、幹部の排除と聞いて、意味がわからぬわけもない。

 ミズキはその言葉に、自身の灰金の髪をくるくると指に巻き付け、考え込むような様子を見せた。
 そのことにウズは目を煌めかせる。
 二人が沈黙する中で、灯火だけがじりじりと燃え、薄く煙を吐き出していた。

「それを手土産にメギのもとに戻り、ワタシの地位を回復、あなたは皇后の側近となる……といったところを目論んでいらして?」
「ええ。それくらいは望んでもよろしいでしょう?」
「まあ……望まれるのは結構ですけれど」

 ミズキは指に絡めていた髪をぴんと弾いた。巻かれた形の残った髪がばねのように揺れる。

「そう仰るからには、メギの側と交渉を成立させる程度の自信はおありですのよね?」
「もちろんですとも」
「そう……」

 再び考え込んだミズキであったが、再び口を開くまでの間は短かった。

「あなたが本気であろう事は理解いたしました。そうでなくては、誰の命を受けているかを明らかにはしないことでしょう。けれど」

 そこで、ミズキはウズの目をじっとのぞき込んだ。

「足りませんことよ。あなたがメギから褒美をもぎ取ることに自信がおありなのは結構なことですけれど、まずはワタシにそれを信じさせてくださらなくては」
「なるほど」

 今度はウズが迷うような素振りを見せる。ミズキは黙ったまま彼女の出方を待っていた。

「……しかたありません。秘密をもう一つ打ち明けましょう。実は、この仕事は私の受けたものではありません。すでにこの部隊には別の『手』がいるのです」
「ふむ……」
「私はその『手』の支援も命じられておりました。つまり……」
「なるほど。ワタシとあなたで、その方に先んじてしまおうということですのね。そして、その方には相応の褒美が約束されていると」
「ご明察の通り」

 ミズキは再び髪を引っ張りつつ考える。

 要は、目の前のこの女は、暗殺者の下働きに我慢できなくなったのだ。
 自分に都合のいい相手に暗殺を実行させることで、より大きな栄誉と利益を手に入れようとしている。
 幸いにもミズキはメギの元婚約者であるし、辰砂の姫でもある。
 それを立てるという形を取れば、元々の暗殺者も黙るしか無くなる。

 さらには辰砂氏全体の支持も得られると踏んでいるのだろう。ミズキが新しい帝と再び婚約関係を築ければ、辰砂氏全体の利益になるのは間違いないからだ。
 けれど……。

「迂闊という他ありませんわね。サヤカイフのウズ」
「なっ」

 音を立てて、ウズが立ち上がる。

「どうやって……」

 そこまで言って思わず口をおさえるウズ。
 しかし、もちろんそれだけ動揺を見せれば、ミズキが正しく言い当てていることを自ら示しているようなものであった。

「いかに顔を変えようと、癖をそのままにしていてはいけませんことよ。キズノのウズと、イアシャカのウズの癖を真似てはいるようですけれど……」
「さ、さすがは姫様と言うべきでしょうな」

 ウズは慌てて座り直し、かえってどすんと音を立ててその内心を示してしまった。
 しかも、その顔には玉の汗が浮かんでいる。

 だが、それは少々不自然ではないだろうか。
 いかに見破られぬと思い込んでいた正体を指摘されたといえ、それほど汗をかくというのは……。

「あら、暑いんですの?」
「いや、そんな……はず、は……」

 応じるウズのろれつが怪しくなる。そのことを自覚したか、ウズの顔が青ざめた。
 そして、彼女はなにかに気づいたように、ミズキとその手元にある灯火を見た。
 いまも薄く煙を立てているそれを。

「まさか、ミズキ姉様」
「残念ですわ、ウズ」
「な、なぜ、あな、あなたは……」

 わなわなと震えながら、ウズはミズキに手を伸ばす。まるで助けを求めるかのように。
 しかし、ミズキはするりとそれを避け、ウズの手の届かないぎりぎりの距離を保つように体を引いた。

「もちろん、あなたを試すために決まっていましてよ? この煙を吸っても、普通はまったく効果はありませんの。ただ、心臓の鼓動が一定のはやさを超えますとね、それがもう戻らなくなりますの。どんどんどんどんはやくなって、最後はぱーんっ!!」

 ミズキは胸の前で手を合わせると、次の瞬間それを思い切り開いて見せた。実に楽しげに。
 まるで、大好きなおもちゃをもらってはしゃぐ子供のような笑顔で。

「うろたえる方ってみっともないと思いませんこと?」

 ウズはかっと目を見開き、口から泡を吹きながら何事か言ったようだった。しかし、その言葉はミズキには聞き取れない。
 ただ、かつては聞き慣れていた呼び名だけが彼女の耳に届いた。

「辰砂の……毒姫……」

 ウズはミズキの方へ向かおうとして果たせず、そのまますりきれかけた絨毯の上に倒れた。
 ぶるぶると痙攣する中で顔がだらしなく歪み、それまで見せていた顔貌とは明らかに違うものに変化していく。

 それは毒の影響で起きたことではあるが、毒の直接の効果ではない。
 ウズがその『相』を露わにして『特定の誰か』の姿に獣化していたのが解けた結果である。

「さて、これはどう始末いたしましょう」

 絨毯の上で泡を吹きながら命の火を消そうとしているウズのことを見ながら、ミズキは小首を傾げた。

「ああ。そういえば、竜にはこの毒は効きませんでしたわね。それでは……」

 翌朝、雑食竜をつないである囲いから死体が発見されるものの、不幸な事故として処分された。
 そこここを噛みちぎられ、その死因がはっきりしなかったためである。
 特に顔は損傷が激しく、身につけていた物で被害者を特定するしかなかったという。
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