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チョコレートとキャンディ
作:月姫



『チョコレートはほろ苦く』


 2月14日。
 全国的にバレンタインデーとか言われる一大イベント。
 ピチピチの高校生である平次も例に漏れず巻き込まれ、華やかにラッピングされたブツを詰め込んだ紙袋を抱えての帰宅となった。
 平次としても、一応健全な男子高校生である以上、バレンタインにチョコを貰うと言う事は嬉しくはあるのだが、そこはやっぱりお年頃、気になるあの娘から貰いたいワケで……。

「………で、コレは何やねん」

 自室に戻って荷物を置いて、ふうと一息ついた所で、机の上の異変に気がついた。
 綺麗に片付けられた机の上には、大量のチロルチョコ。
 それも三段重ね。
 上から見下ろすその形は、見間違えようのない二文字。

『アホ』

 平次の額に、ピキッと青筋が立った。
 自分の留守中に部屋に入り込んでこんなイタズラをかませるヤツは、一人しかいない。
 そう言えば、今日は用事があるとかで、授業が終わるや否や学校を後にしていた。

「今年はコレで我慢しろっちゅーんか?」

 毎年『義理』と言われながらも、丁寧に手作りされたチョコを貰っていた身としては、腹立たしい事この上ない。
 それが自業自得と理解していてもだ。

「……ホワイトデー、楽しみにしとれよ」









*****

『キャンディーは仄かにすっぱく』


 3月14日ホワイトデー。
 世間一般では3倍返しは当たり前などと言われている、男性諸君には少しばかり悩みの日。
 先月たっぷりとチョコを貰った平次はと言えば、去年同様、道場の片隅にキャンディーの入った袋をポンと置いて、練習の合間に、尋ねて来る女の子達に手渡していた。
 用意したのは、勿論和葉だ。

「義理チョコにお返しなんいらんやろ」

 と言う平次に、

「キャンディー1個でも、お返しが貰えるだけで嬉しいもんなんよ?」

 と返して、平次が適当に買ってきたキャンディーを小袋に分けて仕度するのは、ホワイトデー前の習慣になりつつある。
 和葉にしてみれば心穏やかではない部分もあるのだが、1つだけ平次が袋詰して『これ、お前の分や』と渡してもらえる事に、小さな満足感も得ているのだ。
 だが今年は『お前の分は別に用意したったから』と、当日帰りに服部家に寄るように言われ、和葉は、ほんの少しの期待と多大なる不信感を持って、早々に帰宅の途に着いた。
 そして……。

「何なん、コレ?」

 平次の部屋の机の上、大きなパーティー皿には色とりどりのキャンディーが敷き詰められ、その上には、まるで雪のように真っ白なマシュマロが鎮座していた。
『和葉へ』というメモが添えられたその品は、上から見下ろせばカラフルなキャンパスに白で書かれた『ボケ』。
 和葉の頬が、ひきっと引き攣った。





 二人の恋は、まだ遠い?




『チロルチョコでアホと書く』をやりたかったんです。
多分、平次はバレンタイン直前に約束をドタキャンでもして、和葉を怒らせたんでしょう(笑)。













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